音楽鑑賞履歴(2016年4月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
22枚。
新居での生活が少し落ち着いて、聞けた感じですかね。
しかし1月のデヴィッド・ボウイに続き、まさかプリンスまで亡くなるとはなあ。
どちらも死に際までアーティストらしくあったのがなんとも。
命尽きるタイミングは直前までわからないだろうけど。
将来的には訃報をたくさん聞くことになるのだろうけど、
それぞれの魂が彼岸の向こうで健やかであらん事を祈りたいですね
では以下から、感想です。



4月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:22枚
聴いた時間:550分

S.O.S.S.O.S.
80年発表1st。87年版CDで。アトランタ出身のディスコ/ファンクグループ。ディスコっぽい、洗練された洒脱感溢れるシティサウンドに、メイシオ・パーカーをはじめとしたファンク系のホーンが重なり、独特の妙味を醸し出す。ライトメロウなサウンドが重みのあるファンクに傾いていくのが面白い
基調はライトメロウなディスコサウンドで、バラード系などはしっとりとした味わい深いナンバー。その一方でダンサブルな曲になるとメンバーのファンク魂に火がつくのか、ライトメロウなサウンドのまま煮えたぎるファンクをやろうとして甘いながらも度数の高いカクテルのような味わい。
その二面性が魅力なバンドなのだろうと思う。スペーシーなシンセに絡む、小気味いいギターカッティングなど聞いていて楽しい部分が満載。後半に収録されている曲がどれもいいですね。スタイリッシュでファンキーな良盤。
聴いた日:04月01日 アーティスト:S.O.S. Band
S.O.S. Band TooS.O.S. Band Too
81年発表2nd。前作で見せた二面性の強いサウンドを統合してより、ファンク色を強めた作品。そういう点ではブラック・コンテポラリーに接近したとも言えるが、非常にソリッドなファンク/ダンスチューンの強度が高い一枚。スタイリッシュかつ煌びやかに輝く様がカッコいい。
前作の未整理だった部分の妙味ががっちりとはまって、全体のグルーヴ感が高まって、メロウながらもきっちりとファンクマナーを守った骨太な演奏に男女混声のソウルフルなVoが印象的。ダンスチューン、バラードのコントラストも良く、より統一感が増した内容。完成度高い盤なので一聴に値するかと。
聴いた日:04月01日 アーティスト:S.O.S. Band
Chicago Transit AuthorityChicago Transit Authority
・69年発表1st。ブラスロックバンド代表格の処女作。オリジネイターのBST(ブラッド・スウェット・ティアーズ)のシャープな交響楽的サウンドとは異なり、ホーンセクションを従えた粗野なブルースロックという趣が強い。その煮えたぎるアツさが非常にエネルギッシュなサウンド
ホーンが響かせるブルースやR&B、ジャズ(のアドリヴ)といった黒人音楽の熱狂をそのままにロックサウンドに絡ませたことによって、ダイナミックにスリリングな演奏がバンドの魅力となったのは言うまでもなく。当時の時代背景から成る政治的な歌詞とともにその荒削りな熱量が凄まじい。
メンバーの演奏力の巧拙にかなり隔たりがあるのは事実だがそこを踏まえた上でバンドの一体感は他に代えがたく、そのイビツさすらカッコいい。荒削りだが、存在感は抜群、テリー・キャスのジャズギターの奏法をむりやりロックにして弾き倒す演奏も同時代のギタリストに引けを取らない。存外ポップな良盤
聴いた日:04月03日 アーティスト:Chicago
Super ColossalSuper Colossal
06年発表11th。デビュー20周年盤だが本人がすっかり失念しており、特にメモリアルな内容にはなってない一枚。とはいえ、ドラム以外の演奏はすべてサトリアーニの手によるもので、そういう点では自らの引き出しをチューンナップしている印象がある。一音一音確かめながら自身の演奏を磨き上げる
その為か、わりとサウンドの作りこみも結構素っ気無いものに感じられる一方で、ギターの音は力いっぱい大きく、そのざっくり感が返って気持ちいい音になっていたりと弾いていた本人的には得たものが大きいのではないかと思わせる。ラフでシンプルな音だからこそ引き立つ確かな上手さを感じる作品。
聴いた日:04月06日 アーティスト:Joe Satriani
ワールド フェイマスワールド フェイマス
91年発表2nd。前作のごった煮路線がさらに深化した結果、スカだけに拘らないファッショナブルな曼荼羅サウンドが派手なCDジャケットと共に印象的な一枚。もちろんスカのルードな雰囲気を保ちながら、昭和歌謡にブギウギ、ホッドロッド、R&B、マーチ、ロシアンなんでもござれな幕の内感が◎
そんな雰囲気の中で差し込まれる怪しげなパーカッション、アヴァンな効果音が入り混じって、単にお洒落な音楽に終わらせない気概すら感じて、東京という地域性を体現しているようにも。各国音楽要素をごった煮にさせる感覚は渋谷系に接近してる節もあり、同時代的な香りも感じさせる傑作でしょう。
聴いた日:04月07日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
PIONEERSPIONEERS
93年発表3rd。前作・前々作のごった煮サウンドのド派手さから一転して、スカのみに注力した作品。社会状況も少なからず影響はしてると思うが全体を漂うのはシリアスでダークな空気。東京の影と汚れが軽快なスカの裏拍に乗って、鳴り響く。いつになくホーンの音が強く聞こえるのは気のせいか。
しかしそれこそがスカ本来の魅力なのかもしれない。うらびれる都市の一角。そこに流れるダーティーでルードな怪しく危ういサウンド、雲を切り裂くホーンの響き。バンドのアイデンティティであるスカで真剣勝負を仕掛けた結果、バンマスのASA-CHANGが脱退し、新局面に向かうはずだったのだが。
聴いた日:04月08日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
GO TO THE FUTUREGO TO THE FUTURE
・07年発表1st。バンドの初作はまだクラブ/エレクトロ志向は強くなく、ダンスグルーヴをまとったロックバンドというぐらいの位置づけのサウンドに聞こえる。どちらかといえば、アジカン的な雰囲気を身に纏っているが、全体に響く叙情的な趣やなんともいえない日本的感覚の音作りが目を引く。
わびさびというか、サウンドの余白に込められた趣がどことなく和のテイストでまとめられているといえばいいだろうか。エモーショナルに傾かず、クールなまなざしが雅というか儚いというか、日本人好みな淡い色合いの音に作り上げているのが面白い。未完成な部分は多いが独自性も垣間見える佳作。
聴いた日:04月10日 アーティスト:サカナクション
Stepping Into TomorrowStepping Into Tomorrow
74年録音盤。マイゼル兄弟との3枚目。クラブというかディスコのシズル感が溢れ出ている一枚。シンセ&エレピのスペーシーな響きにボトムラインのコズミックなグルーヴがファンキーかつスウィートに絡まりあう。そこへバードのペットとゲイリー・バーツのサックスがブロウする完成された世界がここに
ジャズとは素直に言いがたいが、クラブ/ディスコサウンドの先駆としてのクロスオーバーサウンドは今なお視聴に耐えうる乙な盤だろう。クリスタルな輝きに魅了されつつ、流れ行く甘美なメロディとファンクなノリに身を任せて、楽しみたい。ダンサブルだが酒を肴にしてムーディーな雰囲気に耽るのもいい
聴いた日:04月10日 アーティスト:Donald Byrd
CaricaturesCaricatures
76年録音盤。バードのBN最終作。マイゼル兄弟とは通算5枚目。サウンドのコズミック感がやや薄れて、ストリート感のあるファンクの色合いが今までより強めに出ている一枚。もちろん4のようなスペースブギー全開のディスコチューンも存在しているのでクラブミュージック的なレアグルーヴも健在。
とはいえ注目は1か。モータウンのファンクブラザースの一員として有名なジェームズ・ジェマーソンのベースが聞けるというだけでもプレミアム感があり、なおかつダンサブルなベースラインが聞けるのも貴重だ。BNを羽ばたくバードに花を添えている。最後だけあってバードのペットも印象的な演奏だ。
聴いた日:04月11日 アーティスト:Donald Byrd
Drums & WiresDrums & Wires
・79年発表3rd。メンバーの脱退&加入し、新体制での作品。NW特有の性急さが薄れ、より英国ポップの王道へと風向きを変え出す過程が見て取れる。音もスタイリッシュな感覚から離れ、より垢抜けないかつ皮肉たっぷりのメロディを奏でている。ともすれば野暮ったい、田舎くさい音にも聞こえるが。
パンキッシュなスピードを殺いだ結果、朴訥ながらも重みのあるサウンドに仕上がっている。童謡というか、マザーグースというか、そういった柔らかなポップ感覚の一方、エスニカルな楽曲もあったりで一筋縄にいかないのがこのバンドらしい。過渡期の一枚だが、内容はぎっしりと詰まった良盤だろう。
聴いた日:04月12日 アーティスト:XTC
Time MachineTime Machine
93年発表5th。84〜93年までのアルバム未収録&未発表音源と88〜92年のライヴ音源を取りまとめた2枚組。なので完全新規曲はあまりない。が、DISC1はそういった寄せ集めな側面が出ているので従来のアルバムの縛りがない分、自由にやっている曲が多いように感じた。
どメタルでここまで縦横無尽に高速フレーズを弾くなんて、ストレートなプレイもしてるし、独特のクールな質感の物哀しい響きや最後のジャムセッション曲なんか、好き勝手にやってて、楽しそうだなあと感じる(曲が面白いかはまた別問題だが)。持っている引き出しで遊び倒してるさまが窺える。
DISC2はライヴ音源なので、基本的にライヴベスト。ライヴならではのノリを楽しむものだと思う。けど、今となっては古い音源も聞けるので、そういった意味では貴重か。1st収録曲の音源も収録されている。が、そこまで目を引くものはない。そういった点ではお蔵出しの色合いの強いアルバム。
聴いた日:04月13日 アーティスト:Joe Satriani
JOE SATRIANIJOE SATRIANI
95年発表6th。おそらくキャリア史上もっとも穏やかな雰囲気を纏った一枚。と、同時にかなり攻めの姿勢で作られた作品なのではないかと。ブルース、カントリー、ジャズを基調にノスタルジックな味わいを演出しながら、ミドル〜スローテンポの曲が大半を占めているのが興味深い所。
自身のテクニカルな部分をあえて強調せず、極めて抑制の利いた演奏を自覚的にプレイしているのはキャリアの新たなステップを踏もうとしているようにも感じられる。音楽の幅を広げる作業というか。そんな点においてはツェッペリンの?にも似た趣を感じる。地味でスルメ盤だけど意欲的な作品。
聴いた日:04月18日 アーティスト:ジョー・サトリアーニ
チュ・チュ・トゥ・タンゴチュ・チュ・トゥ・タンゴ
・07年1st。Tahiti80のフロントマン、グザヴィエ・ボワイエのソロ初作。あんまりバンドとの分け隔てはあまりなく、メロウなポップサウンドが聞ける一枚。当時、バンドのほうがエレクトロ化してたので、そういった面では従来の路線をソロで補完してたという趣は少なからずあると思う。
淡く瑞々しさの残るサウンドはバンド時より強調されてるようにも思えるが、やりたいことをやったらバンドとあまり変わらなくなってしまったってのが真相のような気もする。ただソロな分、フォーキーな香りも。もちろんロックな曲もあるが全体にアンニュイな清新さが印象に残るアルバム。
聴いた日:04月19日 アーティスト:アックス・リヴァーボーイ
Margerine EclipseMargerine Eclipse
04年発表9th。中核メンバーの一人、メアリー・ハンセンが亡くなって初のアルバム。サウンドが物凄く明朗になったような気がする。メンバーの訃報などどこ吹く風か、抜けのいい開放感のある楽曲が立ち並んでいる。60sポップスオマージュなのか印象としてはサイケな趣は漂っているか。
音のテクスチャーがエレクトロに接近していて、そこら辺のわかり易さがポップ色を強めているように思うが、いつもどおりのモンドな肌触りのメロディとリズムが展開されているので、大きな変化はないが特有の切迫感は薄いが、初心者にもお勧めしやすい一枚だと思う。無論ヘンテコな音を受け入れた上で。
聴いた日:04月21日 アーティスト:Stereolab
Rainbow ChildrenRainbow Children
・01年発表(本人名義では)20th。追悼をかねて聞く。あの読めない記号からプリンスへと返り咲いた一枚。キリスト教的な宗教観で啓蒙されるコンセプチュアルな歌詞内容に生演奏主体のファンクサウンドが非常に濃厚。4と14でラリー・グラハムがベースで参加している。
あの過激でセクシュアルなイメージから一変してることに評価が賛否あるいうだが、ここで見られる姿は神への敬愛を隠さない真摯な姿である。基本的に「愛」について歌っているが演奏は先に言ったとおり、ディープなファンクサウンドであり彼の歌声とも絡み合うさまはやはりセクシュアルだ。
神父の講話的ではあるが、このアルバムのハイライトはラストの14に尽きる。「人生最後の12月がやってきたら君はどうする?」から始まる壮大なゴスペルバラードはその余りにも早い死と重なって、落涙せずにはいられない。じわじわと盛り上がっていく旋律は歌詞と相まって感動的でもある。
14のラスト、聖歌隊のコーラスが消えて、人々の雑踏が聞こえてくるアウトロ。これを聞いていると作った本人もそんなつもりじゃなかったろうが、あらかじめ用意されていたようにも感じてしまう。それを抜きにしても、内容的には復活といっていい出来だった。今はただ突然の訃報に哀悼の意を込めて。
聴いた日:04月22日 アーティスト:Prince
DESTINYDESTINY
00年発表3rd。ここに至るとディスコ〜80sポップスオマージュを我が物として、自らの血肉として送り出しているのが清々しいくらいに快感な一枚。リスペクトの先に見えるオリジナリティを確立しており、すこぶるダンシングなチューンの目白押しで聞いていて非常に楽しくなる。
ディスコにソウルにAOR、ファンク、80sポップスなどなど、POPでハイセンスなサウンドを日本語に乗せて、見事にJ-pop化している。その職人技にただただ唸るばかり。この抜けのいいサウンドはおそらく彼らにとってもターニングポイントだったのではないかと思わせるほど。会心の名盤。
聴いた日:04月23日 アーティスト:ノーナ・リーヴス,西寺郷太,山本拓夫,NONA REEVES
サーヴィスサーヴィス
・83年発表7th。前作で散開予定だったが高橋幸宏三宅裕司率いる劇団、S.E.T.とのコラボを持ちかけ、散開記念アルバムとしてリリースされた一枚。なもので、曲の合間合間にコントが挟まる構成となっており、『増殖』も因んだものとなっている。が、あそこまでの相乗効果がないか。
しかし、楽曲はどれもクオリティが高いどころか、メロディの肌触りはプロフェット5のクリアなトーンとシックでスマートのイメージから80年代後半と言われても不思議じゃないくらい、ハイセンスなものに仕上がっている。確実に5年先を行っていたが、スタジオアルバムはここで一旦幕を下ろした。
聴いた日:04月24日 アーティスト:YMO
パブリック・プレッシャーパブリック・プレッシャー
・80年発表ライブ盤。第1回目のワールドツアー凱旋盤、なのだけどレーベル契約の関係上、ツアーに参加した渡辺香津美のギターが収録できず、坂本龍一のシンセソロがオーバーダブされている。が、これが怪我の功名でライヴの熱気とサウンドの人工感が絶妙に絡み合い、バンドの魅力を浮き彫りにさせた
内容は初期YMOのベスト・オブ・ベストで、そのエキゾチックな雰囲気をこの一枚で存分味わえる。ハイライトは個人的に4。YMOの曲ではなく坂本龍一の曲だけど、キレのいい演奏とエキゾチックさ、テクノポップ感がこの盤でのYMOらしさを体現してる一曲かと。災い転じて福となした稀有な名盤。
聴いた日:04月25日 アーティスト:YMO
Purple Rain (1984 Film)Purple Rain (1984 Film)
・84年発表6th。大ブレイク作品。改めて聞くと幕の内弁当という印象。後年の作品の濃密さや過去作の猥雑なアクの強さがあまり感じられなくて、プリンスの類稀なる多種多様な音楽性が「ポップミュージック」という枠に収められている。薄味でもなく濃い味でもない、ちょうどいい塩梅の音楽が聞ける
この「ちょうど良さ」というのが非常に重要で、あっさりとしていながらもきっちり個性も主張している辺りにプリンスの狙い済ました計算高さが窺えるように思う。胡散臭さや危うげなイメージもスパイスとして混ぜ込んでいるのもこのアルバムの魅力を高めているのではないだろうか。
予想外の大ヒットというよりは今までの積み上げとりサーチの結果、繰り出した「音」で本人にとっては必然だったのかもしれない。今聞くと、ダンサブルなシンセの色合いより、その裏で鳴り響くギターの自己主張の強さが印象に残るのが興味深い。かなりストイックな作りの中で自由に弾いていたのかも。
聴いた日:04月27日 アーティスト:
Countdown To EcstasyCountdown To Ecstasy
・73年発表2nd。まだまだ後年の姿かたちは顕在化していないが、スタイリッシュな音に勢いとワイルドな雑味が残る一枚。本作ではジェフ・バクスターの演奏面の貢献が大きいように思う。R&B、R&R、ブルース、ジャズ、泥臭い黒人音楽がセンスよく鳴り響くのは作曲面もあるが、それだけではない
それら全てを咀嚼し、サウンドとして取り纏めているのが後にドゥービー・ブラザースに加入する事となるジェフ・バクスターだと考えると納得できるものがある。あの粘りの強い南部音楽たちを適度な軽さに仕上げるセンスの良さはメインの二人に引けをとらないのではないか、と。
実際、この盤はコンサートの合間を縫ってセッション製作されたようなので、より構築的でスタイリッシュかつジャジーに向かうフェイゲンたちと、泥臭い音楽を洗練させたいバクターの方向性の違いが現れてるとも感じる。可能性の取捨選択がされる以前の作品というべきか。それゆえの荒削りな魅力がある。
結果、この作品を最後にバクスターは脱退。ドゥービー・ブラザーズに加入。フェイゲンたちは次の方向に舵を切るわけだが、後の彼らには見られない勢い重視の演奏が面白く感じられる盤でもあるし、音楽を楽しむという点ではこれが一番抜けのいい音を出してると思う。地味だが良作。1や8がお気に入り。
聴いた日:04月27日 アーティスト:Steely Dan
I Don’t Wanna Be With YouI Don’t Wanna Be With You
・07年発表3rdEP。前作アルバムでの強靭なビートと筋肉質で硬質なポストパンサウンドを破棄して、NW的なシンセサウンドを指標した作品。これがそのまま次作のアルバムへと繋がる。ミニマルにフレージングを繰り返すさまを見る限り、エレクトロファンクな趣も垣間見える作り。
エレクトロファンクというより、エレクトリックマイルスのカオスなクロスオーバーサウンドの影響も見え、3なんかはタイトルからも推察できるように、フュージョンのようなライトな旋律も顔を覗かせている。2のみ前作の趣がある曲。1はアルバムだと別アレンジで収録、4は無機質なエレクトロで長尺曲
全体にアーバンな寂しさを人工的なファンクネスとグルーヴで補うEPだと思う。一人で聞くような密室感と音の開放的な広がりが同居して表裏一体というか。派手さはないけど研ぎ澄まされた感性の鋭い一枚。時折、ジャズロックな色合いも個人的には見落とせない。
聴いた日:04月27日 アーティスト:ZAZEN BOYS
Fab Four SutureFab Four Suture
06年発表10th。いちおうオリジナルアルバムとしてカウントされているがメジャー契約の切れた05〜06年に連続リリースされたシングルEPの楽曲群を取り纏めた一枚。彼らのストレンジなポップ感覚が顕著に表れている作品だとも感じた。アルバムのコンセプトがない分、自由度はかなり高め。
ビーチボーイズ辺りの60sポップス的な白昼夢サイケのイメージを醸し出しながら、彼ら独特のテクスチャーでどこかで聞いたことがあるような、けど聞いたことのないデジャ・ヴなサウンドが興味深く、面白い。彼らの中でもかなりキャッチーだが同時にタガも結構外れてて、トリップ感のある一枚だ。
聴いた日:04月29日 アーティスト:Stereolab

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