2011年私的コミックベスト10 

2011年も色々な漫画作品に出会いました。
というわけで私的コミックベスト10を紹介していこうと思います。

選考基準は

1:基本的に2011年1月〜12月までに発刊された新刊が対象
2:その中で筆者が買って読んだ作品の中から面白かったもの

要は独断と偏見で選ばさせていただきました。それでは10位から降順に紹介させていただきます。
続きを読むをクリックしてスタートです!



10位:Sakura Cluster(作:リヨ)

Sakura Cluster 1 (ASAHI COMICS ファンタジー)

Sakura Cluster 1 (ASAHI COMICS ファンタジー)

【紹介】
D
↑の動画で有名なベルナール・リヨ三世さんのコミックデビュー作。
http://bookstore.yahoo.co.jp/Sakura+Cluster-dc/free_magazine-136882/
雑誌連載じゃなく、ネット配信コミックスとして連載中。
内容はある日主人公の家の隣にやってきた少女ファリーンが巻き起こすドタバタストーリー……なのだけど
不穏な空気も感じられる割と本格派SF。


9位:エリア51(作:久正人

エリア51 1 (BUNCH COMICS)

エリア51 1 (BUNCH COMICS)

エリア51 2 (BUNCH COMICS)

エリア51 2 (BUNCH COMICS)

【紹介】
月刊コミック@バンチに連載中。
グレイトフルデッド」(キョンシー)「ジャバウォッキー」(恐竜×スパイアクション)などの作品を描いてきた作者の新作。
内容はハードボイルドUMAアクション。
アメリカに存在する幻の51番目の州エリア51」で、
私立探偵真鯉徳子(通称マッコイ)が繰り広げる神魔怪物妖怪UMA入り乱れたアクション作品。


8位:けずり武士(作:湯浅ヒトシ)

けずり武士(1) (アクションコミックス)

けずり武士(1) (アクションコミックス)

【紹介】
漫画アクションに月一連載中。
名作「耳かきお蝶」を描いたベテランの新作。
内容は食と江戸時代。池波正太郎的な話であるかもしれません。
素浪人、荒場城一膳が繰り広げられる必殺仕事人的チャンバラ時代劇なのだが、
それ以上に重視されているのが当時の食事情の薀蓄。
連載最新話では時代背景も絡んできており、その点でも興味深い作品。


7位:ディザインド(作:木葉功一)

ディザインド(1) (シリウスKC)

ディザインド(1) (シリウスKC)

【紹介】
月刊少年シリウスの季刊別冊「ネメシス」に連載中。
「キリコ」「マリオガン」などハードバイオレンスで知られた作者の新作。
本作はまさしく原点回帰。「キリコ」で見せたハードバイオレンスを今の筆致で描いてます。
一匹狼のフリーカメラマン虎髪明がそのカメラで巨悪と世界の真実を打ち抜く、血と煙のバイオレンスストーリー。


6位:サユリ(作:押切蓮介)

サユリ 1 (バーズコミックス)

サユリ 1 (バーズコミックス)

サユリ 2 (バーズコミックス)

サユリ 2 (バーズコミックス)

【紹介】
月刊コミックバーズに連載されていた作品。全二巻(一巻は2010年発売)。
現在も数本の連載を抱えている多忙な作家の短期連載作品。
とある丘の上の一戸建てに引っ越してきた家族。
しかしその家には恐るべき怨霊が潜んでいた……!
偶然にも今年のアニメ漫画のキーワードの一つである「家族」にスポットの当てられたホラーコミック。


5位:女の穴(作:ふみふみこ)

女の穴(リュウコミックス)

女の穴(リュウコミックス)

【紹介】
新鋭作家がコミックリュウに掲載した短編を集めた作品集。
収録作品はどれも女性と性にまつわる話。
鬼気迫る作品もあれば、女性特有の感覚に重きを置いた作品も。
筆者的には連作の「女の豚」「女の鬼」が出色の出来。
新人作家では今年一、二を争う掘り出し物でした。


4位:少年ノート(作:鎌谷悠希)

少年ノート(1) (モーニング KC)

少年ノート(1) (モーニング KC)

少年ノート(2) (モーニング KC)

少年ノート(2) (モーニング KC)

【紹介】
モーニング2に連載中。
隠の王」で有名な作者の次の手はボーイソプラノもの。
舞台は中学校の合唱部。
ソプラノの歌声も持つ天才少年が入部してくる事で始まる群像劇、といったところ。
物語の肌触りとして、正統派ビルドゥングスロマンス(少年の成長もの)。
青春と言う人生の中の短い時期の葛藤や苦悩を瑞々しくも鮮やかに描いた作品。
作者的にも新たなフェーズに入った事を印象付けた作品かと。


※ちょっとブレイク。次点作品&青田買い作品。
あと一歩でトップ10、個人的には選外にするのは惜しい作品。


・次点作品
同人少女JB(作:一本木蛮

同人少女JB(1) (アクションコミックス)

同人少女JB(1) (アクションコミックス)

【一口紹介】
発売日はまだですがwebで全話無料公開されています。以下リンク。
見つかりません | WEBコミックアクション
いわゆる女性オタ版「アオイホノオ」。
当時の背景等が細かく描写されていて、むしろ本家より面白いんじゃね?と思うところ多々あり。
ちなみにアオイホノオの作者、島本和彦先生がネーム監修をされているとかなんとか。

鏡野町のカグヤ(作:草凪とんぼ

鏡野町のカグヤ 1 (電撃コミックス)

鏡野町のカグヤ 1 (電撃コミックス)

【一口紹介】
絵柄に惹かれて、表紙買いしたら当たりだった作品。
一口に言ってしまえば、御伽噺のお姫様ハーレムもの。カグヤ可愛いよカグヤ。
さりげなく伝奇ストーリーの要素もあって、期待も高まるが、短期で終わりそうな不安もないとは言えない。
願わくば長続きして欲しい。


まりかセヴン(作:伊藤伸平

まりかセヴン(1) (アクションコミックス)

まりかセヴン(1) (アクションコミックス)

【一口紹介】
筆者がファンな作者の新作。
簡単に言ってしまえばウルトラマンエース(初期設定)の女性版みたいな作品。
個人的には作者の女の子の書き方が好きです。
これに限って言えば、今のところ入れるほどでもないなあと思う一方、
好きだから入れたいなあという気持ちが半々で迷って、結果入れなかった作品です。
朝日新聞の書評にも載った事で話題になった作品ですね
願わくば楽勝!ハイパードールの6巻を出してください(懇願)


・青田買い作品まだ単行本未発売&個人的に注目の作品をピックアップ。

とんがらし(桐村海丸)
【紹介】
週刊コミックモーニングに連載された、新人のデビュー作。
後に新撰組を結成する事になる男たちの、それ以前の生活を活写した珍しい作品。
強引に言ってしまえば新撰組版「高校球児ザワさん
絵の切り取り方が非常に絵画や写真を髣髴とさせるもので雰囲気に浸れる所が楽しい。
筆者も全部追えてはいるわけではないが、是非単行本になったらじっくり読んでみたい作品。

ちゃりんこちんぷい(作:坂井音太 画:玉置勉強)
【紹介】
スーパージャンプで連載開始、現在グランドジャンププレミアムで連載中の作品
内容は自転車もの、ではなく音楽漫画です。
しかも題材がロックとか軽音部の日常とかではなく「ブルース」なのがシブい。
おまけに登場人物が女子高生3人+主人公(男)と言う点も興味深い。
こちらは12年の1巻が発売。要注目。

ラジオヘッズ(作:向浦宏和)
【紹介】
ヤングジャンプに連載中。
こちらも高専という特殊学校が舞台の青春もの。
作者の前作「カジテツ王子」の後期に見られた青春ストーリーへの傾倒をより深めた作品。
ものつくりで日本に貢献する人材を作る学校で繰り広げられる、
ちょっぴりおバカでエッチで時にアツい、技術大国日本の復権を応援する作品。
こちらも単行本が1月発売です。

でこぼこガーリッシュ(作:原鮎美)
【紹介】
隔月刊Fellows!に連載中の四コマ作品。
背が高く、男にしか見えない女子大学生と背が小さく、お子様にしか見えない女子大学生のコンビが見せる
日々の日常を描く作品。
「ピーチ・オン・ザ・ビーチ」で脚光を浴びた作者の肩の力を抜いた、ほのぼのと百合しているお話。
隔月刊で8ページ程度の連載なのでいつ単行本化するか分からない(いつまで続くものかどうか)
が、切に単行本化を祈願しています。お願いします。


※ブレイク終了。以下トップ3の発表!



3位:アベックパンチ(作:タイム涼介)

アベックパンチ完全版 中巻 (ビームコミックス)

アベックパンチ完全版 中巻 (ビームコミックス)

【紹介】
月刊コミックビームに連載された作品。上中下巻全3巻
(以前に2巻まで発売されたが最終回まで収録された完全版が今年発売)
愛すべきろくでなし野郎どもの愛の賛歌。
アベックパンチと言う世にも珍しい男女混合の格闘技という特殊設定を軸に語られる男女の物語。
競技スポーツものとして読むのも良し。
純粋な愛の物語として読むのもまた良し。
一気呵成に読んだ時のクライマックスの高揚感と来たら、筆舌に耐え難い。
不器用な男どもの愛に生きる姿のなんと美しい事よ。


2位:帝一の國(作:古屋兎丸)

帝一の國 1 (ジャンプコミックス)

帝一の國 1 (ジャンプコミックス)

帝一の國 2 (ジャンプコミックス)

帝一の國 2 (ジャンプコミックス)

【紹介】
月刊ジャンプSQ.19に連載、2012年3月号から月刊ジャンプSQに移籍が決定した。
末期の月刊ガロからデビューし、その後メジャー誌を転々としていた作者がついに掴んだ作品。
この作品に描かれているもの、それは「学園闘争」だ。
主人公、赤場帝一の野望、それは父の果たせなかった海帝高校の生徒会長、そして総理大臣への道。
その為に戒律の厳しい縦社会である海帝高校生徒会に身を投じ、奮闘する姿を描いた作品である。
と、ここまで書いて、堅苦しい印象を受けるかもしれないがその実、そんな事はない。
本作は奇跡的なバランスの上に成り立っている作品だと言える。
主役の帝一ならびに登場人物は皆本気なのである。
栄光の生徒会長になる事=将来の道が約束されたも同然。
生徒会メンバーは全員それを目指して、派閥争いを繰り広げるわけなのだが、
それを眺める読者に非常に滑稽なものにも感じられるから不思議。
バクマンで言う所の「シリアスな笑い」を地で行く作りになっている。
しかし、そういった体制に疑問を持つ勢力も現れ始め……なんと物語のヒキも強くなるという無双状態と化したこの作品。
本誌移籍で果たしてどういった展開を見せるのか今後の期待が高まる作品でもあります。


1位:預言者ピッピ(作:地下沢中也)

預言者ピッピ(2)

預言者ピッピ(2)

預言者ピッピ (1)

預言者ピッピ (1)

【紹介】
1巻は4年前の発刊。4年の月日を経て、今年ついに続刊が発売。
この作品が出ていなければ、別の作品が1位だったかもしれない。
それほどに切望していた作品なのでこうして出てしまった以上、この位置にしかならない。
内容はまさにSF。
地震予知ロボット、ピッピがかけがえのない親友である人間の少年タミオを失い、
果てしもない計算の上に導き出した予知は人類の運命だった。
預言者と化したピッピにすがる人類。
滅亡か進化か、人類はその二択を迫られる。
二つに一つ。
答えを提示されてもなお、人はその運命に抗う事が出来るのか否か。
何かにすがらないと生きていく事が出来ない人類の愚かしさを書くと同時に、
一方で必死にその運命から抜け出そうともがく登場人物たち。
そこへピッピですら予知し得ない不確定要素が見え隠れ出し、物語は一層、混迷を極める事となる……。
今年は東日本大震災が発生し、図らずとも時代にリンクしてしまったこの作品。
東北出身である作者はこの作品を通じて、一体どんな壮大なストーリーを描こうとしているのか。
早くも続刊が待たれる作品だがその期待に違わぬ展開が待っていると筆者は強く願っています。