音楽鑑賞履歴(2015年3月)

毎月恒例の音楽鑑賞履歴、3月分です。
振り返れば「ギターが聞きたい月間」だったのかなあと。
月末はファンク付いてますね。
無性にギターカッティングの音が聞きたくなって、買い漁ってました。
いやあ、聴き出すといいですよ、ファンク。
濃いの、粘っこいの、スタイリッシュなの、暑苦しいの、いろいろありますが。
日本だと在日ファンクとかオーサカ=モノレールなどのバンドもいますので、
そこを入り口にして聴いてみるのもいいかと。
4月もぼちぼちと聞いていきたいです。


3月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:27枚
聴いた時間:511分

白夜の大地白夜の大地
・76年発表1st。RTFで名を馳せたギタリストの処女作。とにかく粒立ちの良いラテン色の強い高速ギターフレーズは絶品の一言。それゆえに1を初めて聞いたときの衝撃は今でも忘れない。未だに好きなギターソロでもある。とにかくギターの弾き倒しが堪らない内容。有名メンバーも多数参加してる。
有名どころだと5のJ.パストリアス、6のC.コリアも共演が目を引く。とはいっても5はジャコにしては結構ロックなプレイで意外性はあるが割りと凡庸か。6はアコースティックデュオの演奏。お互いスパニッシュな部分が根底にあるので非常に躍動的な演奏。演奏陣もガッドなどがいるので安定感がある
聴いた日:03月01日 アーティスト:アル・ディ・メオラ
Blow By BlowBlow By Blow
・75年発表1st。ソロ名義としては初作。それまでのバンド活動を踏まえた路線で、ジャズ/フュージョンを基調としたサウンド。ジェフのギターはさることながら、それ以上に素晴らしいのは当時18歳で本作に参加したドラムのリチャード・ベイリーの鮮烈なプレイだろう。本作の屋台骨だと感じてる。
ベースのフィル・チェンともに本作のタイトなボトムラインを牽引しており、あっという間に聞けてしまうくらいの心地良さを形成しているのが何より素晴らしい。keyのマックス・ミドルトンともにギターの華やかさを映えさせる見事な土台こそがこの名盤の真価だと思う。無論素晴らしいギターインスト作
聴いた日:03月02日 アーティスト:Jeff Beck
トゥルーストゥルース
・68年発表1st。ヤードバーズを抜けた後に結成したジェフ・ベック・グループの初作。目玉はロッド・スチュワートのVoとベックのギターのツインリード体制。ブルースの荒々しさをロックにフィードバックする手法は半年後にデビューするツェッペリンが我が物としてしまうが、先駆者はベックだろう
サウンドの質感はJBGの方がより黒っぽく深い印象。6の英国的な趣もより荘厳だ。ただ彼らの最大の不幸はオリジナル曲を本作で提示しなかった事に尽きる。アイディアの斬新さ、アレンジの妙、メンバーの演奏力は間違いなく歴史に残るものだがほんの僅かな差異が明暗を分けてしまったというべきか。
ジェフ・ベックだけを取ってみると、この時点からかなり黒っぽさを独自に解釈しようとしてる節が垣間見えるが、まだ曲作りというよりは演奏スタイルの研鑽に注力してる印象。そういうところが天才肌であり職人肌でもある所以だろうなあと。自らの興味と技術を熟成する方向に走っている辺りがまさしく。
聴いた日:03月03日 アーティスト:ジェフ・ベック
ベック・オラベック・オラ
・69年発表2nd。前作の反動か、カバーは2曲。残りはオリジナルだがベックのイニシアチヴは弱まった印象。一方でロッド・スチュワートロン・ウッドの存在感はかなり強い。ベックの志向していた黒さは一歩引き、ぶち切れんばかりダイナミクスに満ちたガレージロックっぽくなった。音がバカでかい
コントロールが制御不可能ギリギリのラインでプレイされる演奏の爆発力は前作を凌ぐ勢いだと思う。ただ創造性の面でツェッペリンに後塵を拝し、クリームのような空中分解を見た後では、インパクトは弱くかなり損な役回りだったのではないだろうか。出来は悪くないが弱り目に祟り目な位置付けの一枚。
聴いた日:03月03日 アーティスト:ジェフ・ベック
ラフ・アンド・レディラフ・アンド・レディ
・71年発表3rd。ベック以外メンバー総入れ替えで第2期グループ。BとVoに黒人、Drには後にHR/HMで活躍するコージー・パウエルが参加。そしてこの後、盟友として活躍するマックス・ミドルトンを拝し、ベックの望んだファンキーかつスタイリッシュな黒っぽいサウンドが全面に押し出された
第1期グループと比べても、サウンドが非常に洗練されて、クールな質感が漂う一枚。のちのフュージョンブーム到来に先駆けること5年、ここまで知的なサウンドに早くも行き着いていることが凄い。あと注目してほしいのはコージー・パウエルのドラムだ。ツーバスながら、ファンキーかつ繊細なプレイ。
後の彼のキャリアを見ても、かなり意外な演奏だと思うが、これを聞く限り、技のあるドラマーだと思うし、ジョン・ボーナムと同じように引き出しの多いプレーヤーなのだなあと感じる。なによりアルバム全体も非常にタイトな作り込みでカッコいい。ベックの音楽性の出発点ともいえる作品だろう。
聴いた日:03月03日 アーティスト:ジェフ・ベック・グループ
ジェフ・ベック・グループジェフ・ベック・グループ
・72年発表4th。プロデューサーにスティーヴ・クロッパーを迎えてのグループ最終作。ソウル&ファンキー路線のバリエーションを実験した感のある一枚かと思う。前作からの踏襲や空間を生かしたものや、アーシーな楽曲も。インストも2曲収録。前作のスタイリッシュさから一転、アメリカンな趣き
本作はベックのブラックミュージック志向によるものだと思うが、タイトで総合力の高かった演奏陣だったため、個性のぶつかり合いだった第1期とは逆にベックのギターが突出してしまい、浮いてしまう事に。バンドとしてちぐはぐさが顕在化した結果、空中分解。一体感には欠けるが、楽曲の粒立ちは良好。
そういった欠点は否めないものの、S.クロッパーを起用して作り上げられたサウンドは前作の硬質さから、ボトムラインなどの貢献によって、大分有機的で柔らかな印象もあるし、意外とカラフルだったりもする。良盤であることは疑いようもないが、ベックはすでに新しい道に舵を切り、向かい出していた。
聴いた日:03月03日 アーティスト:ジェフ・ベック・グループ
Por Cada NubePor Cada Nube
13年発表6th。トミー・ゲレロのバンドメンバーのソロ作。7〜80年代のAORやディスコ、ソフトロックやソウルのエッセンスを現代のテクスチャで表現した内容。31分という短めの収録時間に楽曲が密度濃く詰め込まれており、飽きが来ない。この手の音楽が好きな人にはグッと来るメロディが一杯
先に挙げた要素をきっちりと踏まえながら、今のダンスミュージックに対応した音作りになっていて面白いし、繋ぎ合わせのアイディアとセンスが素晴らしいと思う。楽しくも聴き応えのある一枚。ギタープレイも鮮烈さはないが冴えており、このアルバムの魅力の一つでもあると思う。メロディの重ね方も秀逸
聴いた日:03月04日 アーティスト:Bing Ji Ling
スイス・ムーヴメント (+1)スイス・ムーヴメント (+1)
69年録音ライヴ盤。モントルージャズフェスで実現した彼らの初共演を実況した一枚。偶発的に決まったコンビのセッションだが、熱のこもったソウルフルな演奏を披露している。1などはマッキャンの歌とピアノを交えて、エディ・ハリスのサックスが力強くブロウし、聞く者を引き込んでいく。
初めてだと思えない、息の合ったソウルジャズが全編に渡って、楽しめるアルバムだと思う。モントルージャズフェスにおいては初年のビル・エヴァンスに続き、「何か素晴らしいハプニングが起こる」という事をこの盤で決定付け、知名度を上げたといっても過言ではない。それ抜きにしても、素晴らしい演奏
アーシーかつアタックの強いピアノの横で、縦横無尽に、水を得た魚となった切れ味鋭いサックスが唸りまくる。もちろんもピアノも負けておらず、アドリブ部分ではサックスと火花を散らす熱い演奏。バラードの3ではどちらもリリカルに攻めてくるし、緩急が利いており、飽きが来ない。紛れもなく良盤。
聴いた日:03月05日 アーティスト:レス・マッキャン&エディ・ハリス
女王陛下のピチカート・ファイヴ女王陛下のピチカート・ファイヴ
89年発表3rd。全19曲のオリジナル盤。リマスター盤では削除された2曲を含め、通しで聴くとこの作品がコンセプトアルバムである事に気付かされる。架空のスパイ映画サントラという以上に「媒体」という括りで好き勝手に遊び倒す事でコンセプトが発生しているのが珍しくもある。
後に削られる2曲があってこそ、完成される作品だろうと思う。だから別の作品という意味合いで再発盤とはタイトルが異なるのだろうと推察する。その点を考慮しなくても、本作は渋谷系的なコレクティヴミュージックの傑作だと感じられるのでどっちが好きかは聞く人の好みか。ただ完成度は原盤の方が高い
聴いた日:03月07日 アーティスト:ピチカート・ファイヴ
さ・え・らジャポンさ・え・らジャポン
01年発表13th。君が代から初代ポケモンまで、あらゆる角度から切り取った「日本」の姿を彼らなりに表した最終作。有終の美というか、TVの人気番組の最終回というかそういうお祭りめいた騒ぎで幕を下ろすのもまた日本らしい感覚かもしれない。享楽的でありながらしつこくなく、そして儚さがある
松崎しげるからスパークス(!)の面々など豪華なゲストで極限までユニットの価値を希釈したのもなにかナンセンスさが漂うし、ピチカートファイヴの意味が拡大解釈されてるようにも感じる。実像は解体されながらも記号として残っていく。あるセンスで纏められたものすべてがピチカートファイヴなのだ。
この突き抜けてハッピーな、かつ近くて遠い音楽、あるいはそこに描かれる「日本」の印象もまたピチカートファイヴの記号として機能して、パロディ、批評、アートとして表現されている。そんな侘しさがかとなく寂しさを覚える作品ではないだろうか。しれっと20年の東京五輪で復活してくれる事を祈る。
聴いた日:03月08日 アーティスト:pizzicato five,松崎しげる,YOU THE ROCK
DudeDude
・81年発表11th。プロデューサーとしてヒット街道を驀進してた時期の作品。翌年、「あの」MJのモンスターアルバムを製作する事実もあって、かなり前哨戦的なブラックコンテンポラリーサウンドが繰り広げられている。ほぼ全編、S.ルカサーが参加していて良い仕事をしてる。
ちなみに大ヒットの1はUKパブロックの雄、イアン・デューリー率いるブロックヘッズのG、チャズ・ジャンケルの作曲のカバー。他にもメロウな楽曲が揃っており、さらっと聴き応えのある作り。個人的にはルイス・ジョンソンのベースが非常に心地いい一枚です。1〜6曲目までの流れが好きです。
聴いた日:03月10日 アーティスト:Quincy Jones
ベルベッド・ダークネスベルベッド・ダークネス
・76年発表1st(0th?)。これが最初のソロ作だが、本人的には黒歴史らしく、ディスコグラフィに入れられてない一枚。内容は彼のセッションワークの延長線上にあるジャズロック、あるいはクロスオーバー的サウンド。アコースティックなソロとバンド演奏が交互に収録されている。
ただこの人にジェフ・ベックジョン・マクラフリンのようなジャズ・ロックを期待する方が間違っている。わが道を行く事を頑として曲げないギタリストとレーベル(CTI)の思惑がちぐはぐな所が透けて見えてしまう。だから作品の出来はずば抜けて良いわけではないのが玉に瑕といったところだ。
後のソロ作におけるサウンドと比べれば、かなりロック色が強いのも事実で、この時期のセッションワークのサウンドが好きならば、お勧め出来るアルバムだと思われる。アコースティックな小品も魅力的だし、6ではヴァイオリンのプレイも聞けるので貴重といえば貴重な演奏。ファンなら持ってて損はない
そういった事情から習作的な趣もあるが(実際、5のフレーズは同年参加のGongのアルバムでも聞ける)、演奏は悪くないし、ボトムはアルフォンス・ジョンソン(b)とナラダ・マイケル・ウォルデン(Dr)なので折り紙つきのメンバーが揃っている。当時のクロスオーバーブームに乗っかった作りかと
ちなみに4のフレーズも75年発表のトニー・ウィリアムスの「Believe It」収録の「Fred」という曲からの流用してます。keyで参加のアラン・パクスァとも同作で顔を合わせてます。
聴いた日:03月11日 アーティスト:アラン・ホールズワース
In the Court of the Crimson KingIn the Court of the Crimson King
・69年発表1st。プログレという深遠な荒野を切り開いた歴史的一枚。だがビートルズを抜きヒットチャートの1位に輝いたという歴史的な事実はなく、今では俗説と化している。そういったエピソードは抜きにしても、処女作にして、名盤たる内容と演奏の素晴らしさは言うまでもない。
個人的にはDrのマイケル・ジャイルスの名実ともに最高傑作だと思われる。ロバートフリップを初めとする他のメンバーの演奏力の高さもすごいが、やはり特筆すべきは全編にわたって繰り広げられる繊細かつ豪快なドラミングだろう。彼がいなければ、名盤にはならなかったし、ここほどの切れ味にならない
さまざまな音楽要素が絡み合って成立しているのは間違いがない。ともすれば空中分解しかねないサウンドを纏め上げているフリップや詩人兼コンセプターのP.シンフィールドの功績もやはり大きいだろうし、I.マクドナルド、G.レイクのプレイ、どれとしてこのアルバムには切っても切り離せないものだ
ただこの火花散る、一瞬の煌きのようなクオリティは維持することが出来ず、次作に引き継がれない事がバンドの長い長いサウンドの試行錯誤の旅の幕を開くことになったのは後世の人々のみが知る事実。それだけ69年という時代が可能性に満ちていたかを窺い知ることが出来る作品の一つだと思う。
聴いた日:03月17日 アーティスト:King Crimson
外道ライブ外道ライブ
91年発表の未発表ライヴ盤。74〜75年のライヴ編集と76年の解散ライヴを収録した2枚組。どちらも聴き応えがある内容だが、どちらも最初期の疾走感からグルーヴ重視へと演奏が変化していくのが克明に記録されているのが興味深い。特に2枚目はクールな質感さえ伴っていてスタイリッシュでもある
今回、意外に思えたのは演奏がかなりブルージーであるということだ。海外のバンドと同様に下地をしっかり読み込んで、発展させたロックという趣を強く感じる。それだけ世界標準の音を出していたということだろう。ただ翻ってみればもう一味、独自性があれば世界でも羽ばたいていたのかもしれない。
しかし音楽性は当時の国内のバンドからは頭一つ抜けたような状態であったことは間違いないし、その進化の経過を見る限り、いち早くダンスミュージック×ロックの可能性を見出していた先駆性も窺え、一筋縄ではいかない。Zepのような進化レベルだと思うとやはり凄いバンドだったのが良く分かる一枚。
聴いた日:03月19日 アーティスト:外道
In Wake of PoseidonIn Wake of Poseidon
・70年発表2nd。白昼夢のような醒めた狂気が見え隠れしてしまう一枚。前作の熱気は感じられず、アルバム構成も焼き直しになってしまっているが、逆にこのクールさが魅力となっているように思える。ただすでにメンバー構成は瓦解しつつあるのが難点といえば難点。新味は6の前衛ジャズっぽさ位か。
むしろ前作とは表裏一体の趣をなしていて、そう聞くと味わい深い作品ではある。The Doorsの1st,2ndの関係と似ているかも。ジャズやクラシック、前衛音楽などのクールさが前作の出来を期待すると肩透かしかもしれないが、十分に佳作なアルバムだろう。ただ聞き返す頻度は低い。
聴いた日:03月20日 アーティスト:King Crimson
ピチカート・ファイヴ in the mixピチカート・ファイヴ in the mix
01年発表編集盤。須永辰緒の手がけるノンストップミックスCD。彼らの魅力が詰まった幕の内弁当だろう。この記号的ポップスを意味ある構成に組み上げれば、楽しくないはずがなく、その遊び心溢れる内容はオリジナル以上かも。こういうミックス素材に格好な機能を持った曲こそが彼らの特徴なんだと。
聴いた日:03月21日 アーティスト:ピチカート・ファイヴ
darlin′ of discotheque e.p.darlin′ of discotheque e.p.
99年発表のEP。三部作EPの第一弾。ここでしか聞けない1のオリジナルバージョンがやはり白眉の出来。当時のUKのトレンドを組み込んだようなエスニカルビッグビートチックなフレーバーが散りばめられたピチカート調のクラブチューン。時代性の音という面ではアルバムより押し出してるかも。
なんというか全体を突き抜けるのはあっけらかんとした能天気さ、というか、見る阿呆に踊る阿呆、踊らにゃ損々みたいな趣。3のカバーもなかなか乙なものだけど、全体的に泡沫的な享楽感の詰まったアッパーなミニアルバムといったところ。あまり見かけないので見つけたらファンは買いの一枚だろう。
聴いた日:03月21日 アーティスト:ピチカート・ファイヴ
Turn BackTurn Back
・81年発表3rd。過去2作と比べても非常にシンプルかつストレートにロックしているアルバム。とにかくメロディ、リズムともにスクエアなロックで、その辺りがなんでも演奏できたスタジオミュージシャンとしての地が出ていると思う。その総合力の高さはTOTOサウンドらしいと言える。
しかし、裏を返すと特色らしい特色ないのも事実だと思う。あまりにもシンプルすぎて、実力の高さが浮き彫りになる一方で内容が地味になりすぎてしまった。質は高いがバンドとしての「色」が良く見えない困った一枚。たが演奏面では非常にキレのあるプレイであることは疑いの余地がない。
聴いた日:03月23日 アーティスト:toto
Van HalenVan Halen
・78年発表1st。確実に米国のHR/HM界にVH以前VH以後の境界線を築いた歴史的一枚。泣きのトーンが一切ない、金属質かつ乾いたギターとタイトなリズムにデヴィッド・リー・ロスの野性的なヴォーカルが絡むことで生まれる、灼熱の陽気にチリつくホットな演奏がHM/HRの概念を変えた。
酒で言うとテキーラっぽいイメージか。とにかくソリッドで辛口、甘さは一切ないような切れ味鋭い演奏が何より魅力。エディ・ヴァン・ヘイレンのギターについて言えば、唯一無二なのはテクニックの方ではなくあのギタートーンだろう。一度聞けば、誰でも分かる位、特徴的だと感じてるがいかがだろうか?
聴いた日:03月24日 アーティスト:Van Halen
Paul WellerPaul Weller
92年発表1st。ソロ初作はきわめて自然体に、黒人音楽への敬愛を示したグルーヴィな作品。黒人特有の濃い粘っこさはなく、あっさりと洒脱したサウンド。その辺が英国人らしい感覚なのかも。時代的にもアシッドジャズが流行りだす時期で一足早く先取りしているのも面白いところ。
黒人音楽のエッセンスを抽出、再構築してポップに響かせるセンスは後にモッズのゴッドファーザーと言われる由縁じゃないかなと。無理にそのセンスを押し出さず、水出しの紅茶のように滲み出てくる感覚を味わいたい作品。小気味良く、長く聴けそう。これ以上にないくらい、指針的なアルバムかと。
聴いた日:03月24日 アーティスト:PAUL WELLER
Blue LinesBlue Lines
91年発表1st。ポストパンク突然変異体。核の「空白感」が最大の魅力だったポストパンクに肉体性という「核」を加えると、こうなるを実証したような作品。偽物(ポストパンク)の真似をする本物のレベルミュージックがテクノを媒介にして現れたというなんとも不思議な雰囲気を醸している。
ここで奏でられる音楽はどれも借り物ではなく、咀嚼した上でハイブリットに合成されたものだ。ポストパンクの咆哮と比べても、リズム、ビートともに実に「重い」。後の作品に見られる曖昧さがなく、よりはっきりと実像を感じる重さがあるのが本作最大の特徴だろう。聴き様ではポップでもあるし、名盤。
聴いた日:03月25日 アーティスト:Massive Attack
HappeningsHappenings
・66年録音盤。ジャズの裏番長的リード楽器、ヴィブラフォン。奏者はMJQのミルト・ジャクソンなどが有名だが、本作の奏者、ボビー・ハッチャーソンも代表格の一人。新世代らしく、よりモダンで鮮烈かつ疾走感溢れるプレイが聞ける。全編にわたり、ハービー・ハンコックが参加しているのも注目。
ミルト・ジャクソンの端正なプレイに比べると、ボビーの演奏は非常に躍動的。ビ・バップのピアノのように矢継ぎ早にどんどんフレーズを重ねていく。その演奏の熱っぽさとヴィブラフォンの硬くクールな響きが混ざり合い、印象を深くしている。ちなみに7ではマリンバも使用。硬質な波紋音が心地良い。
聴いた日:03月27日 アーティスト:Bobby Hutcherson
Stop & ListenStop & Listen
61年録音盤。グラント・グリーンとのオルガントリオ。火を噴くようなインタープレイというよりは、スロウジャムを基調にじっくりと味わい深く、グルーヴを高めていく演奏。グラント・グリーンの滋味溢れるギターとソウルフルなオルガンが織り成す、ファンキーな一枚。どちらも良い仕事してます。
聴いた日:03月27日 アーティスト:Baby Face Willette
HeadhuntersHeadhunters
73年録音盤。ファンクの反復性をジャズの即興性に組み込んだ革新的演奏。大胆にシンセサイザーを使用したのも相俟って、ジャズやロックの垣根を越えた汎用性の高いサウンドになっていると思う。クロスオーバーの金字塔的作品として、今なおリスナーを刺激する一枚だろうと思う。
反復するファンクのリズム&メロディからインプロヴィゼイションを展開する姿はまさしくジャズメンのそれであり、その発想は独創的かつ古典的でもある。当時としては斬新過ぎる音が非難の的だったのだろうが、これはジャズの腕が卓越してないと成し得なかった業だとも思う。王道にして奇想が可能なのだ
じっくり聴けば聴くほど、演奏はジャズであるし、ファンクなのだ。ただ使用した楽器と共にジャズとファンクを同時に演奏したことで「新しい何か」が生まれた瞬間を記録できた。そういう一枚だと思う。演奏ではハーヴィー・メイソンのドラムが絶品だ。ハンコックとともにこの盤の中核を担っている
聴いた日:03月28日 アーティスト:Herbie Hancock
フード・フォー・ソートフード・フォー・ソート
72年発表1st。ジェームズ・ブラウンのバックバンドだからJB's。そういう肩書き抜きにしても、ファンクの魅力がぎゅっと凝縮された上に物凄く聞きやすく、初心者にもお勧めなインストファンクアルバム。さすがにJBの背後で演奏していた面々なので折り紙付きのグルーヴで非常に心地良いノリ
JB由来のR&B色の強いファンクなので、ポップでホーンも華やかでかつ都会的なサウンド。米南部のグツグツ煮込んだ泥臭く粘っこいファンクと比べると、ソリッドにショービズ的な音作りと言える。エンタメ性が高く、腰も自然と踊り出しそうな楽しい好盤。あっという間に聴けてしまうナイスグルーヴ。
聴いた日:03月29日 アーティスト:JBズ
Bitches BrewBitches Brew
・69年録音盤。ボートラのD2-5のみ70年録音。ジャズシーンにおける69年という「時代」の記録だと思う。後にシーンの第一線で活躍するミュージシャンが一堂に会して、繰り広げられた混沌かつ謎と可能性に満ちた坩堝。そこを切り裂くようにマイルスのハイトーントランペットが鳴り響く。
ドラム×2、エレピ×2(曲によっては×3)、ギター、ベース×2、パーカッション×2、バスクラリネット、トランペット、ソプラノサックスという大所帯編成での演奏は文字通り音塊。グツグツと煮込まれた闇鍋のようなその様はまさしくビッグバンの卵。同時多発的に煌くプレイが聞こえてくる。
これを纏め上げるマイルスも凄いが、本作において一番キレあるプレイを残しているのがジョン・マクラフリンチック・コリアだろう。前者は全編に渡って活躍、後者はD2-1における鮮烈なプレイで大きく存在を印象付けた。だが本作の面白みはD1の2曲に凝縮されているような気がする。
D-1での演奏はジャズに限らず、音楽探求の中に潜む謎めいた響きが詰まっている。参加メンバーのそこから何を導き出したかは後の活躍を見ると面白いかと。本作での魔術的なセッションが生み出すウネリはこの時代とタイミングによって産まれた唯一無二のものだろう。必聴とは言わないが意義深い一枚。
聴いた日:03月30日 アーティスト:Miles Davis
Hardcore JolliesHardcore Jollies
76年発表8th。特濃奇天烈ファンク。曲展開が、というのではなくやる事なす事がとにかくキレてる。そもそもファンクなのにリズムを強調せずにベースラインのグルーヴ感やギターソロ、ヘンテコな鍵盤のフレーズが目立って、聞こえてくる辺りがこのバンドの尋常じゃなさを物語っているように思う。
ファンクなのに練り上げられるグルーヴを聞かせるのではなく、ロック的な演奏のパッションから発せられるグルーヴをファンクに昇華させているのがヘンテコさを際立たせている。特にジミヘンが降霊したかのようなエディ・ヘイゼルのギターが存在感を強烈に放つ。そして全てを洗い流すような8の神々しさ
聴いた日:03月31日 アーティスト:Funkadelic

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