月一恒例の音楽鑑賞履歴。
久々に20枚。
今回はバラエティに富んでますね。映画の鑑賞を極力抑えたのが多く聞けた原因かも。
なにかぱっとしない天候の続いた一月でしたが、そのおかげで秋の深まりをひしひしと感じましたね。
後半は映画「アトミック・ブロンド」を見に行った影響で、作中の時代近辺の音楽を聴いてます。
久々にいいアクション映画を見ました。
今年もあと残り二ヶ月。いよいよ年末の慌しさが押し迫ってきそうですが、体調を崩さないようにしたいですね。
というわけで以下より感想です。
17年発表1stSG。ブシロードの「アニメ×演劇」二層展開企画作品「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の1stシングル。9/22~9/24の公演において披露された全員曲の3曲を収録した物となっている。どれも作品を象徴するナンバーで印象的。歌詞の方も専属作家が付いていて統一感がある
その為、いろいろ歌詞も想像しがいがあるものとなっているが曲順も練られていて、9人の歌唱が一塊になっている1から2、3へと行くにつれて、キャストの個性を細分化していく曲構成になっていて、興味深い。楽曲のキャッチーな魅力がある一方で、歌詞も読み込ませる仕組みで今後の期待が高まる一枚だ
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」限定シングル スタァライト九九組「プリンシパル -Fancy You-」
少女☆歌劇 レヴュースタァライト, 【販路限定】「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」限定シングル スタァライト九九組「プリンシパル -Fancy You-」 | きゃにめ
17年発表会場限定版SG。同じく「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の会場限定販売シングル。リンク先の公式通販サイトで購入可能。1stの全員曲に対して、こちらはユニット曲が3曲収録。こちらもキャラの配置を考えると考察があれこれ思い浮かぶような作り。収録曲は全て公演で披露されている。
曲想は1stよりさまざまで、開放感のある曲があれば、エレガントでスキャンダラスな曲もあり、バラードもある構成。こちらも歌詞を読み解いていくと、キャラクターの背景がより深まるように出来ていて、現時点で提示されている情報以上にキャラの一面が読み込めるのが面白い。作品を拡張する良盤かと
- アーティスト: Journey
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 1996/10/15
- メディア: CD
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ベイエリアのサイケ的なアプローチから発展したコズミックなブルーズ感覚の強い、スピリチュアルな猥雑さをスティーヴ・ペリーという稀代のVoの存在によって払拭、洗練化させていっているのは時代の追い風とともにロックの「形」が完成されていったのにも付随しているように思える。
当時の評論家がそれを「産業化」と揶揄したのも理解はできるが、形式が固まったからこその、ジョイフルな魅力はやはり捨てがたい。かつてはカウンターミュージックでもあったロックが「ポップミュージック」として完成されていく様子がバンドの変遷からも窺えるのはなかなかに興味深い一例ではないかと
アルバムとしては次作の大ヒット前夜的な過渡期な向きも否定できないが、まだ落としきれていない「垢」がなんともいえない妙味を出していて、捨てがたい一作だ。とはいえ、バンドとしては転換点でオリジナルメンバーのグレッグ・ローリーが脱退。次作以降はさらにポップな色合いを強めていく。
- アーティスト: ZAZEN BOYS
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2012/09/05
- メディア: CD
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歌詞の方はナンセンス度が今まで以上に跳ね上がり、煙に巻く作りになっているが、だからこそ見えてくる知性の鋭さにどきりとする瞬間も。前作ではあまり見られなかった定番のフレーズも今回は健在でメタリックかつエレクトロなザゼン・ファンクはさらにグルーヴを増しているようにも受け取れた。
それだけにかなり掴み所のない作品にもなっていて、一度聞いただけでは魅力に気づきにくい作品になっていることも確か。意識しないで聞いているといつの間にか終わってたというのもあるが、バンド特有のグルーヴを覚えれば、実に奥行きが深く、底の知れない一枚でもあるように思う。歯応えのある良作だ
- アーティスト: マルコス・ヴァーリ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/06/11
- メディア: CD
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もちろんボサ・ノヴァやサンバを感じさせるリズムに60年代的なキッチュさがまだ乗っかっているのだが、アクになっておらずあくまで自然体に推移している。一方でその奏でられるメロディは癖が強く印象的ではあるが、アジムスのクールな演奏力の高さとヴァーリの作曲能力の高さもあって非常にポップ。
メロディラインはかなり不思議な印象を残すものであるのにも関わらず、ファンシーさもありつつ非常に甘さを感じる中毒性の高いポップになってて、飽きが来ないのは興味深いところ。キャリア最高傑作とも評されるのも頷ける、時代の5年先を行くサウンドを提示した傑作だろう。ベースラインも心地いい。
- アーティスト: ヒートウェイヴ,HEATWAVE,山口洋
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1992/08/21
- メディア: CD
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92年発表3rd。ミュージシャンズ・ミュージシャン的な評価も高いギタリスト、山口洋率いるバンド。派手なことは一切しない、無骨なまでに響くギターフレーズをメインにした、オーソドックスなロックが特徴。大陸的な雄大さを伴ったアーシーな開放感が日本人離れしたスケールを感じさせる。
歌も普遍的で力強いメッセージを伴っていて、フォークソング的でもあるが変に媚びた印象がなく、文字通り等身大のパーソナルに響くものとなっていて、すごく誠実さを感じるもの。非常に堅実さのある、心と体が見事に合わさった抜けの良い素朴なメロディとビートがとても心地良い快作だろう。
- アーティスト: キャロル・キング
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2013/03/06
- メディア: CD
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ロックの混沌と熱狂が渦巻く響きに対して、極めて冷静かつ内省的なサウンドは60年代的なフォークソングやソフトロックとも一線を画しており、適度な湿度と重さを感じさせる。のちにウェストコーストサウンドと呼ばれる流れと密接にリンクしており、このテイストがAORやライトメロウに繋がっていく
それゆえにカントリーやソウルなどの歌ものに比重を置いた作りにもなっていて、演奏は「歌」に寄り添うものとして扱われているのがよく分かるし、完成度の高い演奏も求められているのも窺える。より音楽の個性と完成度を際立たせる点においてはかなりエポックメイキングな作品なのではないかと思う
その面ではこの盤は歴史的な分岐点でもあったと考えられるだろう。余談ではあるが、ほぼ同時多発的にこの時期、荒井(松任谷)由実が日本でデビューを果たしている事からも、60年代的な趣に区切りが付き、70年代が始まりを告げた一枚なのだろう。後の影響も大きい、すべての始まりが詰まった傑作だ
- アーティスト: Knack
- 出版社/メーカー: Image Entertainment
- 発売日: 2001/09/25
- メディア: CD
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テンポが落ちた分、演奏の味わい深さが増していて、一音一音の瑞々しさと甘酸っぱいポップな響きはかつてより熟成した魅力を感じる。酸いも甘いも混ざり合って、バンドの持つメロディと演奏の良さが引き立つ。もちろん衰えもあるがそれを弱みと感じさせないエネルギッシュさは昔と変わらず顕在だ。
カントリーやロカビリーなどのルーツミュージックの側面も見せつつ、歌があっていい演奏とビートがあって、グッドメロディーがただそこにある、素朴な喜びを感じさせてくれる一枚かと。単純に聞いていて、気持ち良いし楽しくなる。じっくりと繰り返し聞きたくなるそんな良盤。一発屋の姿はもう、ない。
- アーティスト: ジュリアン・カサブランカス
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN Inc.
- 発売日: 2009/11/04
- メディア: CD
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久々に視聴して思うことは、この時点でジュリアンが10年代的なサウンドの指標を提示していた点に尽きるかと。ロックバンドがEDM化していく一方で、挑戦的な音はアンダーグラウンドに潜んでいくという傾向。10年代も後半に入っている今聞くと彼の指標がそのまま洗練化されているの気付く。
発売当時は割りと凡庸な作品に思えたが、今にして思えば時代の先が見えていたのだなと思わざるを得ない。とはいっても、水と油のような可能性を同居させている分、その悪夢的かつ前衛的なアルバム構成はポップさに欠けている面も無きにしも非ずだ。高いアート性は感じるが名作には一歩及ばない佳作か。
- アーティスト: Damned
- 出版社/メーカー: Ume Imports
- 発売日: 2009/02/24
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結局、メインストリームなポップ志向はバンドの柄じゃないということが最大の要因だとは思う。前作で発掘した作風をより能天気な方向にした分、美意識が損なわれ、下世話な地が顔を出してしまった印象を持った。ただこういう無邪気さはこのバンドの美点であり欠点でもあるので悩ましさは残る
内容が良くないというよりは、サウンド面で取り纏める役がいない分、好き勝手にやったらこうなってしまった、という感じだろうか。事実、この盤ではミックスやリミックスが多いのはなんとなくそんな側面もあるのでは勘繰りたくはなるが。その垢抜けなさがなんとも愛らしく感じる佳作、という所か。
- アーティスト: Damned
- 出版社/メーカー: Castle Music UK
- 発売日: 2002/10/15
- メディア: CD
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このような顛末にいたったのは楽曲の権利関係の模様。どうも9年の間に活動休止状態にあった中、ドラムのラット・スケイビーズが本作でのバンドメンバー、アラン・リー・ショウと制作した曲がメインになっており、そこにデイヴ・ヴァニアンが参加するという形で作られたのがこのアルバム。
また、デイヴの方も離婚を経験して、慰謝料の補填する為にツアーと続けたかったのと、ソロバンドの活動があったことや、ラットの方も当初は乗り気だったようだが、少ない客を相手するのに難色を示し、本作の楽曲権利で揉めた末、脱退というバンドの内情が悪化した時期の作品でもある。
そういった混沌とした状況の中で作られたある種「再々結成」的な趣の否めない作品ではあるが、アルバムの内容は原点回帰している。パンクというよりはハードロックなのだが、前作までのゴシック色が払拭されて、ベーシックなガレージロック的な音が聞こえてくる。恐らくオルタナの波を受けての音だろう
流石に往年の音に比べると、見劣りしてしまうがそれでもここでバンドサウンドにリセットがかかったのは大きい。2曲、元セックスピストルズのグレン・マトロックが参加、ジャズファンクで有名なジェイムス・テイラー(米のSSWとは同姓同名の別人)もオルガンで参加している。
紆余曲折あって、ラットの脱退後、入れ替わりにキャプテン・センシブルが復帰し、現在の体制に移り変わっていくわけだがバンドが継続する点において、本作はかなり重要なターニングポイントだ。少なくともこの盤のおかげで、バンドは息を吹き返すわけだから不思議なものである。鬼子的な佳作だが重要作
- アーティスト: Base Ball Bear,小出祐介,玉井健二
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2015/08/05
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表題曲は切れ味あるカッティングギターに乗せた彼らの王道といえるべきダンスチューン。その歌詞とボーナスCDにおけるMCを合わせて、バンドの所信表明にしているのだと思う。彼らなりの音楽業界に対する真摯な姿勢を感じるとともに、その勢いのある演奏が企画の初手として鮮烈に響く一枚だろう。
- アーティスト: Yellow Magic Orchestra
- 出版社/メーカー: commmons
- 発売日: 2015/08/05
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演奏そのものは非常にリラックスしたもので、和やかさすら漂うような味わい深いプレイ。それゆえに曲自体の持つシリアスな雰囲気と合わさって、不思議な緊張感も漂う中、角が取れたしなやかなグルーヴが全体を覆っている。かつてのスピードやテンポがない分、雑味が抜け、熟成されたリズムが鳴り響く。
収録曲が少ない、あるいは次の日の演奏が良かったという評もあるが、このアルバムの意義はどちらかというと「代表曲」を屈託なく演奏する姿を収めることのほうが大きいように思えるし、かつてのライヴ盤という形式を考えるとこのボリュームでも十分なくらいではなかろうかと。熟練の技を楽しむスルメ盤だ。11年発売OST。同名アニメ作品のキャラソン集第二弾。音楽が主題の作品だけあって、バラエティに富んでいるが、バラード系の楽曲はなく、楽しげなメロディラインの曲が並ぶ。一部キャラクターが歌っているというより、担当声優の歌唱に聞こえてしまうという欠点もあるが、それを抜きにしても良作だ
聞き所はベースラインと各曲で響くギターだ。特にギターは全編に渡って所狭しと鳴っており、この盤の魅力の一角を担っている。ロック調の曲が多いのもあって、ギターソロが目立っている印象。全体として非常に現代的なポップスの趣を強く感じるアルバムだ。楽曲構成もメリハリがついていて、聞きやすい
- アーティスト: ザ・ウドゥン・グラスfeat.ビリー・ウッテン
- 出版社/メーカー: Pヴァインレコード
- 発売日: 2004/05/21
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とにかくヴィブラフォンという楽器から出てくる音の印象を覆す演奏で、そのクラシカルで優美な響きとは一切無縁な、非常にワイルドな響きがファンキーに迫ってくる。矢継ぎ早に出てくるの力強いフレーズは硬質でクリスタルな楽器本来の響きとのギャップもあって、印象的に聞こえてくる。
ライヴなので、熱気とともに一気呵成に聞かせる勢いもあり、プレイヤーのテンションも非常に高い名演なのは間違いないだろう。現在、イメージされるジャズファンクとは趣とは異なるが、レアグルーヴ/ジャズファンクの名盤として輝く一枚だ。ボーナストラックでマッドリブによるリミックスも1曲収録されている。
- アーティスト: Damned
- 出版社/メーカー: Ace Records UK
- 発売日: 2005/12/27
- メディア: CD
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それぞれが融合せずに独立して成り立っているおかげか、そのカオスな肌触りは過渡期の作品という印象を受ける。が、そこまでちぐはぐさを感じないのはバンドの勢いと楽曲のポップさゆえのように思う。バンド特有の無邪気さがかつてなく弾けたポップネスを叩き出しているのが功を奏した結果だろう。
その中で萌芽したばかりなのがゴシック的なアプローチだ。ラストの長尺曲にも顕著のように本作のポップさが返って邪魔になってしまい、楽曲としては昇華し切れていないように感じられしまう。サウンドの完成は次作以降となるが、本作で示された方向性を偶然掴み取るのがこのバンドらしいとも言える
なお本作はスタジオ録音ととライヴ録音という変則的な構成になっており、Disc2にはライヴ音源部分とボーナストラックが増補。こちらはまだパンクバンド然とした演奏が聴ける。先の可能性を示しつつも、ポップさを頼りに音楽性を模索した感のある一枚。一方で最もキャッチーな魅力に溢れた作品だ。
- アーティスト: PRIMAL SCREAM
- 出版社/メーカー: WEA
- 発売日: 2004/06/01
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密室的な篭ったサウンドでもあるが、当時流行のネオアコの質感でネオサイケをやってるような気怠さとダウナーさは後のサウンド志向とボビーのパンクスピリットを考えると妙に納得するものがあり、ポップよりロック的なアプローチで挑んでいたこともなんとなく窺える。芯があるというか。
本作限りでジム・ビーディは脱退するが、結果的にネオアコという一時の流行より、先のサウンドをボビー・ギレスピーは見据えていた為、ひとつのスタイルに固執せず、アルバム毎に作風に変化をつけ、息の長い活動を続けていくことになる。その点では質感より核の部分に骨太さを感じる佳作だろう。
- アーティスト: New Order
- 出版社/メーカー: London Import
- 発売日: 1999/10/05
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なにしろ活動初期においては、前身のジョイ・ディヴィジョンのポリシーを引き継いで、「アルバムにシングル曲を収録しない」スタンスであったから、アルバム未収録曲を取りまとめている本作はマストアイテムだったといえる。とはいえ、収録曲については痛し痒しなものとなっているのも確かだ。
バンドのターニングポイントとなった2曲がオリジナルではなく、リリース当時のニューアレンジ版になっていたり、他のシングル曲も12inchヴァージョンが主に収録されていたりで、完全網羅とはいえない内容。それでもニュー・オーダーというロックとエレクトロを融合させたバンドの魅力は替え難い
密室的なダンスビートと煌びやかさを備えたシンセサウンドに乗っかる生身の演奏が作り出す刹那的な快楽は80年代に流れる諦念と絶望にも重なり、残響のような傷跡を残していく。行き詰まりの宙吊り状態で重厚さも軽薄さも一緒くたになって踊り尽くす先に鳴り響く音。涅槃的なメロディが伝わる入門盤だ
- アーティスト: MY BLOODY VALENTINE
- 出版社/メーカー: CREAI
- 発売日: 2012/05/07
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内容としては、バンドがシューゲイザーサウンドを覚醒させる過程が記録されており、1stから2ndへと変遷するサウンドのミッシングリンク的な役割を果たしている。結果、両作にはない、荒々しい轟音ギターが聴けたり、バンドのパッションがひしひしと感じ取れるエネルギッシュな魅力が迸る。
ネオアコとネオサイケがエレクトロビートと絡み合い、轟音ノイズが響くサウンドはUSにおけるグランジを先駆けてもいるし、その静謐な音はアンビエントにも肉迫している。エスニックなテイストもあって、シューゲイザーサウンドの骨子を垣間見るようで興味深い。むしろ彼らのコアを知ることが出来る。
80年代と90年代のわずかな狭間でしか生まれ得なかったカオティックな音楽はまた、多くの可能性を秘めた音でもあったというのが、この編集盤からひしひしと感じられるし、実際、独特な響きは抗いがたい時代の魅力の詰まったものだろうと思う。歴史的な隙間を埋める重要作でもあるかと。
- アーティスト: Damned
- 出版社/メーカー: Castle
- 発売日: 2005/02/28
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モッズやパブロック、あるいはビートポップ、といった英国の土壌が培ってきたジャンルと非常に地続き感のあるポップスで、後に「ハッピー・トーク」のカバーでヒットを飛ばすことになる、キャプテンセンシブルのポップセンスが大きく影響してるように感じられる。パンク的な凶暴さが皆無なのも興味深い
中には10ccのようなテクスチャの楽曲もあり、もはやパンクの一線を飛び越えて、70年代の高品質ポップに肉迫するようなサウンドとなっている。一方でパンクではない評価をやむを得ないだろう。この手の音をやるにしてもちょっと時代が遅かったようにも思う。そこが無邪気だといえばそうなのだが。
本作で自らの個性に依ってやり尽くした感のあるキャプテンセンシブルは脱退の道を選ぶ。これによって、次の作品が大きく変化してゆくし、ここまでのバンドの集大成的な音が詰まった節目の作品といえるだろう。音楽性の触れ幅が激しくなっていく一方で、伝統的なポップスマナーに忠実な良作だろう。