【ネタバレ注意】「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」作品検証。

注:今回は「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のネタバレが含まれます。

今回は4/15(※4/27再放送)にCS放送TBSチャンネル2でTV放映される少女☆歌劇 レヴュースタァライト ―The LIVE―」#1 revivalに先駆けての検証記事です。
今回は過去三つの紹介記事とは趣を変えて、舞台版を観劇している事が前提の作品の内容へと踏み込んだ記事になりますので、そうでない方には盛大なネタバレとなります。7月にはTVシリーズも放映されますので、それまで前情報を入れておきたくない人は閲覧をお控えください。
なお当ブログではすでに紹介記事を三つほど書いておりますので、作品のアウトラインはそちらを参照すればざっくりと掴めるはず、です。
以下は該当記事のリンクです。これらは作品及び物語のネタバレは極力しておりません。
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The Live- #1」インプレッション - In Jazz
少女☆歌劇レヴュースタァライトQ&A〜ガイド・トゥ・スタァライト - In Jazz
「少女☆歌劇レヴュースタァライト」コミカライズ作品紹介。 - In Jazz

前置きはこんなところで、以下の「続きを読む」から本文をスタートしたいと思います。
ネタバレを気にしないという方はどうぞご自由に。4/15(と27)の放送を見た方はぜひご覧ください。



さて、語るべきことはいろいろありますがひとまず作品のあらすじを改めて紹介しておきましょう。以下は舞台版のパンフレットから書き起こしたものです。

舞台少女たちの学び舎・聖翔音楽学園。

俳優育成科2年A組(※注:彼女たちは99期生)の愛城華恋、天堂真矢、星見純那、露崎まひる、西條クロディーヌ、大場なな、石動双葉、花柳香子は、厳しくも愛情溢れる教師たちに導かれながら、舞台女優になることを夢見て切磋琢磨していた。

そんな平和な学園生活を一変させたのが英国帰りの転校生・神楽ひかり。

彼女の出現を期に突如学園で開催されるオーディションは、トップスタァになれるというたった一人の勝者の座をかけ、おのれの夢をかけて戦うバトルロワイヤルだった……。

とまあ、こんな感じです。一年前に公開された一番最初のPVはこのあらすじを汲んだ映像というのがよく分かります。

舞台初演に先駆けること、5ヶ月前に公開されたPVですがこの映像が舞台版を見る前と見た後ではかなり印象が異なるというより、拾える情報が非常に多い。約2分半の映像の中に作品で取り上げられるだろうトピックが色々詰め込まれているんですが現状、舞台版でも語られていない部分もあって全容は明らかになっていません。
当たり前ですが、それらはTVアニメシリーズによって開示される点も多いはずです。ですからその全てを一つ一つ事細かに取り上げていくよりかは、筆者が現状公開されている2本のPV、舞台版、CD、スタッフインタビューなどから気になった部分をピックアップしていって語りたいと思います。なお引用画像は公開されているYouTubeのPV2本が主となります。別の画像についてはその都度、出典を記載しておきます。


・「塔」と「執着」の物語
少女☆歌劇 レヴュースタァライト」がどういう物語なのか。
上に引用したあらすじや舞台版の物語において「舞台女優を目指す少女たち」=舞台少女たちによって繰り広げられる、「夢」と「輝き」を賭けたバトルロワイヤルだということは示されています。「レヴュー」とは何か、「スタァ」とは何か。舞台少女たちはその舞台に立つ「女優」として何を演じるのか。舞台版で提示された情報ではそのような問いが彼女たちには投げかけられています。
そんな中で、1月の舞台版再演の千秋楽後に公開されたPV第二弾ではこのような言葉が踊っているのです。

上段の「舞台×少女」の画像2枚はPV第一弾から引っ張ってきていますが、注目したいのは「少女を塔へと導くのは」と続く、三つの執着
「あの舞台への執着」
「あの約束への執着」
「あの少女への執着」
ここで「塔」と「執着」がクローズアップされているのが分かりますね。そう、彼女たちは「トップスタァ」という「夢」以上になにかしらの「執着」を抱えた者たちであるということが提示されているのです。「舞台」「約束」「少女」。この物語において「執着」と呼ばれたこれらは、当然、舞台少女たち全員に係るキーワードであり、おのおのの事情とも交錯しているのがミソです。ある者は「舞台」に執着し、ある者は「約束」に執着し、当然「少女」へ執着する者もいる。それらが全て「レヴュー(舞台)」に集約されていくわけです。
ちなみに「塔」とは舞台版の冒頭で、華恋とひかりが幼いころに見た舞台劇に出てくる「塔」。その舞台劇にも描かれる、塔の天辺に辿り着けた者だけが得られる「きらめき」を舞台少女たちは目指すことになるわけですが、その「塔」にたどり着くための強い「執着」が求められる物語が「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」という作品の根幹なのです。

─ビジュアル面はいかがですか?
古川 『塔』をモチーフの軸にしています。(中略)「あらゆるものは塔に帰結する」ということですね。
(月刊Newtype 2018年3月号の監督インタビューより抜粋)

本作の監督、古川知宏監督もインタビューでこう発言している通り、「塔」そのものが作品の重要なモチーフであることは間違いありません。事実、PV2本にもきっちりと「塔」は出てきています。


(図1)

(図2)
舞台版を見ていれば、馴染み深いのはおそらく図1の「塔」の方です。この作品は現実と虚構が入り混じって構成される世界ですが、レヴューオーディションや物語の冒頭で提示される「塔」はバベルの塔をモチーフにしたものであることが察せられます。しかし図2で提示されている「塔」は皆さんもよく知っている東京タワー。そして、下の図3が出てくるPV第二弾ではその東京タワーの鉄骨に立つ主役、愛城華恋と神楽ひかりの姿が確認できます。

(図3)
これが一体どういう事を表しているかはまだ詳しく明らかにはなっていません。が、この図3の直後に華恋が東京タワーから落下していく場面が入ることと、舞台版の冒頭に提示される劇中劇(ざっくりとした筋を説明すると、「星」を掴むことのできる運命の塔、しかしその天辺の扉は六人の女神に認めらない限り、開くことはできない。導かれた少女二人は、女神達に認められ、塔の扉を開くのだが…、というもの) に照らし合わせるといろいろ暗示的ではあります。
翻って、「塔」というモチーフにおいては現実と虚構のどちらにも存在しており、舞台少女たちの前に立ちはだかっている。もちろんそれは彼女たちの繰り広げる「舞台」と「リアル」にも関わっているものであることには疑いはないでしょう。「塔」については「理想」や「頂点」といった意味も込められていそうです。そういった「塔」と「執着」によって、舞台少女たちは自らの「夢」をかけた戦いに挑むわけです。

(図4)
この図4の円錐のイメージも「塔」を意識した記号でもあることが、舞台版を観て初めて気付ける「意味」となっていることからも、この物語が含意に満ちたものであることが分かるでしょう。当然、この円錐は「舞台のスポットライト」を表す記号でもあります。その点は「スポットライト」の中央で輝くことと「塔」に辿り着くことはほぼ同義であるかと考えられますね。
当ブログの紹介記事も触れたように、この作品は「演劇」が主軸になっている物語です。かのシェークスピアが作り出した「世界は舞台、人は役者」という台詞と同様、彼女たち舞台少女の「生き様」が舞台においてぶつかり合う姿をTVアニメでも目撃することとなるでしょう。繰り返して言いますが、「執着」に導かれて、「塔」の頂上に辿り着く物語、それが「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」です。


・交差するカップリングとレヴュー「スタァライト


↑こちらは今年3月にリリースされた舞台少女たち、スタァライト九九組、2枚目のシングル「スタァライトシアター」のジャケット。
作品のメインキャラクターは9人。ひとつの作品としてはメインの登場人物が多い部類に入ると思いますが、既に公式カップリングが設定されているのは、当ブログの一番最初のインプレッション記事でも語ったとおりです。舞台版においても、この公式カップリングに沿って物語は展開されていますし、最初のPVでも基本この図式は全く変わっていません。
メインもメインの2人は別項で語るとしても、他の7人も外見と性格のギャップがあったりして、一口には語れない魅力があるキャラとなっています。彼女たちが闘いを繰り広げる「舞台」において、秘めた思いや心の真実などは全て曝け出さなければ、闘いを制することが出来ません。本音と本音のせめぎ合い、それが本作の特色だと、舞台版を見ている限りでは感じますので期待が高まるところです。信念の闘いである所は影響先の一つであろう「少女革命ウテナ」を髣髴とさせるものがありますね。
本項では筆者が各カップリングに思う所を手短に述べて、彼女たちの「舞台」について検証したいと思います。
まずはこの二人。

石動双葉(CV:生田輝)&花柳香子(CV:伊藤彩沙
本作の幼馴染枠。かの榎戸洋司的なキャラ枠で収めるならば双子枠です、彼女たち。長い付き合いでお互いをよく分かっている以上、強さも弱さも酸いも甘いもよく見知っているはずで、普段何気なく行ってきた主従(?)関係も「舞台」に関わると、といった所。PV第一弾でのツーショットも双葉の表情が曇る所が舞台の展開を知っていると俄然と目を引きたくなります。腕っ節の強い双葉とはんなりと強かな香子、この二人がどういう動きを見せてくれるかが楽しみです。


天堂真矢(CV:富田麻帆)西條クロディーヌ(CV:相羽あいな
同属嫌悪枠。ふたりも血筋はサラブレットのエリート(真矢は高名な舞台俳優とプリマドンナを両親に持ち、クロディーヌは日仏ハーフの子役経験者)。ただ二人の画像を見れば一目瞭然ですが、シンメトリーかと思いきやクロディーヌの方とわずかなズレが生じている画になっていて、それがそのまま二人の関係構図にもなっているという形。この二人はどこまで行っても、お互いがお互いを映し出す「鏡」であり、お互いの強さも弱さも炙り出される関係。ただクロディーヌが真矢を一方的にライバル視しているので、一見完璧そうな真矢の方にも分が悪い時もあるのが注目という所かと。


露崎まひる(CV:岩田陽葵
共依存&自立枠。主役の一人、華恋のルームメイトで入学以来、べったり依存状態。しかし、もう一人の主役で華恋の幼馴染でもあったひかりが転校してきて、状況が一変してしまう。舞台版の演技を見る限り、一番ポテンシャルを秘めているのは彼女なのだが引っ込み思案な性質が影響して、前に出ることが出来ず、ひかりの登場によって、華恋への思いも強くなるという危うさも抱えている。おそらくキャラクターの成長という点で見れば、一番楽しめるキャラだろうという期待は強い。


星見純那(CV:佐藤日向)大場なな(CV:小泉萌香)
サバサバ枠(?)。この二人だけは舞台版で絡みがなかったので一番謎に包まれているカップリング。ここまで説明してきたキャラたちは、PV第一弾のショットからもカップリングに現れるキーワードが浮かび上がるのだけど、この二人においてはそれが一番分かり辛い。ただこの二人で一組なのは明らかで、実際引用した画像を並べて見ると、お互いの目線が通じ合っているように見えるので、付かず離れずの関係性を保っていそう。彼女たちだけはTVアニメでの絡みがまだ予想が付かない感じです。……なんて思ってたら、電撃G'sコミックで連載中の前日譚「オーバーチュア」最新話でついに彼女たちのエピソードが描かれており、またいろいろ含みのある描き方になってたのが印象的でした。委員長タイプの純那と背は高いけど一番女性らしいなな。この二人については出ている情報から察するに過去になにかあったことが彼女たちを「舞台」へと惹き付けている印象なので、案外この二人の「舞台」への思い入れは強そうな感じがありますね。


と、まあ。各キャラ、個性はなかなか強いのですが、そんな彼女たちが自らの「夢」と信念を掛けて闘うのだから面白くならないはずがないというか。

スタァライト九九組最初のシングル、「Prologue -Star Divine-」ジャケット。彼女たちはこの衣装(ナポレオン時代のフランス軍軽騎兵が着用していたユサールがモチーフ)に変身して、戦うことになります。というより、闘わなければならないのです。なぜなら9人とも目指す場所はたった一つ。「トップスタァ」の座だからです。

(図5)
図5に表れるこのフレーズは作品全体を貫くテーマでもあります。同様に舞台のミュージカルシーンではこのようにも歌われます。

もっと高みを目指したい 次のステップに上がりたい
仲間? いいえ 私たちはライバル
目指すはポジション・ゼロ センターこそが主役の場所
仲間? いいえ 私たちはライバル
(舞台挿入歌「ポジションゼロへ!」より)

クラスメートであっても仲間ではなく、ライバル。そして友達であろうともセンターは譲れない。どこぞのアイドルグループかと思わなくもないですが、私情を抜きにしたセンターポジション争いを行う中で、自らの「輝きを見出す」物語だという事は、PV第一弾の一番最初に明示されているのですよね。


(図6)

図5,6の力強いフレーズがあることで舞台少女たちは「舞台」において自分は何を成すべきなのか、それを成すためにどのようにして自分は変わるべきなのかを、自ら考え、動き、表現するのかということが問われるわけです。周りのライバルたちにはない、自分らしい「なにか」。そのなにかこそが図6で語られる「あなたの望んだその星」なのだろうと考えられそうです。目指すべきは「トップスタァ」であることが大前提。だけど、彼女たちの辿り着く「夢」が必ずしもそうだと限らないことも、実は示唆されている。舞台版を見ている限り、そういう筋道もありえそう。ということはつまり、彼女たちが闘いを繰り広げる「レヴューオーディション」の勝敗が全てではないことも十二分に考えうることではあるのです。

(図7)

であるから、もうひとつの作品の根幹を為すだろう、最初のPV公開当初から話題になったフレーズ「アタシ再生産」というのは、まずそういうテーマから立脚したものなのでしょう。「わたし」という自己を再生産することで、新たな一歩を踏み出していく物語。上で紹介した7人にはまさしくそんな命題が与えられているのだろうと思います。つまり提示されているカップリングが全てひっくり返ったり、変化する可能性が大いに期待できるし、そういったキャラクターの成長する姿が見られるだろうというところが非常に楽しみな所ではあります。


ですが。実はこの「舞台」というのが物語上、非常に曲者であることも明示されているのもこの作品の醍醐味であります。こちらもPV第一弾からの画像をご覧いただきたい。


(図8)

(図9)

どうですか、この意味の変化……!
さっきまで説明していた「アタシ再生産」という大きなテーマが「舞台」に集約されている図8から、それをまるで生き物のように「舞台」が彼女たちを飲み込まんとする図9への変貌といったら。そうなのです。闘うべき相手はクラスメートでありライバルである舞台少女たちですが、実は倒すべき「存在」もいるのです。「舞台は生き物」ともよく言われるように、「レヴューオーディション」が行われる「舞台」そのものが文字通り「生きている」のです。

謎のキリン(CV:津田健次郎

現状、この辺りの設定は全く明かされていないので情報を掘り下げることも出来ないのが心苦しいですが、おそらくは舞台版冒頭の劇中劇が作品全体を支配する「何か」であることは間違いないようです。あまりにも漠然としているので、非常に分かりやすい例えをすると作品の影響元の一つ(だろう)「少女革命ウテナ」の「世界の果て」的な存在がいる、ということです。ただ実体があるかは定かではありません。CVを考えると非常に重要な役でもありそうなので今後の展開を待ちたい所。
ただこの「舞台」が生きたように動くのははどうも舞台少女たちの「情熱」と「きらめき」であるらしく、「レヴュー」が行われる「舞台」は舞台少女を糧にして生きているという推測は立ちます。実際倒すべき存在であるかはともかく、なにか得体の知れないものが舞台少女の演技によって、生々しく動くのです。
この為、「舞台」におけるあらゆるものは「生きて」います。どういうことかというとつまり、こういうことです。





あえてPVのカットをごちゃ混ぜにしてしまいましたが、このように「光」も「生きている」のです。PVを見ていただければ、スポットライトがどのように動いているかが手に取るように分かると思います。同時に「舞台」は舞台少女たちの「情熱」と「キラめき」によって「生きて」います。それゆえに「情熱」や「きらめき」のより強い方に「光」は集まるのです。彼女たちはこの「舞台」において「情熱」と「きらめき」を奪い合いながら、「トップスタァ」を目指す戦いに挑んでいくのです。

であるから、PV第一弾における真矢と華恋の剣戟シーンも非常に意味深。これも舞台版を見ておかないと単なるバトルシーンでしかないんですが、「情熱」と「きらめき」を奪い合っている、それらのより強い方に「光」が集まることを考慮してみると、剣を振るうたびに「輝き」が迸っている事がよく分かります。さらに付け加えるならば、真矢と華恋という対戦カードは作品における「最強vs最弱」の構図であることも汲むと、これから繰り広げられるだろう展開にも期待が高まりますね。


ここまで公式カップリングにまつわる話と彼女たちの戦いの場である「舞台」について語りました。
それでは改めて、「スタァライトシアター」のジャケットを振り返ってみましょう。

これまでの説明を読んでいただいた後だと「Prologue -Star Divine-」のジャケットともども、キャラクターの配置がカップリングに沿った形で構成されていることにお分かりでしょうか。メインの二人はさて置くにしても、それぞれのカップリングが隣り合う形になっているのと純那とななだけは離れた配置。この配置自体は一貫していて、最初のPVでも同じく彼女たちだけは引っ付かずに離れています。

こういうネタ振りをしておいて、舞台版でも絡みがなかったために非常に驚いたのがPV第二弾での彼女たちなのですが、どういうことになっているのかはその目でお確かめいただければと思います。なお「スタァライトシアター」のジャケットと同じ部屋ですね。大道具部屋なのかどうかは分かりませんが、9人の集まる場所のようです。
さて、もう一つ話題にしたいのは「スタァライトシアター」のジャケットで彼女たちが持っている台本です。これもTVアニメの展開に向けての布石だと思っていいでしょう。

(図10)
図10は「スタァライトシアター」歌詞カード裏面です。ここを見るとどうやらスタァライトという演目の台本であり、同時に「100th」とあります。見えるかどうか分かりませんが、表面であるジャケットを見ていただくと、彼女たちが持つ台本には「聖翔祭」と書いてあります。おそらく文化祭の名称かと思われます。彼女たちは聖翔音楽学園に通う第99期生で、台本自体は第100回聖翔祭に行われる演目のものだと考えられます。ちなみに聖翔音楽学園のモデルは宝塚音楽学校であると推測されますが、同校は2年制であることからも聖翔音楽学園も同様の学年制を採用している可能性は大です。またこの「スタァライト」という戯曲自体は舞台版などからの情報を総合すると、ひかりを除く8人が一年次に演じて失敗した演目である、という事も分かっています。

またこの台本表紙にもばっちりと「塔」が出ている上、このキリンマークを構成する二重の円がズレていたりもするのが非常に気になる所。虚構の「舞台」と現実の「舞台」、どちらにおいても彼女たちは「あなたの望んだその星」を掴まなければならないことが提示されている以上、その道を切り開かなければいけません。さらには10月に舞台版の新作公演が控えていることも考えれば、TVアニメシリーズの展開も自然とそこへ向けたものになりそうですね。


・華恋とひかりと「運命」と

かなりの文量を尽くして書いてきました、本記事ですがこの項がようやく最後です。
最後は主人公である二人についてのニ、三、気になる箇所を検証していきましょう。

愛城華恋(CV:小山百代)&神楽ひかり(CV:三森すずこ
彼女たちはかつての幼馴染で、ひかりは親の都合でイギリスへと引っ越し、王立演劇学校で学んだ経験のある転入生として、華恋の通う聖翔音楽学園へとやってきます。が、先に語った「スタァライト」の出演者は8人。9人目としてやってきたひかりは、当然のごとく俳優育成科2年A組に波乱を呼び起こす一方、元より聖翔音楽学園に通う華恋は持ち前の前向きで明るい性格で学校生活を過ごしていたが8人の中ではミソッカスな扱いで、主役なんかは遠い夢。しかし、ひかりが転入し、彼女と再会することで華恋の運命も大きく動き始める。というのが、作品の始まりの部分。
華恋とひかりについては非常に対照的。言うなれば、「ガラスの仮面」の北島マヤ姫川亜弓のようにかたや天才的な感性、かたや天性の演技力といった演劇ものの王道を行く個性の強さが舞台版でも表現されていましたが、そこに一捻り加わっているのが「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の面白い所。
先ほどまで語ってきた「レヴューオーディション」の行われる「舞台」において、二人の差は明確に現れます。


愛城華恋には「きらめき」と「情熱」が溢れんばかりに眩しく輝き出す。
神楽ひかりにはその「きらめき」と「情熱」が全く、ない。


つまり演技力はひかりの方が勝っているが、「舞台」に愛されているのは華恋であるという事実。舞台版ではひかりが華恋をあからさまに避けており、「レヴュー」に参加させまいと目論んでいたし、華恋だけは他の8人に比べて「執着」が乏しかったのか、「レヴューオーディション」に参加する機会すら与えられていなかったが、「レヴューオーディション」の場に迷い込んで、ひかりが苦しむ姿を見て、彼女は覚醒し、「オーディション」に飛び入りするという展開になるわけですが、その時彼女はこう言い放ちます。
「みんなをスタァライトしちゃいます!」
華恋の強さは「トップスタァ」を選び出す「レヴューオーディション」の「舞台」に対してのクラッシャーとして確立しています。正直、演技力は並である彼女が想いの強さで他を凌駕してしまう。その強さの源がひかりであり幼い頃、彼女と交わした「同じ舞台に立つ」という約束に他ならない。

(図11)

(図12)
PV第一弾の冒頭と最後に映し出される、華恋の立つ舞台とひかりの立つ舞台。「覚えている?あの約束のこと」の問いから「覚えているよ、あの約束のこと」という返答。華恋とひかりを結びつける運命は物語の大きな軸といえるでしょう。先ほどまで語ってきた7人の自らの「輝きを見出す」物語以上に強固なふたりの運命の物語が押し出されているのがお分かりでしょうか。もちろん華恋もひかりも他の7人同様、「輝きを見出す」必要はあるのですが、それにもう一枚レイヤーが掛けられている。7人とひかりの物語を華恋が引っ張りあげる、というのが現在の所、出ている情報を総合した結果、考えられる物語の骨子です。
しかし、気になる文言もあります。それは舞台版パンフレットに載っている華恋とひかりのキャラ紹介文。
まずは華恋。

幼い頃に観たレヴュー「スタァライトに心を奪われ、舞台の道を走り出した舞台少女。
(中略)
過去に『運命』を交換した神楽ひかりと再会した日を境に、謎のレヴューに参加することとなる

次にひかり。

世界最高峰の演劇学校であるイギリスの『王立演劇学校』から編入してきた天性の舞台少女。幼い頃に華恋と共にレヴュー「スタァライトを観劇し、そこで『運命』を交換した。華恋とは幼なじみのようだが、その言動と行動は謎に包まれた部分が多い。何かに駆り立てられたようにレヴューに参加してゆく。

舞台版冒頭で二人の見た劇中劇がレヴュー「スタァライト」で、華恋たちが1年次の時に失敗したとされる演目も「スタァライト」。そして、「スタァライトシアター」のジャケットに写る「スタァライト」の台本。まるで彼女たちの運命が導かれるようにして、「スタァライト」へ吸い寄せられている。これは偶然なのか、神の悪戯なのか。そしてさらに気になるのは「運命を交換した」ということ。これを素直に受け取るのならば、二人の人生の筋道を入れ替えたということにも聞こえる。ひかりの方が詳しい記述になっていることからも、交換した主体が彼女であることは窺えるがその理由が一体何なのか。ここもまだ全容が明らかにはなっていない。しかし、彼女たちが交わした「同じ舞台に立つ」という約束を成り立たせるため、という事ならば合点がいくのも確か。翻せば、ひかりが自分の運命を華恋に与えることで約束が達成できるなら、華恋には約束を達成できない運命が待っていたということにもなりそう。
憶測になってしまうが、これも最初のPVに気になる箇所が存在する。それが以下の図13だ。

どうだろうか。
砕け散った星マークのボタンが元に戻る様子が一瞬だが挿入されている。これが何を意味するのか。ものすごく重要な伏線のようにも思えるが、今の所、言及されている情報はない。強いて言えば、上記の「運命を交換した」という事実が唯一の手掛かりだろう。ボタンが砕けてしまうほどの一大事があったのか、それは華恋に降りかかった本来の運命だったのか。それは現段階では分からない。

なにせよ分かっていることは華恋とひかりは運命を交換して、再び出会ったということ。彼女たちの物語が再び幕を上げるのは夏。TVアニメシリーズでどのような展開が待ち受けているのか、今より大いに期待せずにはいられない。


《終わりに》
いかがだったでしょうか。
思った以上にがっつりと語ってしまいました。かなりネタバレ情報を盛り込んだので、まったく予備知識のない人が読んでしまったら非常に申し訳ないです。
しかしここまで読んでいただけたことだけでも、なによりまず感謝です。
舞台の初演から約半年強、再演からも4ヶ月過ぎた現在、まだ放映には1クール近くありますがCS放送とはいえ舞台版がTVで放映されると知り、居ても立ってもいられずに、何とか放映前に書き上げなければという一心で書きました。とりあえず、今理解してるありったけの情報を詰めたつもりなので、まあ6月に舞台版BDが出たときにでもまた読んでいただけばなと思います。個人的には出すものをぶちまけて、すっきりとした気分ではありますがやりすぎた部分もなきにしもあらずなので問題があれば修正します。悪しからず。
個人的には今年一年はこれがあれば十分楽しめる、楽しみたいと思っている作品なので夏のTVアニメシリーズも心待ちにしているのだけはご理解いただければ、いやほんとにこんなにバズッてるのは自分としても珍しいくらいなので今から終わったときの事を考えると不安でもあるのですがそれはそれとして。
まだ語り足りない点もあるので、それはまたいずれ。まだ放映にも時間がありますし、もう少し何か書けたらと思っています。
ありがとうございました。