音楽鑑賞履歴(2016年7月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
17枚。いろいろやってたのでこれだけ聞けてれば上出来かなと。
結構ポップなものを聞いたなあという印象。
まあ、夏だからですかね。
まだ一昨年分の新規購入分を聞いてるわけですが。
地道に消化していって数は減りつつあります。先は長いですが。
急いでるわけでもないのでマイペースにいきたいと思います。

では以下から、感想です。

7月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:17枚
聴いた時間:366分

タイトル未定タイトル未定
・11年発売企画盤。アニメ「輪るピングドラム」の劇中歌集にして、石橋凌率いるロックバンドARBのカバー曲集。劇中では実現しなかったアイドル「トリプルH」が歌うという心憎い演出。楽曲の方は骨太なロックバンドの歌がアイドルソングっぽくアレンジされているのが最大の聞き所だ。
原曲がメッセージ性の強い歌なので特に言葉が耳に残るわけだが、そのテイストを保ちながら女の子が歌う煌びやかさがアレンジにも加味されていて、独特の輝きを放っているように思う。編曲を担当した橋本由香利の手腕が光っているが、原曲の良さも引き出してて、心地いい裏切りを感じられる好盤かと。
聴いた日:07月01日 アーティスト:トリプルH
MOTHER3+MOTHER3+
・06年発表企画盤。糸井重里原作のゲームシリーズ「MOTHER」の完結作、「MOTHER3」のアレンジ楽曲集。劇中BGMを楽器演奏でアレンジしたミニアルバムで、大貫妙子の歌うテーマソングも収録。劇中バンド、D.C.M.Cの楽曲もばっちりと入っていて、演奏もカッコよく決まっている。
と、同時に全体を通して聞くとこのアルバムそのものが感傷とノスタルジーに覆われていることに気づく。「なにか」の終わりに伴って、流れてくる楽しげな演奏。それが祭りの終わりようにも響いてきて、寂しさが広がる。そこに「思い出のメロディー」も流れてきて、聞く者の涙を誘うのだ。
「MOTHER」シリーズというゲームが音楽と深く結びついているのはファンならば誰もが知る点だろうが、この盤はそのファンに向けられた鎮魂歌のようにも聞こえる。事実、アルバム構成が相当に秀逸。短いながらも有終の美を飾るには見事な幕引きだと頷ける、コンセプチュアルな一枚だろう。
聴いた日:07月01日 アーティスト:ゲーム・ミュージック,大貫妙子
FosburyFosbury
・05年発表3rd。前作、前々作と外気の溌剌とした雰囲気が特徴的だったが、室内的な趣が初めてフィーチャーされ、距離感が一気に密になった感がある一枚。内省的というには少し異なるがナイトミュージック的な繊細に重ねられたシルキーなメロディが耳に残る。エレクトロ寄りの音がそれを増幅させる
フレンチポップスらしい儚さを特徴に持つバンドなので、こういったメランコリーな肌触りを一滴落とした音になると絶妙な寂しさが広がって、味わい深い。同時にソウルのスウィート感とエレクトロのマットな感じが空間の狭さを感じさせない、感情の深さを出しているようにも。音の奥行きを感じさせる佳作
聴いた日:07月02日 アーティスト:Tahiti 80
アクティヴィティー・センターアクティヴィティー・センター
・08年発表4th。制作期間わずか三ヶ月のストレート・アヘッドなR&Rサウンドの一枚。演奏のキレと音抜けの良さではピカイチな印象を持つ。ソフトでメロウな趣のある1stや2ndと比べても、ソリッドなロック色を強く感じる。ギターもラウドな感触が前面に出ていて、ポップな中にも新機軸が。
ザ・ジャム辺りのモッズな感覚をもう少し甘めなポップに仕立てた向きのあるサウンドでソウルなどの影響のあるグッドメロディーが喧しくなりすぎず絶妙の塩梅で聞けるシンプルイズベストな好盤。派手さはないが陽気な青空の下で聞きたい。明治神宮が歌詞に出てくる6が日本人としてはちょっと嬉しい感じ
聴いた日:07月03日 アーティスト:タヒチ80
シングルス・クラブシングルス・クラブ
・10年発表ベスト盤。4thを発表した段階で「バンドの第一期終了」宣言をした彼らの10年間を総括したベスト。1st〜4thまでのシングル曲にEP収録曲とコンピ盤収録曲、新曲がコンパイルされている。彼らの全体像を手っ取り早く把握できる入門編として楽しめる構成。
EP収録曲で人気の高いだろう3や8が収録されているのが心憎い。16の新曲はシンセのクリアな音が印象的なエレクトロポップ。どれを聞いてもポップなメロディが目白押し。全体を通してみるとソフトロック的な軽やかさとエレクトロやソウルのしなやかなリズムがやはり特徴的でポップマニアな趣がある
聴いた日:07月03日 アーティスト:Tahiti 80
ザ・フィーリング(期間限定特別価格)ザ・フィーリング(期間限定特別価格)
・06年発表1st。英国サセックス出身のバンド。ELOや10CCといったようなサウンド面で突出した所はないが、ソングライティングの良さとバンドアンサンブルで勝負するグループ00年代版。安定感のある定食屋みたいな、ずっしりとした王道英国ポップスが心地よく響き渡る、安心の一枚。
Key(ピアノ)が主体でクイーンばりの重厚なコーラスワークが重なるだけで勝負ありといったパワーポップなのが嬉しい。英国特有の斜に構えた感じがないのも王道感を強めているが、垢抜けないスマートな音の分厚さが懐かしくもあり新鮮さもある。70年代辺りの英国ポップスファンにオススメです。
聴いた日:07月04日 アーティスト:ザ・フィーリング
Chemical ChordsChemical Chords
08年発表11th。過去3作(01年以降)のサウンド傾向だった60sオマージュと現代的テクスチャーを織り交ぜた集大成的な作品。ドリーミーかつサイケ、時に日本のグループサウンズのようなファズサウンドに逆回転といったいかにもな質感から段々と00年代的なローファイサウンドに裏返っていく
メビウスの輪のように歴史が繋がって捩れていく感覚は彼ら独特のものであり、聞いていて安心感はある。かつての尖った感覚はない分、ポップミュージック的な聞きやすさは強まった印象。とはいえあまりメジャー感がないのが彼ららしいといえばそうなのだが。メジャーなニッチポップという趣の作品かと。
聴いた日:07月06日 アーティスト:Stereolab
The Essential: Perrey & KingsleyThe Essential: Perrey & Kingsley
88年発売編集盤。60年代に活躍した電子音楽の先駆者、ジャン・リュック・ペリーとガージョン・キングスレイのユニットのベスト盤。ディズニーランドのエレクトリカル・パレードのテーマで有名な「バロック・ホウダウン」のオリジナルが収録されている。初期のシンセサイザー音楽が楽しめる作品。
60年代のドラマや映画音楽、クラシックのカバーや当時流行したヒット曲、ボサ・ノヴァのカバーなどが収録されているがこの一枚に収録されている曲だけでもシンセサイザーという新しい楽器がめまぐるしい進化を辿っている事が窺える。このチープな人工音がレトロ感には惹きつけられる魅力が堪らない。
聴いた日:07月14日 アーティスト:Perrey & Kingsley
Free HandFree Hand
75年発表7th。UKプログレ勢屈指の技巧派集団の代表作の一つ。ケルトなどの民俗音楽や古楽の影響を感じさせながらも、曲芸的といっても過言ではない高度な演奏アンサンブルとコーラスワークで密度の濃い楽曲を繰り出している。それなのにある程度、ポップに聞こえてしまうのは驚異的だ。
プログレ全盛期に発表されたアルバムにも拘らず、最長の曲が6分半弱でコンパクトに纏め上げているのは高度なアンサンブルによる密度の濃い演奏ゆえだろうか。とはいえ、あまりにも技巧的過ぎて、曲展開のメリハリが弱いのが玉に瑕といったところ。一度は聞いてみるべき傑作である。ポップかつ超絶技巧
聴いた日:07月14日 アーティスト:Gentle Giant
In Glass HouseIn Glass House
73年発表5th。ガラスの割れる音から始まる印象的なこのアルバムはバンド史上最高傑作の呼び声も高い。実際、盤を通じての張り詰めた緊張感と演奏のキレと音楽性の高さが見事に噛み合った作品だと思う。超絶技巧複雑怪奇な演奏アンサンブルなのにも関わらず、トラッド的な趣もあるポップ度も高い。
ここまで高度なアンサンブルな一方、コーラスワークも上手くあたかも曲芸を見てるような面持ちにもなる。MIDIで作ったような複雑な曲構成をPCが普及する以前に人力で演奏してたと思うとその凄さがなんとなくお分かりただけるかと思う。そこまでバカテクなのに独りよがりな感じがないのもまた凄い
とはいっても、曲が複雑すぎて高密度な分、曲の情緒的なメリハリと起伏があまりないのはバンドそのもの欠点だともやはり思う。落ち着く暇がないというかタメがないというか。そこが惜しいけど、十二分に聴き応えのある作品。何をやってるか分からないほど複雑だけど、ポップな所を外してない良作。
聴いた日:07月15日 アーティスト:Gentle Giant
CLOUDY CLOUD CALCULATORCLOUDY CLOUD CALCULATOR
97年発表3rd。コーネリアスこと小山田圭吾の元妻(00〜12年)の作品。全体にテクノ・電子音楽から受けた影響をガーリッシュなキッチュさで纏め上げた作品。チープな電子音やレトロなシンセがファンシーかつアブストラクトに響くのはアルバムタイトルのとおりフワフワ浮かぶ雲のような印象。
不定形で曖昧な音の質感で歌われるウィスパーボイスという点では後のやくしまるえつこなどの先駆にも聞こえなくはない。ポップでキッチュでファンシーな電子音楽。11のカバーもそういったモンド感を意識してのことだろう。ロックの素養はないがこのふっと消えそうな軽やかさが悪くない一枚だ。
聴いた日:07月16日 アーティスト:嶺川貴子
ChicagoChicago
・70年発表2nd。前作(シカゴ・トランジット・オーソリティ)から単純に名義を「シカゴ」に変えての最初の一枚。ブルージーなアクの強さと粗野っぽさが薄れ、よりアンサンブルがポップな方向に洗練された。よりホーン・セクションをフィーチャーした点ではブラス・ロックの開闢を宣言している。
一番、進化を遂げたのはポップセンスだろう。メッセージ性の強い歌詞は前作から引き継がれているが、それ以上にキャッチーなサウンドが目立ち、ヒット性の高い曲が並ぶ。と、同時に19以降の交響楽的組曲形式なども取り入れており、バンドにホーンセクションがいる強みを押し出した作りに感じられる。
惜しむらくは音がモコモコした質感なのだが02年版のリマスターでそこそこ改善はされている。またアルバムの前半はフラワームーブメントの残り香が匂うサイケでハッピーなノリが結構楽しくもあるか。バンドの代表曲14はわりと前作のサウンドの発展形な趣でこの盤のシリアスな面を一手に背負っている
ともあれ、前作と比べても格段の進化を見せた作品であり、ブレイクを果たした一枚だろう、デビューから70年代末まではアルバムアーティストとして評価を高めることになるバンドの出世作だといえる。バンドの煮えたぎるマグマを燃料にして、走り出す車の輝きが鈍くも光る、代表作といえる一枚だ。
聴いた日:07月18日 アーティスト:Chicago
EvolutionEvolution
・79年発表5th。ブレイク作と大ヒット作の間に挟まれたS.ペリー加入後第2作でドラムのスティーヴ・スミスも加入した。サンフランシスコの熱気と砂埃、神秘性を感じさせる作品。この垢抜けない感じの音がまた味わい深くもある。ブギーナンバーが多く、ライヴ映えしそうな曲が立ち並ぶ。
前任ドラマーのエインズレー・ダンバーの重さに比べるとS.スミスの軽妙かつスクエアーなプレイはアクが抜けた感じがある。これも全米300万枚売れているが、間に挟まれているのとキャッチーな曲があまりないのが地味な印象を与えるが聞けば味わいのあるスルメ盤で決して悪くはない。
聴いた日:07月20日 アーティスト:JOURNEY
プロフィールプロフィール
・59年録音盤。後にブルーノートでA&Rマンなど重要な役割を果たすピアニストの初リーダー作。トリオ編成ながら、アクのない洗練された端正なプレイが非常に魅力的。世間がイメージする「ジャズ」を屈託なくストレートに押し出している。もちろんジャズファンも楽しめる一枚。
小気味よくスウィングし、スムースな演奏でさりげなく聞くものの懐に入ってくる。主菜や主食にはなれないけど、小腹が空いた時に入れるコーヒーと茶菓子のような味わい深くスタイリッシュなピアノ。なにかと持っていると便利でジャズを聴きたい時には鈍く輝く渋い一作だ。ジワっと旨い。
聴いた日:07月21日 アーティスト:デューク・ピアソン
Dwellers of a sand castleDwellers of a sand castle
96年発表インディーズ2nd。1万5千枚限定でリリースされた前作の再録音&普及盤。V系らしい耽美な世界観にマッチしたプログレ風味の演奏がかなり目を引く、というより独特な印象を受ける。ポップさもありながらファンタジックなサウンドを重視しているのは音楽性を重視している姿勢が見えて好感
プログレっぽい曲展開の中にファンキーな味付けがさりげなく混じってきたり、エスニックな響きもあったり、オリエンタルな印象も持ってたりでかなり無国籍だが神秘的な趣が通底している。そういった音楽性ごった煮の中でポップな音に纏めているバランス感覚は稀有なものだろう。面白い一枚だ。
聴いた日:07月24日 アーティスト:La’cryma Christi
Sculpture of TimeSculpture of Time
97年発表1st。メジャーデビュー盤にして名盤。インディーズの音源でもV系らしい耽美かつ幻想的な世界をプログレ風味で表現していたがさらに磨きがかかったという印象を感じる作品。バンドの演奏力も相当に高いのがよくわかり、複雑に絡み合いながらも技巧に走りすぎていないのは凄い。
ノヴェラ直系の耽溺型メルヘンプログレハードではあるが、見事に我が物と昇華し、ダンスミュージックのようなファンキーさやロカビリーなどを隠し味にし、ポップな味付けをしているのは中々出来るものではない。プログレな神秘性と複雑さを残しながら、ポップ性も外していない、驚くべき傑作かと。
聴いた日:07月28日 アーティスト:La’cryma Christi
LhasaLhasa
98年発表2nd。プログレっぽい幻想や耽美さが薄まり、よりメジャーなサウンドプロダクションになっている。陰のあった前作から一気に明快な音に様変わりしているが、複雑な構成と演奏力は健在であり、密度は高い。一曲に圧縮されたメロディー感覚には時代的なものも感じれるか。
バンドサウンドの下敷きにおかれていたプログレの影響は弱くなった一方でNWやサイケなどブリティッシュロックからの影響が色濃くなった。彼らのポップ感覚もその辺りが要因なのだろうが、メロディの過密さがアルバム全体を通して聞くと胃もたれする程の濃度なのでそこだけはアンバランスな一枚。
聴いた日:07月31日 アーティスト:La’cryma Christi

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