ヒーリングっど♥プリキュア11話。プリキュア・ヒーリング・オアシス初披露回。前回に引き続き香村さん脚本、絵コンテは角銅さん2回目。演出は演出助手としてシリーズを支えている髙戸谷一歩さん。作監は姫プリから参戦している松浦仁美さん。プリキュア初参戦が香村さんの各話脚本でしたね。縁がある pic.twitter.com/rnEZK5pAJc
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月17日
話の方はこちらも前回を受けて、キュアグレース(のどか)の意志(Will)というよりヒーローとしての信念が改めて語られて、明確となったエピソードだったのではないかと。積み上げられてきた描写によって、主人公・花寺のどかが今作のメインである意義を証明しているのはキャラを立てる点でも丁寧かつ堅実
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月17日
内容を振り返っていくと、今回は特に「立ち位置」に重きが置かれているに注目したい。話の冒頭、シンドイーネのメガビョーゲンをやっつけた後の場面のグレース(とラテ)、フォンテーヌ&スパークルの立ち位置。この距離感こそがかなり重要なのだと感じる。 pic.twitter.com/pX87ZeRJrj
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
エレメントさんの状態を窺う二人とは少し距離を置いて、ラテを心配するグレース。描写自体は何気ないものだけど、前回の事を踏まえると、やるべきことをこなせるフォンテーヌやスパークルに対して、自分には何が出来るのかという戸惑いを彼女の背中が物語っている風にも取れる。とても孤独な背中。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
もちろん孤独というのは言葉のあやで。背負っているヒロイズムがある種超然としているというか、のどかの「生きる」という事とキュアグレースの「みんなを助ける」という事が表裏になっている故にそう見えるんですよね。「生きる」事が目的化してる、とも言える。だから前回のような迷いも生じるわけで
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
ちゆやひなたは既に「生きている」事が前提にあって、「生き方」の問題が浮き上がってくるわけだけど、のどかにおいては「生きる」事が前景に来ていて、その延長線上にキュアグレース、つまりプリキュアがあるというイメージなんですよね。「生きている」ことに強く希求しているというか。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
そこの構図が、今回のエピソードで多用されているロングショットの構図にも表れているんですよね。「生きている」ことそのものに無頓着というか当たり前すぎて気づいていない二人と「生きている」ことの重みに気づいているグレースの対比。そこの温度差は確実に存在してるんじゃないかと。 pic.twitter.com/oudleTVEH4
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
ですから、時間経過によって強大化したダルイゼンのメガビョーゲンに森の奥まで、吹き飛ばされた三人の立ち位置関係もとても重要。展開的にはヒーローものの定番とも言える、太刀打ちできない敵を前にして逡巡するタニの描写ですが、今度は逆に二人が背中を見せて、のどかが前を向く構図。 pic.twitter.com/Z8I73W1GXw
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
生きているとどうにもならない事態に直面することもあるけど、二人は「生き方」が前提にあるから、こうなってしまった原因を自分の取った行動に求めてしまう。後ろを振り返る二人に対して、のどかが戸惑うのは「生きている」事にスタンスの比重が傾いている故なのかなとも。 pic.twitter.com/93pNgN9Pp4
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
知性と感性が立ち行かなくなり、理性だけが空回りしている雰囲気だけど、この物語で成すべき正義は「地球をお手当てする」の一点に尽きるので、この三位一体のバランスが崩れてしまうと成すべき事も出来なくなってしまう。以下のロングショットには「凪(=停滞)」のイメージが込められているように思う pic.twitter.com/W7AqPWie7Q
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
シーンはやや前後するけど、ビョーゲンズに蝕まれた土地は二度と元には戻らないと、ラビリンの口から出た言葉に動揺する三者三様の表情。受け止め方は様々だけど、その土地の「死」を意味する事を聞いて、一番深刻になるのが「生きる」事が前提にあるのどかなのは必然なんだよね…。 pic.twitter.com/ZQPalRXFPS
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
のどかのヒロイズム自体が自身の入院生活で医師(看護士かも)からの「(生きる事を)諦めず戦ってほしい」という言葉に結びついているのは言うまでもなく、「強く生きる」というのが彼女の人生観にも大きく寄与してそう。病は気からというのでもないけど、翻って心強くある事が生命力の強さでもあると。 pic.twitter.com/CY0a9XCBK4
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
のどかにとっては「生きる」という事に「諦めずに戦う」事がひっついていて、前回で重なり合っていなかったのどかとキュアグレースの像がここでは重なっているわけですね。彼女にとっての「強く生きる」という信念がプリキュアとしての「諦めずに戦う」事に転換出来ている。 pic.twitter.com/xae8h208hj
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
「諦めずに戦う」という事はつまり「生き方」にも転用できる。だからのどかの諭しを聞いた二人の心が、このロングショットにおいて「風」とともに吹き抜けるわけですね。非常に上手いシーン。のどかの心が「風」となって、みんなに伝わる比喩としても見事なのではないかと。 pic.twitter.com/fjtRA2x1KD
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
そして場面的にも、ここを境に心情的には好転して、全員が前向きになり、タニの描写が終わるわけですが、そこのプロセスにのどかの一本筋通った信念があればこそ、という描写に思えるのですよね。作品のメインキャラの矜持を内外に認知させているという点でも重要な描写でしょう。 pic.twitter.com/Ulj5tV9tG5
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
で、今回の最重要シーンはここなんですよね。ここまでの話数でのどかが走っている描写というのは毎話描かれていたわけなんですが、ここのシーンはその中でも極めて重要といえるのではないかと。 pic.twitter.com/WeJ1qby68c
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
どういうことなのかは過去のエピソードから拾ってくれば一目瞭然なのですが、ここまで三人が一緒になって走るシーンでは自分が確認できているだけでも、のどかはいつも「最後尾」なんですよね。本人の体力的な問題もありますが、前回のプリキュアになって走っているシーンでもそれは変わってません。 pic.twitter.com/gijNNSRW46
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
今回のエピソードで「立ち位置」がとても重要だといった理由はここにあるわけですね、前回のどかの心に渦巻いた迷いが断ち切られて、のどかとキュアグレースの像が重なり合ったことで、二人を引っ張っていく存在に成長するのを丹念に描いてきたと言えるでしょう。 pic.twitter.com/DnQNbJEDAK
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
Bパートのメガビョーゲン再戦はグレース(のどか)の信念を実践したものでプリキュアが諦めないで戦うことで、エレメントさんにも生きることを強く持つのを促す、そんな医者と患者の相互協力関係を表したものとなっているのが、ただ単に敵と対峙するだけではない「戦い」を描いてもいるわけです。 pic.twitter.com/LE15lOhHAu
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
チームとして一段階、成長した結果、ミラクルヒーリングボトルが表れて、三人の合体技「プリキュア・ヒーリング・オアシス」が得たのも、きちんとプロセスがあってこそなのもそうですし、積み上げた描写の上に成り立っているものなのが、丁寧だなあと思えますね。 pic.twitter.com/sbx2vzvQhG
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
あと上手いなあと思ったのはこの対比。メガビョーゲンを倒しても、完全に元には戻らなくて、時間がかかるという点。一時は消滅も危ぶまれたエレメントさんが力を振り絞った甲斐あってのベターな結果というのが、今後の布石としても秀逸だなと。 pic.twitter.com/164AoiS5VK
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
今回の一件はこれで落着と思いきや、ティアティーヌ様が安堵の裏側に潜む不穏を感じ取る所から、敵側の第二段階を出して、気を緩ませない作りなのが物語の手綱引きとしても、次のフェーズに入った感があっていいですよね。 pic.twitter.com/7BSZoiMVJ4
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
ダルイゼンのメガビョーゲンが吐き出した、ビョーゲンズの種が自然物から今度は動物に襲い掛かってくるのはそう来るのかと思ったところ。そうだよなあ、「生命」の営みを考えたら、食物連鎖みたいなところに触れてきてもなんらおかしくはないだろうし。 pic.twitter.com/f6AARkA4nL
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
食物連鎖を敵側が侵食する形で悪用していくのならば、行き着く先は人間でもあるわけで。そこまで行くなら、「実際地球に害なしているのは人間である」所まで行けてしまうテーマ取りだと思うので、その辺のさじ加減をどうして行くんだろうか、気になるところですね。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日
敵サイドがこの布石を得て、第二波を作っていくのもちゃんとした長期シリーズの構成だなとも。しかしここまで現在の世界状況にリンクした作品メッセージが送れるのもタイミングがいいよなあとも、狙ったわけではないだろうけど、作品として「なにか」持ってるような印象もありで今後が楽しみです。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月18日