ヒーリングっど♥プリキュア8話。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月23日
ちゆのスランプ(イップス)回。前回ののどかがそうだったように、今回はちゆの内面とその問題点が掘り下げられたエピソードかと。脚本はプリキュア初参戦の金月龍之介さん、絵コンテも初参戦、出崎監督の弟子筋、西田正義さん、演出はベテランの岩井隆央さん。 pic.twitter.com/JcybkjiV7z
今回はちゆの日常を追った内容となっていて、彼女の日常ルーティーン描写が積み重ねられているんだけど、この描きがある種、彼女の問題点を示しているというか。各キャラの中でも一番拗れている印象を持つ。その原因は彼女が「対人関係において壁を作っている」点に尽きるかと。 pic.twitter.com/70xrvQfxGT
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月23日
朝早く起床して、着替えて、日課のジョギングの準備を整える。この一連のルーティーンまでがちゆの一日の始まりで。これを他人を入れず、一人で行う事が彼女の美点でもあり欠点でもあるんですよね。朝の風景としてリズムを作っている反面、ちゆの内面にフォーカスするとそう見えてしまう。 pic.twitter.com/Dt1WVUutYK
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月23日
これは彼女がパーソナルスペースを大切にする人間というのもあるわけですが。プリキュアになってからは自らの大切な空間がドラスティックに変化していて、言葉や感情に出てこないですが、ちゆ個人が対人関係的な軋轢に対してどう対処するのかというエピソード。これがまず前提にないと、語るのは難しい pic.twitter.com/upufhAWSZA
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月23日
ちゆの問題点は陸上部での練習シーンからも明らかで、練習に励むちゆを見に、のどかとひなたがやってきてるけど、この距離感はおそらく比喩表現で。校庭と金網フェンス、ならびに右画像の遠近感辺りはそのまま、ちゆの対人関係における精神的な距離感なのかと。 pic.twitter.com/HDZkZsBJGu
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
直後ののどか&ひなたのアップカット。二人の会話よりも金網フェンスの存在感がやたら主張が強い。絵的な見栄えで言えば、二人にフォーカスする為にフェンスの外側にカメラを移して会話すればいいのに、それをしてないは明らかに意図があるものだと思えますね。 pic.twitter.com/sRA25kCx30
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
でまあ、地区大会での記録に期待がかかるちゆを眺める二人に、前回に続き登場の益子くんが隣の中学のハイジャンプ選手の好調らしい、と暗雲を立ち込めさせる。この辺、ちゆはあまり関知してないのでそのままでも知らずにいたらよかったのだけど。 pic.twitter.com/lnXmyCO9dN
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
二人に近づいてきたちゆが、ひょんなことから「金網越し」にライバルの好調を知ってしまうという流れ。ちゆと二人を「隔てる」金網フェンスがやっぱり作劇上の意味合いを伴っているように思えるなあ…。現時点では彼女の本心にはけして届けない壁が明確に存在してる印象を持つ。 pic.twitter.com/ekRhxbKRSM
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
次のシーンで、金網の「内側」に入った二人からライバルの写真を見せてもらうわけだけど、ここの表情変化が明らかに困ってる。他者という外的要因によって、自分のペース(集中)が途切れてしまい、人との距離感に困惑してる、というニュアンスがどっちかっていうと強いかなと。 pic.twitter.com/zBziMjLcfW
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ここで継ぐ言葉が「(ライバルの事が)気にならないといえば嘘になるけど……」「陸上は自分との戦い。私のライバルは私だから……」と続くの、「教えてくれなければ、知らずに済んだのに」というニュアンスも込められてそうだよね。裏を返せば自分との戦いである以上、他者の不用意な介入を許してない pic.twitter.com/PGvhgVqgfS
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ただそういう事を毅然と言えない、賢さが災いして自分を押し殺して、変に強がってしまうというのが、実際の会話の背後に潜んでいるように見えるんだよね。ちゆにとっては余計なお世話でしかないんだけど、返って二人を心配させまいと思って、そういう行動を取ってしまっているように見える。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
誰が悪いわけでもないんだけど、そういったメンタルが響いて、ちゆはさっきまで上手く行っていたジャンプを失敗させてしまう。他者が自分の世界に入り込んでしまった事で、集中が途切れてしまったとも。悪気がない分、なおさら。 pic.twitter.com/8igFtgqIC2
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ここのシーンもなあ。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
自分が上手くいかなかったことを自覚しつつも、チームメイト(他人)に励まされる「距離感」に困って、さらにそれを実感してしまい、その原因を自分に求めてしまっている表情の変化が細かい。というか、ちゆは登場当初からかなり細かい表情変化の芝居付けされてるよね。 pic.twitter.com/TeW1tyqnOE
そういった様子を見ていたペギタンは帰宅後、ちゆと二人きりの場面で励ましてはいるんだけど、このように終始困り顔なんだよね…。5話でもそうだったけど、他者から自分に向けられた感情にどう対処していいのか、距離感が分からず困惑してる印象。自己が強くある分、余計に他者の何気ない行為に困る。 pic.twitter.com/f8svsXULYC
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
てなことを考えると、ちゆには自分の考えるペースやリズムがあって、それを外部(他者)に乱される事を善しとしない子なのかなというのを強く感じるんだよね。年の割にはしっかりとした行動理念に基づいている出来た子である故に、他者のペースに合わせる事や強調する事が上手くないというか。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ちゆにとって、のどかやひなたの何気ない「干渉」は自分のリズムを崩されてしまった事に他ならなくて。翌日、アバンと同じように彼女の生活リズムを刻むわけなんだけど。 pic.twitter.com/WYJEBxLIaL
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
彼女の表情、というか心は晴れないまま。見てる視聴者にとっても、それは少しの変化でしかないんだけど、ちゆにとってはかなりドラスティックな変化であるのがよく分かる。 pic.twitter.com/nGmyYlbyZY
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
で、昨日のことが心配になり、のどかとひなたがそれぞれ思い立って、ちゆの早朝ランニングに付き合おうとする「おせっかい」は前段を踏まえていると、かなりの緊張の走るシーンなんですよね……。ちゆの気にかけているようで、実を言えばやったいもない行為で。 pic.twitter.com/ovblWkGKc5
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ここも表情の変化が細かい。言葉には出してないけど
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
「二人ともまた私に迷惑かけに来たの?」と表情を強張らせ、「けど、たぶん悪気はないんだろうな」とちょっと困った顔になって、「心配してくれるのはいいけど、なにも二人してこなくても」って、苦笑してる。普通、それ台詞に出すよ、ちゆさん? pic.twitter.com/5odgiPcLzm
まあ、メタな冗談はともかく。ちゆはこのような他人との距離感を推し量りかねてる所が非常に強いのと地頭が良い分、色々と頭の中で慮ってしまい、口には出さないで表情がそれを語っているから、アニメとしてはかなり難しい事してるように思うなあ。やっぱり作画表現なので、それだけ細やかさが必要だし
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
で、浜辺で休憩する中で、ちゆが陸上を始めたきっかけを語りだす。のどかとひなたには「自分のことを理解してほしいから」、という気持ちが働いてるかは定かではないけども。 pic.twitter.com/6fxUBawKVJ
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ここら辺の語りはちゆ自身が目指している「高み(≒理想)」の語りで、そこに到達するためには自分を研ぎ澄ましていきたいという思いが強く出てる。それこそアスリートの思考というか論理というか。「自分との戦い」と評したのも今後のちゆのエピソードの内外的なテーマなんだろうと。 pic.twitter.com/J3IDLxgymi
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
ちゆにとっての陸上競技は「(高みに届くため)自分に打ち勝つ」事と定めている以上、体面的には競技においての信念ではあるけど、その実、のどかたちに出会うまで持っていた自己を守る仮面を打ち破る事こそが主眼だよなあと思う。 pic.twitter.com/onIfILHODR
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
そうやって見ていくと、ちゆも頭はいいけど、思春期の女の子なりの悩みを持っている子に思えるよね。頭の回転が良い分、他人とのペースがどうしてもズレてしまうのと、本当の自分を出せずに誤解されてしまう所とか。今回はそのパーツがひとつ取り払われたようなエピソード。 pic.twitter.com/mzylj7rgMk
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
そうしてちゆが気のおけない友達(他者)の前で、自分を見せるという行為があったからこそ、ここでののどかの微笑が映えるわけで。ヒープリ、絵で心を描いている分、言葉には出さない部分の比重が結構多いよなあと感じてます。 pic.twitter.com/wUrAvxP8XZ
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
のどかがどこまで意識してるかは分からない(実際、説明してるような所まで深く感じ入ってはないのだろう)けど、ちゆの思いに共感してるというニュアンスがこの笑みからもよく伝わってきてますよね。この辺、画作りがとても巧みだなあと。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月25日
Bパートに入ると、視点人物がちゆからパートナーのペギタンに移る。物語の当事者から他者へと目線が変わる事で、ちゆの問題点を外から眺めるというのと、ここでも表れている「金網」の隔たりの外にいるのどかたちと比べて、中にいるペギタンがちゆとの精神的距離が近いように見えますね。 pic.twitter.com/MQKkcX0cel
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
調子の戻らないちゆは休日返上で、練習を重ねる。ペギタンは彼女の身を案じるわけだけど、ここのふすまを閉める芝居も彼女との「断絶」を表してるっぽいよなあ……。ちゆが「自分との戦い」と見定めている以上、他人の入り込む余地はないのだろうけど反面、彼女は本心を誰にも見せていない、んだろうな pic.twitter.com/2kxnuZIed8
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
3話でのどかに「おうちが大好きなんだね!」と言われ、5話では三人で行った水族館で、くらげを楽しげに見ている様子をひなたに「学校にいる時より生き生きしてる」と言われてる。ここら辺のことを汲むと、やっぱり本来の自分が別にあって、学校とプライベートで顔を使い分けてる印象がある。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
最近ではペギタンが居候してるわけだから、余計に気働きしてるんじゃないかという気もするけど。どちらにしても、ちゆ自体が他人との距離感を推し量りすぎて、自分から関係の輪に深く入り込んでいない、同様に自分の境界に入り込ませないようにしてきたってのはここまでのニュアンスとして漂ってるよね
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
ちゆがそんなだから、他人が気を揉んでもどうこうできるわけではないんだけど。ペギタンもちゆの不調がイップスだと理解して、のどかたちに相談しにいったら、心配なのは彼女たちも一緒で。彼女たちはペギタンよりさらに「金網の外」にいるからこそ、余計に心配だけど踏み込めないのも理解している。 pic.twitter.com/qcOwZTzHE4
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
2話でちゆはまどかに「自分の限界を知らずにやりすぎると無理をきたしてしまう」と諭していたけど、今度は彼女が無理な負荷をかけてまでの練習に励もうとしている。「金網の内」に踏み込めない以上、当人に促す以外ないんだけど。 pic.twitter.com/yHaSxL4nc6
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月27日
この頑なさと他人の善意の助言に困り、自分の理念を押し通そう(のどかたちに心配かけまい)と虚勢を張ってしまっている風にも受け取れるのは今後の不安材料ではあるよなあと。ここの場面、ちゆには影が落ちているからなおさら、ね。 pic.twitter.com/onPxVDNyTr
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
よく考えるとこの一連の動作って、単純にのどかたちの「無理しないで」という助け舟に対して、当事者(アスリート)としてのちゆは怒ってもいいはずなのに、拳を握り締めて「抑えて」いるんだよね。「無理してでも自分の限界を超えるって古いのかな」って自嘲も含ませつつも、高みを目指したいっていう
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
もっと感情的になってもいいはずなんだけど、それだとカドが立つというのも分かっているから、こういう反応をしちゃうってことなのか……。いや、そこまで考えるのも穿ちすぎなんだろうか。でも、本心を表に出さないのはわりと徹底してる印象だから、そういう風に見て取れてもしまうんだけど…。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
そんなちゆの固い意志に対して、周囲は何もすることができない。だからここでのどかの台詞として「なにが正しいのか、私たちには分からない」と繰り出す切れ味の鋭さはやはり凄まじいものがあるなあと。出来る事はちゆのやり方を尊重して応援するしかないというのもまた。 pic.twitter.com/jxMu3aKFOV
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
どんなスポーツにおいても、メンタルって相応に作用してると思うんだけど、今回のちゆがイップスに陥ってるのは自分の領域に他者が入り込んだことが大きな要因になって、起こっているものなのは確か。その変化に戸惑い、彼女は独り苦しんでいると言う形。だからまあ、練習が足りないとかではないよね pic.twitter.com/5boYH3Lru5
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
やっぱり話を眺めていると、パーソナルスペースの問題という印象が強いんだよね。体面的にはそこそこ社交的なんだけどそれはいわば自己防衛の術でしかなくて、「本当の自分」を見せることにとても臆病というか、すぐに予防線を張ってしまうのが、ちゆの内面的な問題なのではないかと。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
「自分との戦い」と定義付けているから、「孤独な戦い」でもあるわけで。陸上大会の当日のシーンもちゆだけを拾ってみると、クローズアップと俯瞰の構図から、「孤独」である所を強調してる。ただそれは「今までなら」という意味づけもされてて。 pic.twitter.com/2Un4qxsJaP
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
自分を呼ぶ声に気付いて、観客席を見上げるとちゆの目指す「高み」を共有して、それを応援するのどかたちの姿があることに気付くんですよね。競技に向き合う姿勢は「孤独」でしかないけど、それを理解し支えてくれる存在があることに。 pic.twitter.com/xgNWHfReYB
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
ちゆはこれを見て初めて気が付くわけですね。いつの間にか、自分の領域の中にのどかたちが含まれている。そして見上げると青い空があって、それこそ彼女が目指す空と水平線が交わる「青」には色んな物が含まれて、出来ているんだと。 pic.twitter.com/Z6dupg5RDU
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
当然ながら、競技場には彼女たちを隔てる金網はなくて、応援する側とされる側が一体になって存在している。のどかたちが自分を気に掛けるのも、ハイジャンプに向き合う姿を知っているからこそ、支えたいという気持ちが働いているにすぎなくて、けっして彼女を干渉したいわけではない。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
自分のパーソナルスペースが広がった事とその意味を理解したことで、今回のドラマは多分結ばれていて、プリキュアシーンでフォンテーヌがほかの二人に背中を預けて、敵の懐へと隙をついて入り込むのは、そういった過程を経た結果として表されたものでなんだろうなと思いますね。
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
だからラストのシークエンスでハイジャンプが成功するのも、パーソナルスペースが広がったことを認識し、ちゆ自身の中でメンタルバランスが取れたことの確認作業でもあるのですね。 pic.twitter.com/NGMwLy0N9I
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
だから話の主眼としては、けっしてスポ根のそれではなくて、ちゆ自身のパーソナルスペースの変化と広がりにおかれていた印象。のどかたちに出会う以前と以後では彼女の世界が広がって、変化したことが彼女の成長にも繋がったって結びなのではないかと。 pic.twitter.com/D4GhKO3aAu
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
ペギタンとの最後の会話で「もう大丈夫ペェね」「ええ、みんなのおかげでね」と言っているのも、今回のエピソードを象徴してる感じ。独りで抱え込むのではなくて、他者の支えがあるからこそ「高み」を目指すことが出来るという理解そのものがちゆの成長よね。 pic.twitter.com/qe1GMkvmMy
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
3話でも語ったようにちゆには「互助」というテーマが与えられているようなので、今回のエピソードでもそれを踏まえての描きだった感じではあるか。けど、これでちゆの問題が完全に解決してるわけでないのは、当然ながら先の展開が待っているからに他ならないよね。https://t.co/FvthFwfmZD
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日
特に本心を見せず、自分を押し殺している辺りはちゆにとっての「大きな棘」であるのは間違いないから、そこを一歩ずつやっていくんだろうなと思わせるエピソードだったかと。しかしまあ、ヒープリはキャラクターの内面をかなりじっくり腰を据えてやる姿勢なんだな、いつもとは違った形で攻めてる作品だ
— テリー・ライス (@terry_rice88) 2020年3月28日