ヒーリングっど♥プリキュア10話。校外学習回。脚本はローテが一周して香村さん。絵コンテは大畑さん2回目。演出ははぐプリからシリーズに参戦してる関暁子さん。作監は森亜弥子さん・高野ゆかりさんの共同。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
敵の同時多発襲撃に対してキュアグレース(のどか)がトリアージ(選別)を迫られるエピソード。 pic.twitter.com/m272Yndhps
トリアージは主に医療用語で「患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して『選別』を行うこと」で特に災害医療などに際して、最大効率を図るための行為とされていますね。そういった治療に困難を要す極限状況において行われる多くの命を救うための最善手といった感じでしょうか。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
今回のエピソードはまさしくキュアグレース(のどか)が「選別」を迫られる回であり、プリキュアという「ヒーロー」である存在理由を問われている回でもあるわけですね。ちゆやひなたと違って、日常についての堀り下げではなく、プリキュアとして掘り下げられるのはのどか、と言った所でしょうか。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
けどまあ、今回はアバンタイトルでの下りがすべてを物語っていて、日常の何気ない小規模なピンチののどかが出来ること、足りないことが詰め込まれている。集合場所の駅前でお婆さんがお金を落としてすかさず、のどかが手伝う、思いの先走るのどかに近づく自転車をちゆが遮る。 pic.twitter.com/NAIk999fDR
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
お金が全部拾えたけど、まだお守りが見つからない→ひなたが遅刻ギリギリでやってきて、その機転とひらめきで排水溝の脇に落ちたお守りを見つける。と、のどかの足りない所をちゆ・ひなたが補っているという格好となっていて、彼女の「人の役に立ちたい(助けになりたい)」気持ちだけでは解決できない。 pic.twitter.com/P1qI1uSeZy
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
成し遂げたい意志(Will)はあっても、それに伴う規範(Norm)と発想力(Idea)がないと、行動(Action)には結び付いてこないというのがここでの描写に込められている一方で、これが「理想形」でもあるわけで。逆説的に今回のエピソードでは「そう」ならないことも示されているわけですね。 pic.twitter.com/tbC8BulpDz
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
実際問題、ちゆに「のどかは危なっかしいんだから」と指摘される程度には、思いに対しての勢いが余りすぎて、あわよくば取った行動が「大きなお世話」になりかねない危険も含んでいる。成すべき思いと成し遂げる力が重なってないと、誰かを助けることが出来ないのは明らかだし、自らも救われないよね… pic.twitter.com/EYfj6DMCjK
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
2話の感想でもこう語ったように、のどかはどこかにずっと「生かされている」という実感を持っていたはずで、一人で「生きる」ことを実感したい、その為に自分から他人を助けたいと思考する子なので、とかく心の奥底では他人に助けられたくない、という気持ちは働いてそう…。https://t.co/rhW0K3dB0e
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
だから10話アバンで三人がそれぞれの特性が重なり合いつつ、問題を解決するのって現段階では逆に「珍しい」んだよね…。ほら、ここまでの話も、特にコンビネーションを合わせて戦ってきた、というわけではないし、どっちかという個々のマンパワーで押し切ってきた部分もあるわけで。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
ある意味、今回も対比となっているビョーゲンズの三幹部たちのバラバラさ加減は連携の取れないのどかたちと同義な面もあるし、彼女たちの裏返しでもあるのだと思う。その辺は徹底してるよね。そこまで行くかどうかはわからないけど、人間=地球の病原菌みたいな論法もなんか含まれてそうにも思うし。 pic.twitter.com/DsQrlo7k9L
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
でまあ、本筋に入ると校外学習でガラス美術館の見学に来たのどかたちにビョーゲンズたちが三者三様それぞれ別の場所に来襲して、三箇所に分かれて戦うことに、という内容。最初に言ったように、今回はグレース(のどか)がトリアージ(倒すべきビョーゲンズの優先順位)を迫られることになるというのが焦点 pic.twitter.com/IAPb2XBPO5
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
時間が経てば経つほど、地球を蝕み強くなるメガビョーゲンたち。ラビリンたちは手に負えなくなる前に1体ずつ、三人で倒すべきだと提案、これにフォンテーヌやスパークルは賛同するのだが。 pic.twitter.com/wgFZz5q042
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
グレースだけは、ガラス美術館で出会ったガラス工芸作家の長良さんの思いを知ってしまった分、美術館で発生したメガビョーゲンを見過ごしたくないという「我」を出してしまう。というか、日常描写でもちらほら垣間見せていた、自らの「思い」に対する頑なさが判断を狂わせている感じ。 pic.twitter.com/ADraWlA3Ma
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
さっきも言ったようにグレース(のどか)は自分の生きている実感を飛躍させて、「(自分が)今度は他者を助ける番」と気負っているのもあって、一人相撲を取ってしまうという危うさを抱えているわけですね。この為敵を吹き飛ばしておきながら美術品の為に敵を守ってしまう自己矛盾な行動を取ってしまう。 pic.twitter.com/DeudSfOUxQ
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
プリキュア(ヒーロー)としての正義を図ろうとして、気持ちが一人歩きしてしまい、行動が無茶苦茶になってしまう。人の為になりたい、尽くしたいという気持ちとプリキュアとしての能力に振り回されてしまって、取るべき行動(優先順位)の選別が出来なくなってしまうわけですね。心と体が伴っていない状態
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
この辺がのどかの抱える問題点でもあるわけですね、のどかであることのとキュアグレースであることの乖離という端的にいうと自己同一性(アイデンティティ)の問題が降りかかっている。ちゆやひなたはその自己がプリキュアの姿とイコールで結ばれるけど、のどかはそうじゃない。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
基本的にのどかがその本心を垣間見せる時に、表情が見えなくなり、口元だけが開くというイメージの提示があって、「生きている」という事に対して全肯定なのだけど、その全肯定が「戦う」状況においては足枷になってしまうんですよね。「生きる」事と「戦う」事が噛み合ってないというか。 pic.twitter.com/CvdUdfr5zP
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長期の入院生活があって、のどかは生きる実感に対してはあらゆる事に肯定的だけど、キュアグレースとなって敵と戦うときには今回のように「選別」する判断を下さないといけないわけで何かを取捨選択しなくてはいけない岐路に立たされている。それもまた「生きる」事なのだけど。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
この辺り、芯の強い思いに対して脆弱な身体であることをプリキュアになる事で補えてしまっているというギャップが彼女の中に発生していて、のどかがキュアグレースであることがきちんとしたイコールで結ばれないというのが非常にネックな問題であるのかと。信念に対してはブレがないのだけど。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
のどかで出来ないことが、キュアグレースになると出来てしまうという齟齬が彼女の内には潜んでいるんですよね。もう初回に変身した際、「自分の身体じゃないみたい」と自ら言わしめるように、そこの溝をどのようにして埋めるのか、というのがのどかのテーマであるように思えますね。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
それ故に、のどかとキュアグレースの像が「重なる」部分が彼女の成し遂げたい思いに対して、フォンテーヌとスパークルがサポートするという格好になるのが、アバンの「成功例」のリフレインとなって降り注ぐわけなんですよね… pic.twitter.com/ETpQypCHwr
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
プリキュアになると身体能力的には強くなるけど、当人の気質・性質はアップデートできないという点がのどか/キュアグレースの場合にはかなり強く出ていて、キュアグレースであること自体が彼女の理想と重なっているように見えてしまうのですね。この問題はなかなかに厄介なものかと思われます。 pic.twitter.com/C7RSGzgHJ0
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
その証拠に、美術館でのメガビョーゲンを倒した後のグレースの浮かない表情は戸惑いもあるわけですよね。プリキュアになってみんなを助けるはずだったのに、頑なな思いが邪魔して、判断を鈍らせたことに対しての。 pic.twitter.com/iZ4uHtflbw
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
だから自分の行動を顧みて、反省するわけですがこうやって見ていくとやっぱりのどか/キュアグレースにおいてはヒーローの資質がずっと問われているわけですね。プリキュアとして戦いの中で選ばないといけない事を「生きている」という全肯定の中では受け止め切れないという所が。 pic.twitter.com/VtOvkpEg3i
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
さらに言えば、対立軸的にはのどか自身の「影」であるダルイゼンとの対峙も、6話の段階では受け止める段階ですらないので、とことんキャラクターの内面的な問題をえぐる方向で布石が置かれているような印象がありますね。https://t.co/rkQyMKTvi8
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
変身前と変身後の自己存在の噛み合わなさや、それこそダルイゼンという「影」との対立など、今後解決すべき軸がいくつか見えているその「重み」がなかなかエグさがあるなとも。ちゆとひなたが対人関係における自己の置き方がテーマだけど、のどかは自己に対する深度がテーマみたいな印象を受けますね。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
そういう点ではここのラビリンとの対話とかも自浄的な機能でもあるわけだけど、今作はのどかの背景設定を利用しての「プリキュアの存在理由」や「プリキュア当人たちの内面」に焦点を当ててるのはオーソドックスながら攻めているし、だからこそ表情芝居にこだわってるのかなとも。 pic.twitter.com/lMvrluxcL0
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日
やっぱり長期シリーズの序盤として各キャラ、テーマに沿って、小規模な問題からひとつずつ紐解いていくのは、長丁場だからこそな所がありますね。のどかにしろ、ちゆ、ひなたも問題は完全に閉じてはいないわけで。次回、おそらく後編だけど今回の話を踏まえて、どう展開するのか楽しみなところですね。 pic.twitter.com/TdayetjQyi
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年4月10日