音楽鑑賞履歴(2020年5月) No.1376~1381

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

6枚。最近では聞けた方ですね。
4月末からほぼ5月いっぱいの緊急事態宣言を経て、予断は許さないけど徐々に日常が、以前の形ではないにせよ、戻り始めてきているこの頃。自分はまあ、仕事も日常もあまり変化はなかったのですが(苦笑。それはともかく。今年上半期はコロナショックの影響があって、ぽっかりと穴が開いた感じになっていたのがようやく「今年度」が始まったような、変な感覚に陥っています。まあ、なんにせよ色々ありますが、世間が良い方向に向かえる、日々を平穏に過ごしたいところ。
5月はなんとなくチル&サイケな趣です。ドゥルッティ・コラム特集といいますか、そんな感じです。毎回言ってますがもう少しペースを上げていきたいですね、時間をうまく使いたい…。

というわけで以下より感想です。


Room on Fire

Room on Fire

  • アーティスト:The Strokes
  • 発売日: 2003/10/28
  • メディア: CD

・03年発表2nd。前作の録音よりも音がクリアになった感はあるが、空間の捉え方が前作よりも騙し絵的に妙な配置の仕方をしている印象がある作品。楽器やボーカルの鳴りを意図的に配置を偏らせたり、ドラムを強調したり、演奏の一体感より凸凹感が強調されているように聞こえる。妙な酩酊感がある音。
曲によっては不思議な遠近感があり、時には上下左右の境が曖昧になって、無重力空間で演奏しているような感覚に陥るのには、ある種のサイケさを感じるか。演奏自体は前作に続きシンプルな分だけ、サウンドミックスのいじくり方が前作以上に変なんじゃないかとも思える。統一感よりも分散感が強い。
あえて、ガチャガチャしたサウンドにしているのがアングラ的というか、バンドサウンドの洗練という所から背を向けているようにも思えるし、シンプルなサウンドから来る快楽性みたいなものも、なにか切り離された感もあって、早くもバンドの実像を掴ませない方向に舵が切られた一枚ではないかと。



Join With Us

Join With Us

  • アーティスト:Feeling
  • 発売日: 2008/04/08
  • メディア: CD
08年発表2nd。クイーンや10ccなどなど70年代の英国ポップの趣を現代的なものにアップデートしたバンドの第二作。ピアノとコーラスによってポップに響かせる作風が発展して、楽曲によってはシンセやエレクトロニクスを導入して、よりトレンディなサウンドを志向した内容となっている。
英国ポップらしい、分厚いメロディラインをコーラストとも煌びやかに響かせる作風は健在で、重厚なポップサウンドが楽しい作品である一方で、前作以上にアッパーな印象が強く、その狂騒さを過剰と捉えるかどうかで評価は分かれてきそうだ。バンドとしての試行錯誤が見え隠れし、二作目の難しさも滲む。
派手なサウンドとは裏腹に、クラシカルといっていいほどにポップスマナーに忠実な作風なのでむしろ余計な装飾がいらないとも思えるほど、土台はしっかりしている。でなければ、アルバムラストの8分超のポップソングを退屈させることなく聞かせられないだろう。装飾過多な嫌いがあるが王道的な佳作だ。


LC

LC

  • アーティスト:Durutti Column
  • 発売日: 1998/06/30
  • メディア: CD
81年発表2nd。70年代末から今に至るまで、息の長い活動を続ける、ヴィニ・ライリーの音楽ユニット。ポストパンクとネオアコの境を行くような、ディレイエコーのかかったシンプルなギターフレーズと簡素なリズムによって構築される音世界は唯一無二といっていい内容であり、他の追随を許さない。
真似しようとも真似できない独特なセンスが全面に漂う作品であり、同時期のポストパンク勢とも一線を画すサウンドで、後にネオアコと呼ばれる一連のグループともニュアンスが違っているのが最大の特徴だろう。そのどちらにも寄らない、きわめて醒めたトーンが全体を包み込んでいる。
感傷や哀愁を廃した、無感情かつ冷ややかなギターサウンドは後の世には「アンビエント」や「チルアウト」とも形容される類のものであるが、当然狙ったというわけではなく抽象的な心象を映し出したものに過ぎない。情感のなさによって語らうことを音楽とした特異な良作だろう。我が道を行く骨太な一枚だ


Someone Else's Party

Someone Else's Party

  • アーティスト:Durutti Column
  • 発売日: 2003/06/03
  • メディア: CD
03年発表13th。初期のディレイの深さは鳴りを潜め、反面、楽器の鳴りやメロディのふくよかさが増しているような印象を受ける一作。ある種、インテリアミュージック的でもあるが、ワールドミュージックな要素や女性ボーカルを起用したりと、初期と比べると作風に変化をつけているのが特徴的か。
調べると当時亡くなったヴィニ・ライリーの母親に捧げられたアルバムで、製作状況などからプライベートな響きを持つアルバムである一方で、アルバムの統一感には欠ける印象を持つ。散文的というか、楽曲ごとにおそらくテーマがあり、完結している分、全体を眺めると物憂げなトーンのみが漂う作り。
それが母の死というものに影響を受けているのか定かではないが、とりとめないイメージの中で漠然と死を受け入れいく戸惑いみたいなものが感じられる。内省的な内容であるだけに、心の揺らぎもダイレクトに伝わってくるようなアルバムで、その点においてはディスコグラフの中でも一線を画す一枚なのかと


Keep Breathing

Keep Breathing

  • アーティスト:Durutti Column
  • 発売日: 2006/03/07
  • メディア: CD
06年発表15th。いつになく開放感のある内容の一枚。ヴィニ・ライリーのギターも従来の無機質さよりも、情感や人間味のある演奏となっており、リズムシーケンスに乗っかったプレイスタイルはそのままに生っぽい感触が取り入れられている印象が目立つ。死のイメージが漂う前々作に対し本作は生を感じるか
楽曲タイトルも人の名前や、日常的なタイトルが多く、アルバムタイトルも「呼吸し続ける」という意なので、積極的に日々の生活をモチーフにした内容なのだろう。どこか突き放した印象、あるいは人間嫌いな偏屈さがあったサウンドがここに来て、自らを含んだ周囲の生活へと目が向いているように思える。
けして暖かい感情があるわけではないが、全体的なフィーリングは朗らかというか、ネガティヴよりポジティヴな方向へと傾いていて、心境の変化が現れているように感じる一枚か。アコースティックギターの多用から来る地中海的なメロディもいい塩梅だ。やや冗長に過ぎる面もあるが良作アルバムといった趣


Wildflower

Wildflower

  • アーティスト:The Avalanches
  • 発売日: 2016/07/08
  • メディア: CD
16年発表2nd。伝説的な1stアルバムから16年ぶりの新作。今回も全編サンプリングという狂気的なトラックメイキング(版権取るのにかなりの時間を要したそうだが)を達成している。前作のひんやりとした印象の内容とは変わって、比較的にドリーミーなポップサウンドが繰り広げられている。
ドリーミーなサウンドやモンド感の強い肌触り、それこそサイケといっていい全体の趣からは、非常に1960年代を思い起こす。そこに現代的なMIX感覚とラップが織り交ぜられて、2016年の作品であることを押し出しているが、やっている事自体はは1stの出た2000年ごろとあまり変わりがないようにも感じるか。
60'sサウンドをサンプリングによって再構築する感覚はタイムレスながら過ぎ去った、あるいは経験していない時代への憧憬にも聞き取れるか。少し後になって、タランティーノが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を撮ったように、あの熱狂と喧騒の時代に「IF」を重ねているようにも感じる
現代にないものを過去に求めてしまうのはある種のノスタルジーでもあるけど、そこから新たに掬い取れるものを拾って、時代の先へと繋げていく。そんな温故知新的な感覚もありながら、取り纏められた作品のように思う。16年の歳月が積み重なっているだけの時を超越した音楽がこのアルバムに詰まっている

音楽鑑賞履歴(2020年4月) No.1372~1376

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

4月、新型コロナウィルスに対しての緊急事態宣言が発令。
社会や人の動きが停滞し、なんだか日々の暮らしも次第に気分がどんよりしていきました。
GWを過ぎた今、緊急事態宣言の延長が表明されて、各所に大きな影響が出ることが懸念されています。
しかし、自分の身としては変化ないというのも何か変ですが、慌しい中で気持ちが滅入りながらも何とか過ごしてる感じです。
4月の鑑賞は5枚ですが、なんやかんやで聞けた方ではないかと。
今後、今のような状況がいつまで続くかわかりませんが、どうにかこうにか様々な事を気に掛けながらも、乗り越えていければいいなと思いますね。

というわけで以下より感想です。


MSB(期間生産限定盤)

MSB(期間生産限定盤)

80年発表1st。ジャズシーンのみならず、TV・映画・アニメ、クラシックなど多岐にわたる分野に活躍するピアニスト、佐藤允彦がクロスオーバー/フュージョン華やかなりし時期に結成したバンド。後にマライヤ、渡辺香津美バンドなどで活躍するSaxの清水靖晃やDrの山木秀夫が参加していることでも知られる。
内容も佐藤よりも若い世代である清水・山木、そしてBの高水健司をフィーチャーしたものとなっていて、彼らの鮮烈な演奏が印象的なものとなっている。当時20代であった彼らの溌剌とした丁々発止な様子に佐藤が触発されて、応酬する格好となっていて、熱気を感じられる好内容といえるだろう
当時の海外グループなどにも引けをとらないレベルの、クロスオーバーフュージョンであり、佐藤のジャズメンとしての素養が、きっちりと歴史の流れに結びついて提示されているサウンドだろう。全体としてスローナンバーの雰囲気に日本らしさが漂っているか。国内クロスオーバーフュージョンの良盤だ。


81年発表2nd。最終作。前作の清新な演奏から、よりアンサンブル度を高めた演奏が聴ける。当時気鋭のミュージシャンを紹介する向きも強かったバンドでもあったが、本作ではさらに発展し佐藤允彦をメインとしたバンドの一体感を増した様子が伝わってくる。演奏のまとまり度合いではこちらに軍配が上がる
フュージョンというよりはクロスオーバーといったほうが相応しい内容で、ジャズの延長線上にあるサウンドで、軽やかというには重みがあり、同時にジャズらしい陰影の濃い感触はフュージョンの煌びやかさには及ばない、鈍い光沢を放っているように思える。音の感触は当時らしくもあるが。
81年だとウェザーリポートが4ビートのジャズに回帰したりしていた時期ではあるが、そういったジャズへの先祖返りとフュージョンブームのハイテクサウンドの中間点、それらが絡まり合った内容なのはリーダーの佐藤のセンスとMSBの面々の若さが巧く融合した結果だともいえる。
70'sクロスオーバーサウンドを髣髴とさせている一方で、音の淡い感じや楽曲トーンの薄墨な印象は日本ならではといった風でもある。演奏は前作より複雑さを増しているが、儚さがイメージに思い浮かんでくるのはこのバンドの独特さなのかもしれない。本作が最後になったが目指す場所に到達している良盤だ


オン・マイ・ワン

オン・マイ・ワン

16年発表3rd。初めてのセルフプロデュース作にして20代最初の作品。前作までのギターを軸としたアコースティック&バンドサウンドに、打ち込みやエレクトロニクスといった新機軸を打ち出し、楽曲の幅を意欲的に広げてきた感のある一枚か。従来のSSW的なサウンドも見せているので、指向にブレはなさそう
デジタルな打ち込みを下手に入れて、従来の作風とはそぐわないものになるアーティストも少なくはないが、ジェイク・バグの場合はそこがかなりシームレスに絡み合っていて、デジタルネイティヴらしい感覚で捉えているようにも聞こえる。アナログとデジタルが同居した音というか。
アコースティックの良さをしっかりと掴んだ所でまた別軸でデジタルな質感の面白さも提示したり、この二つを混ぜたりもする。元々のソングライティングの良さもあって、アレンジが様変わりしても聞けてしまえるのも大きいか。そのあたりの若さと柔軟性がとても機能した内容となっている。
単なるフォークやカントリー、スキッフルサウンドを演奏するレトロ趣味の若者というイメージを払拭するように、きちっと現代的なアレンジを織り込んだ点でも、伝統と流行がちょうどいい塩梅で交じり合った作品なのではないだろうか。楽曲の自由度を得た点では意欲的な成長作という趣の一作だ。


16年発表OST。同名ショートアニメのサウンドトラック。今年20年に実写映画が公開予定だが、本アルバムは原作でコミカルに描かれるクラブDJの世界を上手く抽出した物となっている。正味30分にも満たない内容だが中身はとんかつの様に作品の旨みをぎゅっと凝縮したミックステープの趣でとても楽しい。
カクバリズム所属のMU-STARSメンバー、藤原大輔の作るトラックは、各キャラのDJプレイを意識したトラックメイクをしており、中にはとんかつ屋のキャベツを切る音などをサンプリングしていたりと、細部にまで行き届いた作り。それでいて、現代的なクラブで流れてきそうなものにきちっと仕上がっている。
キャラクターの特色を生かした各トラックもバラエティが良く出ていて、アルバムを通じて聞くとクラブパーティを疑似体験できるような作りにもなっていて、短い内容ではあるがしっかり中身の詰まっている。その聞き応えは十分すぎるほど。原作の可笑しさも忠実に再現しているサントラ名盤だ。素晴らしい


Morning Phase

Morning Phase

  • アーティスト:Beck
  • 発売日: 2014/02/25
  • メディア: CD
14年発表9th(通算12作目)。前作より実に6年ぶりの新作。第57回グラミー賞で「最優秀アルバム賞」「最優秀ロック・アルバム」、「最優秀エンジニア・アルバム」の三部門を受賞。14年のベストアルバムとの評価も名高い作品。事実「Mutations」以来、開拓してきたSSW路線の集大成、という向きを強く感じる
ミッドテンポで、ストリングスやアコースティックの響きを空間的に捉えている内容だが、同路線の作品と比べると洗練の極みというか、ひたすらにハイ(アッパー)な印象を受ける。かつてのダウナーにのた打ち回って停滞する姿はなく、なにか開放感に満ちた音が繰り広げられている。まるで福音の如く響く。
聞いている感覚としては、ゴスペルや聖歌に耳を傾ける厳かなイメージが思い浮かぶ。アルバムのタイトルの通り、朝のまばゆくも淡い陽の光を浴びているような穏やかな心地で聞く楽曲群が立ち並んでおり、1~10曲目までが一繋ぎのコンセプトで結ばれている構成で11曲目以降の流れとともに秀逸な作り。
今まで、ベック・ハンセンという音楽家に抱いていたシニカルで斜に構えた感覚が抜け、ある種達観した楽曲となっており、それこそかつて60年代カリフォルニアの音楽シーンを席巻していたヒッピーカルチャーやフォークソングの流れをまさしく継承する形で見事に昇華した内容に聞こえる。
それゆえの生みの苦しさが当然あった作品だと思うが、あの時代を生きた人間の夢想しただろう、理想郷的な音世界が形となって提示されているだけでも、芸術品として完成度が高いと言えるし、後の時代に生まれたベック・ハンセンがそれらを汲み取って、現代の音としてアップデートした所が重要なのかと。
楽家としての洗練と、時代の遺伝子を受け継いで作り上げられた傑作に間違いなく、内容的にもキャリア・ハイを記録した、ひとつの果実が見事に成熟した事の窺える一枚だ。まさしく集大成。

音楽鑑賞履歴(2020年3月) No.1371

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

今月はまた1枚です。
新型コロナウィルスによる世界情勢、国内情勢の混乱が慌しかった印象で今なお継続中といったところですね。
オリンピックはもちろんその他、イベント関係は大小問わず、自粛、延期、中止という流れもあったり、人の波やらなんやらで
パニックには陥らないパニックみたいな状況下で日々が過ぎていった感じ。
娯楽を楽しもうにも心の底からは楽しめない、なんとも言えない状況ではあったかと思います。いや、音楽も聴いてはいましたけどね?
今年も1/3が過ぎて、人々が争わない戦時下みたいな雰囲気に世界が丸ごと陥るとは思ってもなかったわけですが。
この調子で一年が続きそうな予感もありでなんとも言えないですが、4月はもう少し聞きたいですね。

というわけで以下より感想です。


オデッセイ

オデッセイ

72年発表唯一作。モータウンには珍しい白人・黒人メンバー混合のソフトロックバンド。ディスコ期にヒットを飛ばす同名男女ボーカルグループとは別バンド。日本では渋谷系フリーソウルの流れで90年代に再評価された一作として知られている。聞けばなるほどレアグルーヴ的なサウンドが鳴り響く。
当時のソフトロックやラテンにフォーク、カントリー、ジャズ、ソウルミュージックなどの要素が溶け合って、確かにフリー・ソウル的な括りの音楽が奏でられている。コーラスワークもそれこそFree Designa辺りの男女ボーカルによるシルキーな響きが当時らしくもあり。
一聴きして、モータウン所属のバンドとは思えないほどにはソフトロック然とした内容で、ソウルよりかはカントリー辺りの比重が強く、聴けば聴くほど意外な感じではあるか。ソフトロックからAOR・ライトメロウと洗練されていく過渡期の中で示されたひとつの可能性として聞けるか。
特徴を見出せば、リズムやベースラインのハネ方に黒人らしいバネを感じなくもないが、メロディはフォークやカントリーのそれに柔らかなコーラスワークが重なるので、やはり総じてソフトロックという感触。32分ほどのランニングタイムもあり、聞きやすい良作といったところ。聴いて損はない一枚

音楽鑑賞履歴(2020年2月) No.1365~1370

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
今月は7枚。最近の中では聞けた方ですね。
この所、Spotifyなどではブルースなどをちょいちょい聴いている感じですが、今回は60年代中ごろ~70年代初頭の作品が多かった感じですね。
ソウルミュージックが主です。図らずも当時の黒人公民権運動の渦を感じさせる作品ばかりになりましたが、当時の熱気が凄かったのが作品にも表れているのだなと興味深い鑑賞になりましたかね。
3月に入り、気候もだいぶ暖かくなってきましたが、新型コロナウィルスの影響が世界全体に波及していて、予断を許さない状況が続いてます。各自、体調に気をつけて、日々を過ごしたいものですね。
というわけで以下より感想です。


Other Voices/Full Circle

Other Voices/Full Circle

  • アーティスト:Doors
  • 発売日: 2015/09/04
  • メディア: CD
※以下の二枚はこちらの2枚組コンピレーションのレヴューとなります



71年発表7th。ジム・モリソン死去直後、残されたメンバー三人で製作されたアルバム。前作「L.A. Woman」から引き続きスワンプ色の強い内容で、ホンキートンクさやシカゴブルースのシャープな趣も感じられるサウンドに仕上がっている。演奏だけを抜き出して聴けば、脂の乗ったプレイが最良の形で聞ける
ただ惜しむらくは、やはりジム・モリソンの不在というファクターが非常に強いことか。あの存在感のある歌声を知っていると、レイ・マンザレクとロビー・クリーガーの歌う本作楽曲は一枚も二枚も落ちてしまうのは致し方ないところではある。無論二人のボーカルが目に見えて下手というわけではないが。
収録曲自体はジム・モリソンの死を感じさせない、バンドの新たな船出を感じさせるものなだけに、返ってその存在を強く意識をせざるを得ないものになっているのが最大の不幸というべきか。別の名のバンドとして再出発していたら、そういう印象も拭えたのではないかと思わずにいられない。
ただ、残された彼らはThe Doorsとして活動を続けることを選択した。ジム・モリソンという十字架を背負い、乗り越えようとした結果がこの作品であるならば、それはそれで再評価しうるものなのではないかと感じられる。長い間陽の目を見なかったが、現代でも聞くに堪える内容の良作と言えるだろう。




72年発表8th。ラストアルバム。作曲クレジットからも分かるように、ギタリストのロビー・クリーガーがイニシアチヴを取った一作で彼の才覚が開花した内容。初期のサイケデリックな作風や後期のスワンプ色の濃いサウンドとは打って変わって、中期の「ソフト・パレード」の作風を発展させたような音作り
後期の泥臭さと合わさって、ソウルフルでファンキーなサウンドが最大の特色だ。前作にわずかながら残っていたジム・モリソンの影形はなく、ロビー・クリーガーの音楽センスとギターが全面的に押し出された、レアグルーヴ的な趣も感じられる。この路線でバンドが続いていたのなら、というIFも尽きない
しかしここでも付きまとうのはThe Doorsというネームバリュー。同時期に出たベストアルバムが本作の売り上げを上回ってしまうという憂き目に会い、ジム・モリソンの存在をバンドイメージから払拭できないと悟ったメンバーは解散の判断を下すこととなる。
そういった事情を抜きにすると、本作はジム・モリソンやレイ・マンザレクの陰に隠れがち(それでもバンドのヒットソングはロビーの手によるものが多い)だったロビー・クリーガーがミュージシャンとして頭角を現した一作であり、とても聴き応えのある一枚で、「隠れ名盤」といっていい出来のアルバムだ
またそんなロビーのギターが全編に渡って鳴り響くアルバムでもあり、The Doorsの解散後、ギタリストとしての評価が高まるのも頷ける。The Doorsの最終作として、有終の美を飾っているわけではないがメンバーが次への第一歩を踏み出そうとしてる点で価値のある良盤だろう。


ハーレム・スクエア・クラブ1963(期間生産限定盤)

ハーレム・スクエア・クラブ1963(期間生産限定盤)

85年発表ライヴ盤。1963年、サム・クック32歳のエネルギッシュなパフォーマンスが聞ける、未発表ライヴ音源。当時録音されるも、レコード会社の上層部からスタジオ音源から受ける印象とあまりに違うと1985年まで塩漬けにされていたもの。しかし、流れてくる音は非常に熱気のこもった歌と演奏。
当時白人にも人気のあったシンガーで品行方正なイメージを求められていた、という状況がある中で本作の録音はハーレム・スクエア・クラブ、南部の黒人クラブでのライヴであり、ある種ホームグラウンドな場で披露されている音源だといえる。勝手知ったるなんとやらで、荒っぽくやんちゃな歌という印象だ
演奏も、キング・カーティスコーネル・デュプリーなどの名手を揃えつつ、彼が徐々に見せていたゴスペル指向を滲ませたソウルフルなステージングで、演奏・歌唱ともに63年という時代を考えるとあたかもガレージパンクのような勢いも感じさせる、ワイルドで力強いうねりが伝わってくる。
黒人の公民権運動という大きな渦中にあった当時の熱っぽさもあり、そういった運動にコミットしていたサム・クックや黒人たちの勢いがこのステージの熱気からもひしひしと伝わってくる内容だろう。それを抜きにしても、ただただ力強く響くソウルミュージックの傑作ライヴ音源として記憶したい一枚だ。


Hold on I'm Comin

Hold on I'm Comin

  • アーティスト:Sam & Dave
  • 発売日: 2006/01/31
  • メディア: CD
66年発表1st。サム・ムーアとデイヴ・プレイターから成るソウル史上屈指のデュオ。NYのレーベル、ルーレットからデビューするものの芽が出ず、メンフィスのスタックス・レコードに移籍して、発表されたデビューアルバム。サザン・ソウルのお手本と言わんばかりのシャープなソウルナンバーが立ち並ぶ。
楽曲は当時スタックスの専属スタジオミュージシャンだった、24歳のアイザック・ヘイズと25歳のデイヴィッド・ポーターがほぼ全面的に手がけており、演奏はスタックスのハウスバンドとして知られるMG'S、というこの上ない面子。そこへ二人の息の合ったソウルフルな掛け合いが入るのだから悪いわけがない
アル・ジョンソンのタイトなビートによるジャンプナンバーが非常に魅力的だが、一方で絶妙に配置されたバラードも切なく響き、シンプルに感情が伝わってくるのが堪らない。無駄なものを感じさせない、シンプルな力強さがわずか31分ほどのアルバムの内容を濃くしているように思う。ソウルの王道にして傑作の一枚


ダブル・ダイナマイト

ダブル・ダイナマイト

66年発表2nd。前作より8ヶ月後というハイペースなリリースだが、内容は堅調な一枚。本作もアイザック・ヘイズ&デヴィッド・ポーターのソングライターコンビがアルバム楽曲の半数を占め、このデュオを支える。サウンドのシャープさが抑えられた一方で、ミドルテンポでしっかりと歌い上げる楽曲が多いか
録音チャンネルがきっちりとヴォーカルと演奏で分けられた、当時らしいミックスになっている為、ヘッドフォンなどで聞くと分離過ぎてるように思えてしまうのはやや惜しいか。内容的にジャンプナンバーはほとんどなく、シンガーのソウルフルな歌唱に比重を置いたものな分、前作のようなインパクトはない
しかし、シングルカットされたバラード曲の4を始めとして、サム&デイヴというデュオの実力を浮き彫りにし、じっくりとかみ締めることのできる一枚かと思う。アルバムタイトルが彼らの異名から取られているように、前作では見せられなかった面を存分に披露した深化の一作だろう。演奏が良いのはもちろん言うまでもない。


Soul Men

Soul Men

  • アーティスト:Sam & Dave
  • 発売日: 2014/11/04
  • メディア: CD
67年発表3rd。前作から10ヵ月後のリリース。これまでのアルバムの中で一番、ヘイズ&ポーター楽曲が少ない一方でスティーヴ・クロッパーやブッカー・T・ジョーンズなどMG'sメンバーを始め、スタックスのバンドマンがこぞって楽曲を提供していていて、バラエティに富んだ構成となっている。
1stの溌剌さと2ndの腰の据え方がちょうどいいバランスで共存している作品という印象で、ハイペースなりリースながら、このソウルデュオの熟達がパフォーマンスにもよく表れている。彼らの代表曲のひとつで、タイトルソングである1は当時の公民権運動に影響されたことでも有名な一曲。
演奏も録音も日々進化していく時代の中で、音が洗練されていき、楽曲も複雑化の一途をたどっていく事になるが、この盤に収められた歌や演奏は力強くシンプルに響く。60年代の熱気と激動の中で、ソウルフルな曲もバラードも聞く者の心を捉えて離さない、二人の歌とMG'sたちの演奏が完全無欠な傑作だろう


Pastel Blues

Pastel Blues

  • アーティスト:Simone, Nina
  • 発売日: 2006/02/14
  • メディア: CD
66年発表10th(通算15作目)。ジャズシンガーにして市民運動家としても知られる、ニーナ・シモンのアルバム。当時の黒人公民権運動の渦も感じられるか。まず何よりもとにかく「歌」であり「声」のアルバムという事が前面に押し出されている。その深く野太い声は呻きのような歌となって、耳に襲い掛かる
バンドの演奏も、彼女の歌をこれ以上なく活かそうとするため、収録曲の中にはハイハットのみの伴奏で主役を見事に引き立てているものもあるほど。それだけ「声の存在感」は作品の大部分のウェートを占めている、という事の証なのだが、実際その歌声は魔術的な魅力を秘めているといえる。
このアルバムのハイライトはなんといってもラストの10分もの大曲となっている「Sinnerman」。トラディショナルソングであり、後に映画やドラマなどに取り上げられる一曲だが、彼女の呪術的かつスピリチュアルなボーカライズがいっそう魅力的なものへと昇華させている。体感時間はあっという間だ。
当時の黒人公民権運動へのメッセージソングとしての意味合いがかなり強い、曲の取り上げ方で「I cried, power(Power to da Lord)」の「Power」の部分が強調されている事からもわかるように、公民権という権利を強く求めているようにも聞こえる。そういった怒りと願いが込められた名演だろう。
他の楽曲(スタンダードなど)も、彼女の呪文にも似た歌声によって、新たな魅力が付加されたものとなっており、その深い歌声のインパクトは絶大だろうかと。「Sinnerman」一曲だけでも聞く価値のある一枚であり、ジャズという枠に限定されない、濃縮された黒人音楽が聴ける作品だ。

音楽鑑賞履歴(2020年1月) No.1362~1364

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
20年一発目の履歴です。
3枚。
もうちょっと積んでいきたい所ですが、仕方ない。
イラケレ、EW&F、ボウイの初作というラインナップです。
まあ、この記事の主眼のひとつは生存報告でもありますので、聞く数は少なくとも定期更新を心がけて生きたいところ。
というわけで以下より感想です。



イラケレ +3(期間生産限定盤)

イラケレ +3(期間生産限定盤)

  • アーティスト:イラケレ
  • 発売日: 2016/04/27
  • メディア: CD
79年発表ライヴ盤。通算6作目にしてCBS/コロムビアからリリースされた世界デビュー盤。NYでのニューポート・ジャズ・フェスとスイスでのモントルー・ジャズ・フェスのパフォーマンスを収めた、ラテン・ジャズ/クロスオーバーの名作として数えられる一枚。のっけからテンションの高い演奏が聞ける。
キューバ音楽のイメージというユルいレイドバックした音楽を思い浮かべがちだが、この盤で鳴り響くのは鋭利なホーンセクションやパーカッションの情熱的なリズムに導かれて、躍動する熱気溢れるバンドミュージックだ。レイドバックどころか実に攻撃的な演奏が展開されていて、圧倒される。
グルーヴの熱気だけでなく、プレイヤーたちの演奏能力の高さもあいまって、濃度の高いラテンミュージックを浴びせられる様はまさに血湧き肉躍るといって過言ではない演奏内容で、時を忘れさせてくれる。この時期がバンドの最盛期ということもあって、質量ともに申し分ない名盤だろう。オススメ。


天空の女神

天空の女神

81年発表11th。力作かつ大作だったにも拘らず、揮わなかった前作を受けて挽回を目指して作られたアルバム。ヴォコーダーなどデジタル楽器の導入しつつ、EW&Fの王道的なサウンドが繰り広げられている。ディスコ、R&B、ブラック・コンテンポラリーが一緒くたになった、エネルギッシュな内容は巻き返しを図っているようにも。
日本でもよく知られる大ヒット「Let's Groove」を含みつつ、D・フォスターなどのおなじみの作曲陣が参戦、グループとしては絶頂期といわんばかりの切れ味鋭い演奏で有無を言わさぬ勢いを見せ付けている。何食わぬ顔で軽々と曲芸を見せる軽業師のごとく、キワのキワを渡り歩く完成度の高さを強く感じるか
しかし、グループの歴史を眺めると、このアルバムが彼らの絶頂期の終わりの始まりでもあり次作以降、少しずつ人気・クオリティともに鳴りを潜めていくこととなる。その面からも、EW&Fの華々しさを実感できる最後の大花火といった趣も感じられる一枚だろうか。その分の聞き応えは充分すぎるくらいだが。


David Bowie

David Bowie

  • アーティスト:Bowie, David
  • 発売日: 2011/03/11
  • メディア: CD
67年発表1st。いわずと知れたロックスター、デヴィッド・ボウイの初作。奇しくもビートルズ「Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band」と同日リリースを飾っている。その内容は、当時のマネージャーのアイディアでボブ・ディランのようなSSWを狙ったものとなっており、ボウイが全編作詞作曲している。
ただ想定されていたフォークソング的な物とは異なり、英国らしい戯作的でシアトリカルな歌唱、ポップな曲調とは裏腹にアシッド・フォークめいた、それこそサイケな趣を感じさせるメロディなど、この時点では開花していないにせよ、後のキャリアを髣髴とさせるスタイルがすでに垣間見えているのが特色か
その意味では可能性が詰まっている一枚ではあるが、当時所属していたデッカ傘下のデラム・レコードでは芽が出ないまま終わり、2年後の「Space Oddity」にて才能を開花させるのは周知のとおり。ある種、鬼子のような扱いの初作だが、青さの残るボウイという才能の萌芽が窺える貴重な作品だろう。

音楽鑑賞履歴(2019年12月) No.1360~1361

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
明けましておめでとうございます、と言うには日が経ちすぎてしまいましたが。
1月も下旬に入ったところで、新年最初の音楽鑑賞履歴です。
昨年12月はシングル2枚しか聞かなかったのは過去最低記録かなあとは。
音楽はSpotifyで聞いてはいるんですけど、忙しさにかまけて家で鑑賞する時間をとらなかったのがこの結果でしょうかね。
買っている分を消化したいなと思いつつ、今年も気ままに音楽鑑賞していければいいなと思います
というわけで以下より感想です。


16年発表SG。同年放映のアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」第3期の主題歌曲集第一弾。「ニュームーンに恋して」は3バージョン+αある内の作曲者、やくしまるえつこのバージョンが本作。やくしまるらしい柔らかなメロディが力強い演奏で聴けるドラマティックな一曲。特筆すべきはギターソロ。
個人的には10年代の中でも屈指のギターソロといっても過言ではなく、ソロの入りから抜けまでのエモーショナルな感覚は得も言わせぬ出来栄え。これだけでも買う価値のある演奏だろう。カップリングはED曲。「百合ップルの元祖的存在」ともいわれるコンビが歌う耽美な一曲。
目の前に二人だけの世界が広がるとは言いすぎだが、そういった密な雰囲気を感じる一曲。ただ曲としては佳曲の域を抜け出ないか。キャラクターソングとしての水準はクリアしていると思われるが、それ以上のものではないか。OP曲が強烈なのもあって影が薄くなるのは致し方ないが内容的は良シングルだろう


16年発表SG。こちらも16年放映のアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』の1クール目主題歌。作品の舞台である99年、ひいては90年代を想起させるブラックミュージック調の男性アイドルグループ的なポップソング。カップリングにはEDMバージョンも収録されている。なかなかの良曲。
90年代におけるバブル崩壊後の不穏な空気とそのバブル景気の残り香を嗅ぎ取れる、享楽的な趣もあり、連載当時の時代も浮かび上がらせる二重三重に90年代をコーティングした10年代後半のホップスとして聞かせる手腕はとても興味深い。第三部から雰囲気がガラリと変わる印象も与えているかと。
そういう点からも光と影の明暗が色濃い90年代を物語りつつ、10年代後半のアニソンとして機能しているのは時代が一回りした感触もあり、作品の内外から生まれるイメージをうまく押し出していると感じる。何度聞いても聞き飽きない一曲といえるだろう。

話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選

今年もやってまいりました。話数単位で選ぶ、TVアニメ10選です。
毎年放映されたTVアニメの中から話数単位で面白かった回を選ぼうという有志ブロガー企画。
新米小僧の見習日記さんが集計されている、年末の恒例企画です。
「話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記
大まかなルールは以下の通り。

ルール
・2019年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。


本ブログは9回目の参加です。なお過去の10選は以下のリンクから。


話数単位で選ぶ2011年TVアニメ10選 - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ2012年TVアニメ10選+α - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ2013年TVアニメ10選+α - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選+α - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選 - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ、2016年TVアニメ10選 - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選 - In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)
話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選 - In Jazz -What's Going On-


筆者としては「記録を残す」という点で、企画に参加してます。今年も10選コメントについては手短にまとめてあります。同様に全話見てない作品からの選出もしていて、かなり寄せ集めとなっています。ご了承ください。
ちなみにスタッフ名等々は敬称略です。日付は地上波放映日、Web上の公開日の最速に準拠しています。


《話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選》
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・マナリアフレンズ 第4話「試験期間」(2/11)
(脚本:関根聡子/絵コンテ:村山公輔 /演出:茉田哲明/作画監督:崎口かおり、助川裕彦、吉岡佳宏、角田桂一、重国勇二/総作画監督:吉田南)

16年の放送延期から、スタッフを刷新して放送となった作品。シリーズ全体としては素晴らしい出来とはならなかった(降板した監督で見たかった、という思いは今も強く残る)作品で色々と不満はあるのだけど、選出した回の出来は突出していたと思う。「月曜日のたわわ」で冴えた仕事を見せていた、シャフト出身の村山公輔さんの時間コントロールの巧みさが15分というショート枠に収まらない密度を感じさせて良かった。アンとグレアの馴れ初めや気の置けない感情が上手く詰まっていた良編だったかと。

・スター☆トゥインクルプリキュア第2話「宇宙からのオトモダチ☆キュアミルキー誕生!」(2/10)
(脚本:村山功/絵コンテ・演出:畑野森生/作画監督:高橋晃)

今年のプリキュア。視聴自体は2クール目辺りでフェードアウトしてます。なので作品全体を語ることは出来ないけど、今思えば作品の一番伝えたい骨子はこの2話で語りきってしまってるように思わなくもない。裏を返せば、2話以上のテーマの描きが2クールを経過した段階で、見られなかった(もしくは焼き直し)のが個人的には見なくなってしまった理由でもある。ひかるとララがお互いの違いを認識し、自分の枠を破って、可能性を信じるというプロセスが上手く描かれていて、多様性とコミュニケーションを織り込んで作劇していたのが見応えがあったなと。

・少女☆寸劇(コント)オールスタァライト第22話「ひかりからのクエスチョン」(11/29配信)
(脚本・プレスコ演出:堀雅人/アニメーションディレクター・音響監督:山元隼一/SDキャラデザイン:高橋千尋

反則技その1。アプリゲーム「少女☆歌劇レヴュースタァライト Re:LIVE」内配信アニメ(1週遅れでYouTubeでも無料配信)。いわゆるスピンオフコント(コメディではなく)アニメ。基本的にプレスコ制作してる作品なのでキャストの演技が先録りされている。この為、自由度が高い分、ネタの当たり外れもでかいシリーズになっているのは否めないか。とは言っても、こんな底抜けなコントになってもキャラクターたちの本質を(デフォルメ強めだが)外していないのは、キャストさんたちの力量ゆえかと。そんな中でも光る回もあったりで、選出した回はコントとして手堅く出来が良かったと思う。ひかり・まひるがどこかに行ってしまった「スタァライト」の戯曲本の在り処をクイズ番組仕立てに華恋に問いただすという仕立て。ベタながら、華恋・ひかり・まひるの役回りがはっきりしていて、コントとして纏まっていたのが良かったかと。彼女たちのエピソードは安定感があって良かったですね。

戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE 13 「神様も知らないヒカリで歴史を創ろう」(9/29)
(脚本:永井真吾、金子彰史/絵コンテ:小野勝巳/演出:小野勝巳、成田巧/作画監督:稲熊一晃、大久保義之、加藤弘将、椛島洋介、坂本俊太、宗圓祐輔、長坂寛治、中島順、畑智司、ハニュー、福田佳太、藤本さとる、普津澤時ヱ門/総作画監督藤本さとる椛島洋介、普津澤時ヱ門/アクションディレクター:光田史亮、式地幸喜)

第5期にして、シリーズ最終回という慰労の意を込めての選出。2010年代をほぼほぼ駆け抜けていく長期シリーズになるとは思ってもなかったけども、荒唐無稽に荒唐無稽を重ねた、過剰な論理展開とそこに乗っかっていくキャラクターの熱量と歌だけで押し通した勢いは良くも悪くも替え難いものだったかと。その為、色々と未消化な部分も残るわけだが、響と未来の関係を描き切ることに集中した潔さは買いたい所。なにより、主演の悠木碧さんがシリーズを重ねる毎に演技を熟成していったことと声優としての進化が著しかった点でも貴重な作品だったように思います。児童向けを除けば、10年代で生まれた数少ない長期TVシリーズ作品として記憶しておきたい。

・キャロル&チューズデイ episode:01「True Colors」(10/20)
(脚本:赤尾でこ /絵コンテ:堀元宣、渡辺信一郎/演出:堀元宣/作画監督:堀川耕一ヤマダシンヤ/総作画監督伊藤嘉之

…どうしても10本選べず穴埋め枠です。好きな方はすみません。多分、放映前の期待値は高い作品だったと思うんですよ。しかし送り出された初回が主役たちの邂逅で終わるという地味な出だしと、序盤でのキャラクターとストーリー構築に思い切り躓いた結果、作品全体が空中分解してしまった惜しい作品、という印象です。これもシリーズ構成・脚本の降板があって、当初の企画案から軌道修正されていることはおそらく確かなんだろうと思いますが。要素の一つ一つは悪くない一方でそれを繋ぎ合わせて構築するのが上手くなかった感じですね。アメリカの現代を反映した?ストーリーも馴染みが薄かった(反面、海外では一定の評価もされている)のも、評価を難しくさせているようにも。演奏シーンはともかく、作品に流れる音楽は魅力的でしたね。

ブギーポップは笑わない第7話「VSイマジネーター 4」(10/20)
(脚本: 鈴木智尋/絵コンテ・演出:斎藤圭一郎/作画監督:原科大樹/総作画監督筱雅律、土屋圭)

ブギーポップシリーズ「初」の原作をアニメ化した作品。監督・脚本コンビの手掛けた「ACCA13区監察課」同様、原作の再構成と省略によってその魅力を抽出した、堅実かつ手際の良さが目立った作品だったが、その中でも冴えを見せていたのが新鋭の演出家、斎藤圭一郎さんの担当回。エピソードの折り返し点といった内容の中で、主人公格である谷口正樹と織機綺の関係性を光と影の対比で、演出した手腕はお見事でした。お互いがお互いに「光」を見、自分の「影」を照らしている辺り、煙に巻かれて要領を得ない作風の中で「ボーイ・ミーツ・ガール」を機能させている原作から、さらに一歩踏み出して、彼らの関係性を上手くクローズアップしていたのがとても良かったですね。来年、期間限定で劇場公開される「ACCA13区監察課OVA版でも演出されるそうでそちらも楽しみです。

BanG Dream! 2nd Season#4「ゴーカ!ごーかい!?のっびのびワールド!」(1/24)
(脚本:後藤みどり/絵コンテ:高橋成世/演出:間島崇寛/CGディレクター:小川晴代/2D作画監督:茶之原拓也、八森優香、花井柚都子、阪本麻衣)

ハロー、ハッピーワールド!回。Poppin'Partyをメインに描いた1stシーズンからソシャゲの「「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」を経て、製作された2ndシーズン。すでに3rdシーズンの放映も決まっているけど、続編ものには珍しく2ndシーズンの方が作品の出来が良くなっているのは、他バンド&キャラの投入、ソシャゲのコミュやエピソードで醸成された、関係性構築の仕込みが再アニメ化したことによって爆発したから尽きるかと。その辺りのリカバーも冴えているけど、選出話数は登場バンドの中でも、常識への捉われなさと荒唐無稽さが合わさった型破りなバンドが「ハロー、ハッピーワールド!」のメイン回。リーダーの弦巻こころが学校の三階から平気で飛び降りて無事だったり、Poppin'Partyを「ライヴを楽しませるのに常識はない」と証明するために、財力を使って豪華客船でおもてなししたり、メンバーのミッシェル(熊、中身は奥沢美咲)のパワードスーツ(コナミコマンドで発動)作れたり、気球の上で演奏したりと、やりたい放題な一方でこころと奥沢さんの強固な関係性を見せたりとバンドの在り様とともに、作品の可能性を拡張している話数だったんじゃないかと。「この作品でここまでしていいんだ」って思わされた時点で白旗を揚げざるを得ない、というか一体、何のアニメを見せられていたんだ…?

リラックマとカオルさん第9話「雪だるま」(4/19)
(脚本:荻上直子/監督:小林雅仁/絵コンテ:瀧尻愛/チーフアニメーター:峰岸裕和)

NETFLIX枠。映画「かもめ食堂」監督、荻上直子さんを脚本に迎えて製作されたストップモーションアニメ作品。干物女子なOLカオルさんとリラックマたちののんびりとした(かつ世知辛い)日常を活写したシリーズ。その丹念な日常描写が「マジカルエミ」などにも通じる密度の濃い描きであるのが、ちょっとした高級感を醸し出していましたね。選出回はシリーズとしてはファンタジックな内容で、普段の現実的な描写があるからこそ、雪だるまたちが動き出しリラックマたちと交流するシーンが活きる。雪の儚さとちょっぴりの寂しさが心に響く一編。映像手法もどちらかといえば映画やドラマのそれに近く、アニメらしさをリラックマの存在感やデフォルメの効いたキャラデザインで担保してるのも興味深かった。一話単体としても良編だったのではないかと。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 8周年特別企画 Spin-off!(11/10有料配信、12/9無料配信)
(脚本:樋口七海/監督:吉邉尚希/キャラクターデザイン:タカナシ テツロウ)

反則技その2。人気ゲームアプリ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」の8周年を記念しての短編アニメーション。ええと実質、劇場版「少女革命ウテナ」。佐藤心一ノ瀬志希、黒埼ちとせ、神谷奈緒、的場梨沙の5人が「世界」を突破するアニメ、と言えばなんとなくピンと来る人も多いはず。実際、製作に関わったプロデューサーがウテナの影響下にあることを明言している事からも、お墨付きな一本でありますが、アイドルを演じている事を課せられているキャラクターたちが「世界を突破する」事を描いているのも、ゲーム本編の内容を考えればかなり挑戦的なのではないかと。むしろ、ここまでビッグコンテンツとなっている作品が自己批判を含んだ作品を送り出せる、懐の深さを感じますね。
近年、アニメや漫画などでウテナトップをねらえ2!の影響を感じる作品が自分の観測範囲で目立つ印象ですが、肝心の本家が振るわない(少なくとも筆者にはそう感じる)反面、それらの要素を伴ったフォロワー作品の方が面白く感じられますね。これもまた時代の流れでしょうか。なおこちらは無料配信されているので以下の動画から視聴可能です。



THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 8周年特別企画 Spin-off!


・星合の空 8話(11/29)
(脚本:赤根和樹/場面設計:竹下美紀/絵コンテ:加瀬充子/演出:名和宗則作画監督:中山みゆき、シノミン、斎藤和也、黒川あゆみ、古林杏子、松本弘、亀田朋幸/総作画監督高橋裕一

志城南中学男子ソフトテニス部マネージャー、飛鳥悠汰と御杖夏南子のそれぞれの決意と実践(とそれに伴う弊害)。この作品について言えば、以下の引用がふさわしいと思う。

「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでいく。我らが雛で、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ。世界を革命するために。 」
~「少女革命ウテナ」より~ 

「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生れようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」
~「デミアンヘルマン・ヘッセ高橋健二訳)


ウテナでの有名な一句とその元ネタのヘッセ「デミアン」からの一節。そのどちらも恐らくは「モラトリアム」を「世界」に見立て、思春期の人間のアイデンティティの確立を物語っている言葉だと思う。「星合の空」もそういった思春期の少年たちが自身の家庭環境やコンプレックス、ひいてはそこから生まれ出る葛藤に足掻き苦しむ作品であり、10代の子供たちが「自分らしさ」と「社会性」を物語を通じて、獲得していく事を描こうとした作品だと思う。本作の監督、赤根和樹さんは作品に対して、常に誠実な姿勢で向かっているように見える。それだからこそ、彼らに介在する問題点やその性質を付加した両親や家庭環境にも衒うことなく真っ直ぐに踏み込んでいく。



ここでも書いたように、男子ソフトテニス部部員のほとんどが大なり小なりの問題を抱えており、同時にその原因たる親たちの問題点も炙り出していく。こと日本のサブカルジャンルの創作において、両親の存在は脇に追いやられることが多いが、本作はそこに対してがっぷり四つに組んでくる。部員たちの問題と両親(家庭)の問題の両方から真っ向に描き、その一筋縄でいくわけもない問題をソフトテニスという「青春」を通じて、ひとつひとつ紐解いていく試みを目指していたのだろう。そういう観点から日本の創作において、枯渇しかけているヤングアダルトジュブナイル)として本作を描こうとしている姿勢は大いに評価したいところ。
選出した回はメインに描かれる両者のソフトテニスの向き合い方が「間接的」かつ角度の異なったものであることがよく分かる。悠汰はソフトテニス部の「為」ならばと、自分の持つジェンダーに対する違和感に向き合い、夏南子は変わっていくソフトテニス部に「触発」されて、自分が向き合っている「絵」に対して真剣になっていく。ソフトテニスという「フィルター」を通じて、少年少女たちが変わっていく姿を活写していく。そういった自己の発露に伴う障壁として「親」や「家庭」が首をもたげてやってくる。それは「卵の殻(=世界)」を破るための不可欠な困難というべきか。子は親を選べない以上、子は親と違うことを示して、自立していくほかない。もちろんそこに生まれる反発や弊害に対して、効力を発揮するのは部活というコミュニティの繋がりやそこで得た自信や社会性、なのだろうと思う。本作の主人公である眞己にしろ、必要に迫れて「生きる」為に同世代よりも一足早く「大人」にならなければなかった。その事実がソフトテニス部に関わる「雛鳥」たちに波紋となって広がっていく。人生という道のりは先が長いからこそ、登場人物たちの抱える問題も完全に解消されることはない。しかし、それに対して上手く付き合える術や行為を持つことが大事なのである。そういった点でも8話はある意味「解き方」を提示したエピソードだったようにも思う。障壁を乗り越えるために、「自分らしく」あるために、どうすべきか。抱える葛藤を解く「鍵」を最初に手にしたのが、ソフトテニスに直接関わっていない二人というのもまた示唆的といえばそうかもしれない。それぞれがそれぞれに向き合うべき障壁が存在し、そのハードルの高低も様々で、それらの仕込みは極めて丹念に行われていた。
それ故にこれを書いている途中で舞い込んできた、本作に関する諸事情については残念でならない。
願わくば、作品が然るべき結末にたどり着くことを期待したいという思いを込めて。


《2019年の総括~20年代に向かって》
今改めて思えば、2016年が「分水嶺」だったような気もする。
3.11からの4年間の変化と、16年からの3年間の変化を比べると、(体感としては)圧倒的に後者の方が目まぐるしく動いているような気がしてならない。あらゆるものの境界線が曖昧になっていく、というのを16年の記事に書いてあったのをいまさら思い出してはいるが、同時に日本国内のあらゆるものが目に見えてボロボロになっていく様があちこちを見るたび、暗澹たる気分に陥りつつ、一個人としては日々の生活をどうにか生きていかなければならないというダウンスパイラルに国全体が沈んでいく、という印象が漂う。来たる2020年には東京にオリンピックが来るという状況に喜ぶべきか悲観すべきかはたまた無関心であるべきか、よく分からなくなってくる。
まだ国家の経済的には余裕がある(はず)なのに、しかるべき方策を打てない(打つつもりのない)政府と内閣。国自体が「政治音痴」(政治家だけでなく、政治に対して無頓着な国民すべてが)とも言うべき状況でいったい何が出来るのだろうかといったら、なしのつぶてだ。何か変わらなくてはいけないけど、変わってしまうと生まれる不都合への反発で何も出来ない。それなのに外圧に押しつぶされるままに、日本国内の重要な制度や事案が為政者の都合だけで塗り変わっていってしまう。何をやろうとも何も出来ない、変わらない。そういう徒労感・虚無感に飼い慣らされる内に思考力、行動力まで奪われそうな現状にどう抗えばいいのか。何もわからない。
そんなこんなでまもなく2020年だ。元号も「平成」から「令和」に変わり、次なるディケイドに突入していく。世界情勢的にも決して明るい未来は来ないだろうし、どの国も内憂外患な状況に変わりはない。しかし、その中でわれわれは生きていかなければならないことだけははっきりしている。そのほとんど唯一といっていい、「死への道程」ともいうべき人生をどのようにサバイブしていくべきか。これから先の道は険しいことだけは間違いないが、それでもなにかに「救い」を求めたり、何かにすがって、一時の安寧を持つことだけは許されてもいいだろう。生きるための潤いだけは何があろうとも失いたくないと、心から思う。


ちょっとのひずみなら
何とかやれる
ちょっとのひずみなら
がまん次第で何とかやれる
日々の暮らしには辛抱が
大切だから
心のもちようさ


ちょっとの搾取なら
がまん出来る
ちょっとの搾取なら
誰だってそりゃあがまん出来るさ
それがちょっとの搾取ならば
心のもちようさ(繰り返し)


JAGATARA[「裸の王様」より「もうがまんできない」歌詞一部抜粋~




《最後に》
とまあ以上、最後重たい気分になりつつも、今年の10選でした。いやあ、集まるかどうかヒヤヒヤしました。
19年は図らずともアニメに重点をあまり置けず、どちらかといえば2.5次元系やそれこそNHK大河ドラマに興味が移りがちだったのが個人的な振り返りとしてまずありますね。今年を象徴する作品として「いだてん~東京オリンピック噺~」を挙げたい位には、久々に大河ドラマを鑑賞できてよかったなという印象もあり、アニメはと言えば「天気の子」に代表されるように、興行成績はともかくとして劇場アニメ作品が盛況な年でしたね。反面、その皺寄せがTVアニメに降りかかったようにも感じられ、やや覇気に欠ける一年だったのではないかと思います。TV放映のフォーマットに限界が見えてきているのもさることながら、ストリーミング配信フォーマットが今度新たな道を切り開いていくか、など分水嶺に来ている印象はひしひしとあります。生活スタイルの変化に伴って、視聴状況も変わっていくことでしょうし、今後どうなっていくか注目していくと面白いかもしれません。
20年代、今後の自分自身のアニメ視聴がどうなっていくかはわかりませんが何かしら記録に残せていければいいかなとは思っています。この「話数単位で選ぶ、TVアニメ10選」企画においては、集計作業を一手に引き受けていらっしゃった新米小僧さんが今回10年目を機に企画を離れることとなりました。自分はなんだかんだ、初年度に参加しなかった以外は皆勤で参加していました。長く続けられたものだなとも思うし、同時に一年の取り纏めとして定期行事になっていたのも、新米小僧さんのさりげなくも確かな存在感があったからこそだと思います。今後企画がどうなっていくかはわかりませんし、自分も今後続けるかはまだ分かりませんが、とりあえず。


10年間の集計作業、お疲れ様でした。
そしてありがとうございました。


20年代も当ブログは続く限り、ユルく活動していきますのでよろしくお願いします。
スタァライト関連も頑張りたいのでまずはそこからこなしていきます。お待たせして、申し訳ないですが気長にお待ちください。
以上、2019年最後の更新でした。
それではまた来年もよろしくお願いします。