音楽鑑賞履歴(2016年3月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
16枚。案外聞いてるな。
いや今月、自宅のお引越し等々があって、いろいろバタバタしてたので。
下手すりゃ10枚切るかなあと思ってたわけです。
3月はギターがメインに鳴り響くものをずっと聞いていたようにも。
新規が少し押さえ気味になったのは仕方ないかな。
では以下から、感想です。

3月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:16枚
聴いた時間:298分

Powers of TenPowers of Ten
92年発表1st。夭折した天才ギタリストの初作。なおこのアルバムではプロデュース、アレンジ演奏作曲全て一人で行っている。ギタリストのアルバムであるにもかかわらず、ギターが大暴れする曲より自身の作曲能力の高さを魅せる楽曲が目立つ。5,6などは最たるものでピアノの演奏がメイン。
一方でギターの腕前も抜群でホールズワースに影響を受けた超高速レガートなどのテクニシャンぶりも随所に見受けられるが、コンポーザーとプレイヤーの資質がどちらも拮抗する位に高い為、アルバム構成的にどっちつかずになってるのは痛い所。嬉しい悩みといえばそうなのだがインパンクトは流石に弱い。
しかし収められている内容は才能の塊でもある。ギターメインにした曲においてはその演奏表現力に舌を巻き、作曲者としてもギタリストだけに限定されない領域で能力の高さを見せつけている。どちらを取っても、活躍できるだけの天賦の才を併せ持っていただけに病による寡作と夭折が惜しまれる一枚。
聴いた日:03月02日 アーティスト:Shawn Lane
Flying in a Blue DreamFlying in a Blue Dream
89年発表3rd。全18曲65分もの大作になったアルバム。インストのみならずVo曲もなんと6曲も入っていて、バラエティに富んだ内容となっている。前作までがギタリストとしてのサトリアーニを押し出したものになっていたが、この盤においては「ミュージシャン」のサトリアーニを標榜している。
HR/HM色とデジタル色が強かった過去2枚と比べても、フィジカルさが強調されていて、それゆえのVo曲が収録されているように思う。従来のテクニカルなプレイ、カントリー、エスニック、ディキシージャズ、ファンキー、オーソドックスなロックまで様々な音楽を幅広くフォローしているのも特徴だ。
大ヒット作の後に出た盤だが、現在にまで及ぶ彼の長いキャリアの可能性を濃縮したような一枚となっている。そういう点ではこの盤こそ、彼の真価が発揮された作品でもあり、本当の意味で出発点にもなったアルバムかもしれない。歌については割と器用に歌えるのだなというのが少し意外。十分な聞き応え有
聴いた日:03月03日 アーティスト:Satriani Joe
Friday NightFriday Night
99年発表2nd。80's洋楽ポップスへの敬愛とオマージュをそここに感じられる、とびきりポップな一枚。ソウル/ディスコフレーバーが散りばめられた華やかさ満載の楽曲は聞くだけでも十分に楽しい。AORなどシティミュージックのスタイリッシュさもちらつかせながら煌びやかに弾ける一枚。
とことんサウンドはオマージュで、引用先もちらほらと有名どころが思い浮かべられるが、あざとさを感じないのは彼らが自身のサウンドに昇華できているからに他ならないと思う。奇を衒わず、大好きな音楽を好きで演奏しているのがこの盤の気持ち良さなのだろう。その楽しさが伝わってくる良作かと。
聴いた日:03月05日 アーティスト:ノーナ・リーブス
Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971Love Power Peace Live At The Olympia Paris 1971
92年発表ライヴ盤。71年のパリ・オランピア劇場での公演を収録した作品。とにかくバックの演奏陣によるキレキレなプレイに唖然とする。熱に浮かされたテンションの高さはJBを圧倒しようかというほどに勢いに満ちているのが心強くもある。音だけでも会場の熱気とグルーヴの狂乱が伝わってくる。
とはいえ、JBの指向するライヴの形はあくまで「ショー」であって、「ライヴ」ではないのだろうなとも感じた。バンド全体が狂騒的な雰囲気に呑まれてしまう事に不快感を示したのが恐らくは未発表の遠因なのだろう。JBはJBという人物をバンドのパーツとして埋め込みたくなかったのだ。
JBという個性を光らせるためにバンドは存在していて、バンドはJBより前に出てはいけない。この盤はその前提が崩れているように思う。もちろん「ライヴ」ならではの熱気は素晴らしいものだがそれは現代的な観点によるものだろう。JBの存在感が突出してないのがこの盤の弱点だ。良盤だが惜しい一枚
聴いた日:03月07日 アーティスト:James Brown
トロピカルダンディー(紙ジャケット仕様)トロピカルダンディー(紙ジャケット仕様)
・75年発表2nd。ホームメイドな初作を経て、次に送り出してきたのが自身の音楽趣味を全面に押し出してきた作品。サウンドはタイトルの通り南国趣味な色合いが濃く、とてもカラフルなサウンドワールドミュージックのごった煮ミュージックを40年前に出しているのは流石に時代が早すぎたと思う。
とはいえ、ロックな8ビートに頼らない横ユレの伸びやかな音は時がゆっくり進むかのような緩やかな雰囲気を出して心地よくなれる。ワールドミュージックをチャンポンしてるのに音楽として成立しているのが日本的でもあり。不思議とリラックスしてまったり聞けるアルバムだと思います。
聴いた日:03月08日 アーティスト:細野晴臣
泰安洋行(紙ジャケット仕様)泰安洋行(紙ジャケット仕様)
・76年発表3rd。前作とほぼ同時期に発売された大瀧詠一の「ナイアガラムーン」の向こうを張った、セカンドライン主体のごった煮トロピカルミュージック。チャンキーサウンドとも名付けられた音楽は温泉の湯気のようにゆらゆらとオールドタイムなメロディにいざなわれ夢心地を味わえる。
ノスタルジックでありつつも、タイムレスな響きを持っていて、一種の空間で時を忘れたように聞ける。後半、後のキャリアで重要になっていくシンセの音も顔を出しており、モンドな音世界に彩りを加えているのにも注目。このエキゾチックさがYMOへの布石になっているの抜きしても桃源郷的な名盤かと。
聴いた日:03月09日 アーティスト:細野晴臣
Hard Day's Night (Dig)Hard Day's Night (Dig)
・64年発表3rd。A面7曲が主演映画のサントラでB面が新曲という形の一枚。この盤で初めて全編オリジナル曲構成になった。シングル曲になった楽曲の存在感が際立っているが、興味深いのはそれ以外の収録曲のように思う。前作のビート感の強さを押し出さずにメロディを際立たせているように感じた
都市的な響きというよりは、垢抜けない牧歌的な草木が薫るような柔らかな土臭さをかとなく感じる。フォーキーというにはちょっと爽やかな印象もあって、サウンドの清新さに結びついているようにも思う。まだまだ窮屈な感じではなく、伸びやかなサウンドが聴ける作品。演奏もはつらつとしている。
聴いた日:03月09日 アーティスト:Beatles
ザ・ミラクルザ・ミラクル
・89年発表13th。彼らの80年代総決算的な一枚。今聞くとシンセのシークエンス音やはHI-FIな音が時代的なものを感じさせてしまうが、再びバンドとして一丸になって取り組んでいることが窺える。70年代の重厚さを求めてしまうと厳しいが、楽曲自体は幕の内弁当的なバラエティの豊かさ。
賛否の合ったブラコン的な音作り(5,9)、80年代的なカジュアルポップス、クイーンらしい華やかなハードロックチューン、これらがいがみ合わず一つの盤として調和している。解散危機など紆余曲折の合った10年だが、そこで実った果実はどれも一定の、あるいはクイーンの音楽として成立している。
元々さまざまな音楽の素養があったバンドだが、この多様性をバンドのサウンドとして落とし込む事で更なる飛躍をするはず「だった」。しかしフレディの中の病魔は既に巣食いだしており、残された命を燃やし尽くすかのように間髪入れず次作の制作へと向かって行く。久々の会心作ゆえにいろいろ悔やまれる
聴いた日:03月12日 アーティスト:クイーン
崩壊アンプリファー崩壊アンプリファー
・02年発表1stミニアルバム(03年再発)。初公式音源。USパンクとUKロックを掛け合わせた音に、フォークっぽい歌詞が乗る日本のロックとして、当時それまでにない肌触りの演奏を送り出していたのが返って、メジャーシーンへのカウンターになったように思う。バンド初の日本語音源でもある。
もちろん時代的なタイミングも合ったんだろうけど、彼らよりも先に尖った音を送り出していた日本のバンド群と比べても、よりメジャーな音を出していた印象を持つ。洋楽志向の音を日本風に落とし込み、受け入れられたのがバンドにとっても、シーンにとってもエポックメイキングだったのだろう。
聴いた日:03月27日 アーティスト:ASIAN KUNG-FU GENERATION
君繋ファイブエム君繋ファイブエム
・03年発表1st。メジャー第一弾。歌詞にナンバーガールの影響が濃くなり、WeezerやUKギターロックのサウンドに日本特有の幽玄さが乗っかった初作にして初期の傑作となった。序盤三曲の流れは今聞いても絶妙な構成だと思う反面、興味深いのは中盤の楽曲群だ。後の彼らの姿が見え隠れする。
その醒めたサウンドは彼らのポップサイドの曲と一線を画しており、世紀末頃のオルタナティヴなニュアンスが支配しているように思うし、シリアスな一面もあることを窺わせている。対して代表曲のひとつである11は初期サウンドの集大成。この曲の完成度を持って、次なる段階へと歩みを進めたのだった。
聴いた日:03月27日 アーティスト:ASIAN KUNG-FU GENERATION
In the Jungle GrooveIn the Jungle Groove
86年発表編集盤。JBのファンキー成分を厳選して抽出したアルバム。JBファンクの美味しい部分しか収録されていないので不味いわけがなく、ファンクの入門編としても推奨できる名編集盤だといえる。後年サンプリングネタとしても重宝されている一枚であり、そのリズムの切れは思わず踊りたくなる程
とはいえ、JBのファンクは他のグループと比べても、硬派というか独特の硬さが特徴でもあるので、そのストイックかつファンキーな演奏が引き起こす高揚感はえげつない魅力があるがクセが強いのは否めないか。ただハマればこの上なく素晴らしい内容であり、一度聞いてみても損は全くない極上盤。
聴いた日:03月27日 アーティスト:James Brown
AnglesAngles
・11年発表4th。前作のハード路線から一転して、変化球で攻めて来た作品。従来のツインリードの絡みに80sテイスト濃厚な装飾が施されており、ニューウェーブな趣が出ている。また音が綿密に作りこまれており、今回改めて聞いて、自分が聞こえていなかった音の多さに驚いたりもした。
元々、甘味料的なチープな演奏をコロンブスの卵的にバンドサウンドの要としていたのもあり、そこまでスタイルに固執するバンドでもないとは感じる。個人的には幾分かカラフルになった今作は割りと好き。色がついた分の陰影も濃くなって、The Carsのようなネオンライトポップが楽しい一枚。
聴いた日:03月28日 アーティスト:Strokes
Beatles for SaleBeatles for Sale
・64年発表4th。前作までの弾けたポップ感覚は鳴りを潜め、素朴で穏やかな印象が全体を支配する作品。クリスマスシーズンに先駆けてのリリースなのもある一方、多忙を極めたスケジュールのため、再びカバー曲が半数を占める構成になっている。前作と次作の派手さの一方で地味に光る。
レイドバックしたというより、英国の地方都市であるリヴァプールで育った若者たちがふと素に返って、好きなロックンロールとフォーキーなメロディをおもむろに奏でてるという印象を感じる。そんなリラックスした雰囲気が全体に漂っていて、好ましく思える。エアポケット的な作品だが滋味深い佳作。
余談だが、この盤のフォーキーな趣は後の同郷出身バンド、The Coralにも感じられる雰囲気なのでリヴァプールシーンの土台となっている素養にも思えるのが興味深くありますね。
聴いた日:03月28日 アーティスト:Beatles
Rage Against the MachineRage Against the Machine
・92年発表1st。ラップ×メタルを確立したアルバムの一つ(同時代的にRHCP辺りもこの路線をやってた)。ただ音楽性として突き詰めたのは彼らが最初だと思う。メタル、というよりハードロックの重みとラップとそのルーツである黒人音楽のグルーヴが渾然一体になっているサウンドがカッコいい。
その音楽性はよくツェッペリンと比較されるらしく、確かにバンドから発せられる強烈なウネりはツェッペリンのそれを髣髴とさせる。サウンドの下敷きがブルースからヒップホップへと成り代わっているのが最大の特徴ではあるか。より直接的な怒りを歌ってるのはその辺りが影響してる気がする。
ザック・デ・ラ・ロッチャやトム・モレロの個性が強烈なのはもちろん、リズム隊の二人も同等に個性が強いと思う。というより、この4人だからこそ生まれているグルーヴなのも先達の姿を彷彿させるが繰り出される音はより乾いたものであり、差異でもある。時代を象徴する名盤。
余談だが冒頭二曲はタモリ倶楽部空耳アワーで採用された曲。1が「パン!パン!夜食のパン!」2が「ナゲット割って父ちゃん(×数回)どうすんだい!」どちらも空耳アワード受賞作の逸品です。そういう意味でも名盤w
聴いた日:03月28日 アーティスト:Rage Against the Machine
Low Life (Coll)Low Life (Coll)
・85年発表3rd。開花の一枚。前身のジョイ・ディヴィジョンのメランコリックさを受け継ぎながらも、ダークさは薄れ、エレクトロ色が強まって、一気にバンドの個性を確立させた。この享楽的なダンスビートにロックバンドの演奏が重なる曖昧さ加減がニューオーダーというバンドの特性だろう。
テクノに寄るのでもなく、ロックに傾くわけでもない。極めてダンサブルなポップである一方、独特の翳りもある。この感覚が非常にニューウェーブらしいともいえるが、そのどっちつかなさが息の長い活動を保つ所以かと思う。この盤においてはそんな彼ららしさが分かりやすく出ている傑作だ。
聴いた日:03月30日 アーティスト:New Order
The ExtremistThe Extremist
92年発表4th。リズム隊をデヴィッド・リー・ロスバンドで活躍したビソネット兄弟にほぼ固定して作られた一枚。前作と本作で初期にあったデジタル色が払拭されて、よりロック色の濃いサウンドへと変化した。土臭いブルース基調のハードロックインストがこの盤のメインサウンド。かとなく砂埃が舞う
後の作品との比較になってしまうが、この時点ではサトリアーニの奏でるフレーズはまだまだテクニカルに寄っており、前々作と印象が被ってしまう箇所が散見される。聴き所も随所にあるが楽曲のキャッチーさに少し欠けるのが惜しい所ではある。全体に過渡期の雰囲気が強く残る盤か。出来自体は悪くない。
聴いた日:03月31日 アーティスト:Joe Satriani

わたしの音楽メーター
音楽メーター