音楽鑑賞履歴(2019年11月) No.1356~1359

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
11月は4枚。またペースが落ちてきてますが、仕方ない。
なんだかんだで2019年も一ヶ月を切りましたね。時間が経つのは早いものです。
買うペースに対して聞くペースがまったく比例しないという状況が続いてますが、地道に聞いていければいいかなとは。
というわけで以下より感想です。


METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)

METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)

  • アーティスト:BABYMETAL
  • 発売日: 2016/04/01
  • メディア: CD
16年発表2nd。文字通り世界を席巻した、メタルアイドルの二作目。前作の賞賛を踏まえて、送り出されているのもあり、ある意味「拡大路線」を執った内容といえそう、メタル色はより濃くなり、アイドルソングらしいメロディをよりソリッドにコーティングしているのが印象的だ。
よりビートは重く、よりサウンドはハードに。アルバム全体の感触が前作よりもドラスティックにメタルサウンドしているので、アイドルソングとしてのポップさもそちらに引っ張られている印象で、ある種メタルとアイドルの融合という元よりピーキーなバランスがアンバランスになっている感じを受ける。
少なくともこの盤においては、ポップかといわれるとこれはメタルであり、あまりにも「本格化」してる分、アイドルとしては窮屈になってしまっているような感覚は否めないか。悪いどころか、可能性を拓いているアルバムだがメタルアイドルという「バランス」を取る困難さが見え隠れする一枚といった所。


COSMIC EXPLORER(初回限定盤A)(2CD+Blu-ray)

COSMIC EXPLORER(初回限定盤A)(2CD+Blu-ray)

  • アーティスト:Perfume
  • 発売日: 2016/04/06
  • メディア: CD
16年発表5th。レーベル移籍後二作目。国内に限らず、世界での活動も拡張し続ける中で満を持して送り出された作品。シングルのアルバムMixともども、フロア仕様なサウンドなのも相変わらずといったところだが、どことなく派手さよりもシックさが目立つ、サウンドプロダクションという印象がある。
トラップやトロピカルといったサウンドを上手く取り込みつつ、生音や楽器の音を差し挟んでいる内容はよりスタイリッシュ、アダルトな趣も感じさせる。もちろんダンスユニットでもあることも考慮したクラブサウンドではあるのは疑いのない所だが、良くも悪くもメンバーの年齢も加味した作りなのだろう。
この辺りは長期にわたって活動しているユニットであることも影響しているのだとは思うが、若者から大人への変化を意識したものとなっている印象を受けるか。それはむしろ悪いことではなく、時代や年齢に即した内容に変化していっている表れのようにも思う。そんな大人の余裕もどことなく出てきた一枚かと。


ニセ予言者ども(紙ジャケット仕様)

ニセ予言者ども(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:JAGATARA
  • 発売日: 2007/09/26
  • メディア: CD
87年発表4thの07年オリジナル音源リマスター。インディーズでの最終作で、このリマスターではじめてオリジナル盤音源が使用されたことで話題になった。内容のレビューは以下のリンクで語っているので、今回は盤違いについて詳しく。

t.co

このアルバムについては「裸の王様」と異なり、CDは3バージョンあるということを特筆しておきたい。
つまり

・89年版
・99年版
・07年版(※オリジナルLPマスター)

の三つ。リイシューの度にバージョンが異なっているので注意が必要。どうしてこのような事になっているのか次に。
まずLP発売のアルバムをCDとして売り出した際に、レゲエが専門のエンジニア、ゴドウィン・ロギーにMixを新たに施してもらい、なおかつ江戸アケミが収録曲「みちくさ」のボーカルを再録したものが89年に出た最初のCD。音の分離がいいが、「みちくさ」のボーカルが歌詞を一部変更されている。
07年版はオリジナルLPの音源を使ったりマスターなので、こちらは「みちくさ」のオリジナルボーカルも聞ける。また演奏が中心に密集したミックスなのでバンドサウンドの塊感が強く出ており、込められた強靭なグルーヴをひしひしと感じられる、圧巻の内容。入手が現在困難だが聞くならば、これを推す。
問題なのは99年版。こちらもリマスター盤だが最初のCD化の際、施されたゴドウィンミックス音源。なのだけど、「みちくさ」のボーカルはなんとオリジナル音源を使用している。つまり、「演奏そのものは89年版のゴドウィンミックスだが、江戸アケミのボーカルのみ、オリジナルLP版」というCDになっている
どうしてこうなっているかは謎だが、99年版のボーカルはオリジナルのLPのものに差し換えられているという、非常に捻くれたバージョンになっている。ただ99年版は音の分離のいいゴドウィンミックスのリマスターなのでオリジナルの一点突破力と比べると、迫力や緊張感がやや弱い印象。
以上のような違いがあるために非常にややこしい事になっているのは否めない。事実、99年版と07年版を違いを聞き分けようとすると中々困難(ミックスが違うのみ)で斯く言う自分も違いを判別できるまでなかなか時間を要してしまった。良くも悪くもだが89年版を聞かないとはっきりとした違いは感じ取れない
反面、その辺を気にしなければ、江戸アケミの気迫に満ちた歌は99年版でも07年版のどちらでも聞けるので、心配する必要もあまりないかと。違いを明確に聞き取りたい場合は89年版も要チェックといったところか。内容の方は言うに及ばず、名盤の称号に相応しいアルバムだろう。


3121

3121

  • アーティスト:プリンス
  • 発売日: 2019/02/08
  • メディア: CD
06年発表21th。00年代にプリンス名義が復活してからの三作目。自身初の全米初登場1位を記録するなど、完全にかつての勢いを取り戻した感のある作品だといえる。当時の80年代リバイバルも相俟ってなのか、新機軸を取り入れながらも音の感触は、全盛期である80年代のサウンドを意識したポップな作り。
ラテンのテイストを取り入れるなどしてるが、基本的に極めてストレートに気負いなく、エネルギッシュでパワフルな正調・殿下スタイルが聞ける。レーベルとの確執もなくなり、何か吹っ切れた勢いを感じる内容である一方、80年代にはなかった円熟味や改宗によって生まれた変化が聞き易さを生んでいる。
改宗によるセクシャルなイメージの減退が、皮肉なことにプリンスの音楽センスの鋭さを研ぎ澄ませた印象も感じてしまうか。ある種、洗練された音楽性を変節と捉えるか、革新と捉えるかは聞く人によって意見が分かれる所だろうが、かつてなく分かり易いアルバムなのは間違いない一枚だろう。