話数単位で選ぶ、「Go! プリンセスプリキュア」10選

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どうも。
周回遅れですが、記録として「Go! プリンセスプリキュア」10選をやってみようかと思います。
個人的には少し踏み込みが足らなかった作品、という印象を感じてしまうのですがそこはメイン視聴層じゃない人間の視点なのかなと。もちろんメイン視聴層に向けたキャラクター作りなど、基本を押さえてたとは思います。そんな人間が選んだ10選だと思ってみていただければ。
では各話簡単にコメントを添えています。

第4話 キラキラきららはキュアトゥインクル
脚本:田中仁/絵コンテ・演出:座古明史/作画監督:爲我井克美

【コメント】
きらら初登場回。
これはもう、座古さんの演出が光った回かと。キュアトゥインクル変身後のクレーン車を駆け上がって、星空に吸い込まれてからの流星キックがカッコよかった。プリキュアになることをお断りする定石の外し方も面白かったけど、きららのサバサバした性格なら、やりたいこと優先するよなという納得感があったのが上手いなと思わされました。

第10話 どこどこ?新たなドレスアップキー!
脚本:香村純子/絵コンテ・演出:畑野森生/作画監督:フランシス・カネダ、アリストテル・ナサリオ

【コメント】
ドレスアップキー探索回。
という以上に、今作のメインテーマである「夢」と「学園」を上手く表現した回。秘密の花園然としたローズガーデンと風車小屋に置かれていった卒業生たちの希望の欠片の演出がいいなあと。たぶん、当初の夢とは異なった道を歩いてる卒業生もいるんだろうけど、学園を通じて、培った夢が先の道を育んでいるんだろうなあとか。そういう想像の余白が生まれる描写を感じられて面白かった回です。

第29話 ふしぎな女の子?受けつがれし伝説のキー!
脚本:香村純子/絵コンテ:鎌仲史陽/演出:岩井隆央/作画監督:上野ケン

【コメント】
先代プリキュアからドレスアップキー継承回。
ええと、個人的に先代キュアトゥインクルを演じられた清水香里さんが好きでして。選考理由はそこの一点のみです。台詞的にはあまり多いとは言えない役柄だったけど、清水さんがプリキュアになった!と素直に喜んでしまった回なのです。お話的には本作プリキュアたちの位置関係の問題が浮き彫りになってしまったようにも思うんですが、過去から未来への継承されているところはポイント高いかなあと思います。

第42話 夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道!
脚本:伊藤睦美/絵コンテ:佐々木憲世/演出:平山美穂/作画監督:河野宏之

【コメント】
終盤のきららメイン回前編。
終盤は各キャラの「夢」への問いかけと答えがそれぞれ見所があったエピソード群だと思います。きららの元に大きなチャンスと、自分に憧れる後輩が登場するわけですが、4人の中で一番、現実的に夢へと邁進してきた彼女が自分の夢へ突き進むか、後輩の夢を守るかで揺らぐのが面白かった。結果的に自分で掴みかけた「星(夢)」を手放す事になるんだけど、そこの苦みが飛び去って行く飛行機と重なって、それだけ重い判断だったんだなあという演出が好きです。モデル繋がりでいうと、フレッシュプリキュア9話で美希も同じ悩みを抱えてたけどこっちの方がより深刻ではある。そこの味わいの差が本作らしさだったのかなとも思う回ですね。

第46話 美しい…!?さすらうシャットと雪の城!
脚本:香村純子/絵コンテ・演出:村上貴之/作画監督:中谷友紀子

【コメント】
トワがノーブル学園で築いた友情を雪の城で描く回。
……だけど、個人的にはシャットの印象が強く残るエピソード。最後のチャンスも失敗に終わって、行き場所のなくなったシャットが感情を吐露するが白眉の出来。シャット役の日野聡さんが今までの彼の動向をフィードバックした上で吐き出した演技に唸ったなあ。さんざ振り回された挙句に進むべき道を見失った彼の絶望の先に見える希望があってほしいと願いたくなったの言うまでもなく。声優さんの演技に拍手したいエピソード。

第48話 迫る絶望…!絶体絶命のプリンセス!
脚本:香村純子/絵コンテ:佐々木憲世/演出:岩井隆央/作画監督:渡邊巧大

【ひとこと】
正体バラシ回。
プリキュア作監の渡邊巧大さんのキレのいい仕事に目を奪われながらも、ここでもシャット役、日野聡さんの演技が冴え渡る。
自分らしく生きる道に希望を見出すその姿は今までの事があったからこそといった感じです。先に紹介した46話とこの48話の演技で今作のベストアクトに決まった感がありますね、シャットさん。とはいえ今作の最大の特徴として活躍した、プリキュアに変身しないゆいちゃんを始めとしたノーブル学園の面々の心の強さも「夢」への想いの強さがきっちり描かれたのは最終展開として王道でしょう。そういったサブキャラの描きにも今作の特色を見出せそうです。

第16話 海への誓い!みなみの大切な宝物!
脚本:成田良美/絵コンテ・演出:中村亮太/作画監督青山充
第36話 波立つ心…!みなみの守りたいもの!
脚本:成田良美/絵コンテ・演出:芝田浩樹/作画監督:爲我井克美
第44話 湧き上がる想い!みなみの本当のキモチ!
脚本:成田良美/絵コンテ・演出:暮田公平/作画監督稲上晃
第45話 伝えたい想い!みなみの夢よ大海原へ
脚本:成田良美/絵コンテ・演出:芝田浩樹/作画監督:赤田信人

【ひとこと】
最後は4本まとめて。「みなみさんの夢」シリーズです。
16話以降のみなみさん回の脚本はすべて成田良美さんという事もあって、そこの含みあるかなあと。自分の評価としては二つあって、一つはメインの4人の中で「将来の夢の方向転換」が描かれた点。もう一つは「夢をきっかけに描かれる成長する少女の機微」という点ですね。この二点においては今作のキャラで一番明確に描かれているのではないかと勝手に思ってます。
正直、どの子も優秀すぎるきらいのあるシリーズだったから「心の成長」については割とクールだったというか。どの子も「夢」に対しての信念が強かったから、あまり迷いがなかったのが自分は惜しい所だと思ってます。(はるかのは「夢」を信じていいという「保証」をしてたカナタが前提を突き崩してしまった面が大きいから苦悩以前の問題)だから「夢を悩む」事で自分らしさを見つけ出すみなみさんのエピソード群が心に響いたわけです。
とっかかりの16話、彼女の心に波紋を呼び起こす36話、悩みながらも方向が定まる44話、雨降って地固まる45話。あと、メイン回から外れますけど42話でもみなみさんの心が揺れている描写(街頭テレビにイルカが映し出される場面)があって、そこも美味しいなあと。特に36話は映画の方にも出演された坂本真綾さん演じる、北風あすかの存在もやはり大きくて、そういったタイミング的にもラッキーだったのかなと思うほどです。
プリンセスプリキュアという作品自体、華やかさの中にひっそりと現れる寂寥感が隠し味だったなと感じてて、ここまではっきりとそれぞれの夢へと向き合うために「別れ」を描いたという所に起因してそうですよね。希望を感じさせる「出会い」があれば「別れ」もあるみたいな。44話のみなみさんときららの会話シーンもそういった「揺れる心のもの寂しさ」がありましたし。それぞれがそれぞれの「夢」へとたどり着く様が描かれる中、「心」が思い描く夢にたどり着くみなみさんのドラマが自分の本作におけるベストエピソードなのかなと。4本合わせて、1エピソードとして語りたいです。


【終わりに】
以上が自分の10選になります。
なんというか、メインライター(シリーズ構成)の担当したエピソードが1話しかない結果に。これはこれで面白い結果ですが、鑑みるに自分には大枠の話が弱く感じられたのかなと。はるかやトワのエピソードにそこまで感じ入ることが出来なかったのが大きそう。どっちも相方がいて映えるキャラでしたしね。その一方でサブキャラクターの話は結構楽しんでみていたように思います。ミス・シャムールの回とかテニス大会の回とか、サブキャラが動き回る回や悪役にスポットの当たる回の方が注目して見れていたようにも。作画演出的な見どころはシリーズ歴代トップクラスだと思いますし、そこは満足度が高い作品でした。
もう次の作品が放送開始となっていますが、どのような作品になっていくのかを楽しみに見ていければなと。
そんな所です。ここまで読んでいただきありがとうございます。