音楽鑑賞履歴(2015年12月)

えー、新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします
さて、月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。


現時点の状況経過といたしまして、

2014年購入の未聴CD:残り141枚
2015年購入の未聴CD:203枚
計:344枚


となっております。
さあ、積みCDがどれだけ切り崩せるか。
今年発売のCDも色々ある中、不安でいっぱいなところですがw
地道に聞いていきたいと思います。
生存確認用の定期記事ですので、
楽しみに待っておられる方がいるかどうかははなはだ疑問ですが、
どうぞよしなに。


では以下から、昨年12月の感想です。



12月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:16枚
聴いた時間:582分

Turning PointTurning Point
69年録音盤。BN第二作。ミッド〜スローテンポにグッと腰を落として、じっくりコトコトグルーヴを煮詰めた感のある演奏。じわじわとヘソのあたりにクルのが快感になってくると、ハマりだした証拠かと。プレイにスピーディさを求めると苦しいが、じっくりと聞き込むほどに味わい深くなる一枚だ。
低温ながらもぐつぐつとグルーヴは蠢いて、ファンキーさが徐々に高まる感じでダンサブルというよりはジャズのスピリチュアルな高揚感、と言った方が正しいだろうか。4のビートルズカバーも中々珍しい演奏。むしろここまでファンキーにできるのかという驚きも。粘り気と持続性の強い盤。噛めば味が出る
聴いた日:12月04日 アーティスト:Lonnie Smith
ダークネス・ダークネスダークネス・ダークネス
71年発表5th。ソウル界、ひいては6〜70年代黒人音楽その人ありと言われる位の名ギタリストの代表作。全編インストの全10曲中8曲はカバー。歌心溢れるギタートーンと天衣無縫なソロプレイの両方が聞ける珠玉の一枚。どっぷりとメロディアスでファンキーなギターサウンドに浸れる。
脇を固めるメンツも凄まじい。演奏メンバーにチャック・レイニージョー・サンプルハーヴィー・メイソンダニー・ハサウェイ、ホーンアレンジにニック・デカロ、そしてプロデューサーは後にフュージョン系やYMOの米進出に一躍買ったトミー・リピューマという布陣で今見ると錚々たる人々だ。
そんな集まりが全員、最盛期のプレイをしており、どれもこれも聞けば聞くほど、堪らない演奏が流れてきて、時間があっと言う間に過ぎ去ってしまうほど気持ちいい内容。特に4のソロ回しは必聴。しかし、技術に拘泥せず、楽曲の良さをメンバーの演奏力で最大限に引き出しているのがこの盤の一番の魅力だ
聴いた日:12月06日 アーティスト:フィル・アップチャーチ
祭典の日(奇跡のライヴ)スタンダード・エディション(2CD+BD)祭典の日(奇跡のライヴ)スタンダード・エディション(2CD+BD)
・12年発表ライヴ盤。07年の一夜限りの再結成ライヴを収録した作品。ドラムにはボンゾの息子、ジェイソンが参加。さすがに往年の熱量は感じられないが、枯れた中にもこれぞツェッペリンというべきグルーヴが曲を重ねるごとに甦っていく経過が実録された貴重な記録かと思う。
ツェッペリンの曲自体はトラッドやブルースが基調となっているので全盛期の頃にはなかった余裕と老成した味わい深さが色濃く出ているように感じる。身は老いれども未だ心は衰えずといった趣。いろいろラフな部分はあるけど、年を考えると恐ろしい程にエネルギッシュ。ツェッペリンツェッペリンだった
聴いた日:12月07日 アーティスト:レッド・ツェッペリン
The Allman Brothers BandThe Allman Brothers Band
・69年発表1st。南部(スワンプ)ロックの代表格。ツインドラム&ツインギターという構成の特異性はあれど、粗野でラフなイメージとは裏腹にジャズやブルースなどに影響を受けたサウンドで洗練されている。とはいえ、演奏のダイナミックさやドライヴ感はロックそのものだろう。
ライヴバンドとして定評のあるバンドだがスタジオ盤はスタジオ盤で彼らのソングライティングセンスの良さが全面に出ており、短いながらも聞き応えのある内容だ。とはいえ派手さはなく土臭さの感じる演奏なので地味は地味。メロディの豊穣さ、良さは突出しており、噛めば噛むほど付き合いの長くなる一枚
聴いた日:12月08日 アーティスト:Allman Brothers
RisingRising
・76年発表2nd。本作からコージー・パウエルが加入し、いわゆる「三頭政治」体制となり、バンドは飛躍していく。そういう点では実質的な1stとも言えそう。様式美サウンドの開祖的な作品でもあり、そのクラシカルなメロディとコージーの叩くドラムの重厚感が今聞くと古風ながらも王道を行く作り
ディープ・パープルの粗野な感じが薄れ、よりノーブルで洗練された楽曲にツーバスの重たいビートが重なり、ディオの歌声がそこへ重なれば、言うことはないだろう。演奏のスピード感などはクラシックカーにでも乗っているような趣を今となっては感じてしまうけれど、それでも格別な雰囲気がそこにある。
ジャケットともども、黒魔術的、あるいはファンタジックな趣が演奏、歌詞などにも反映されており、コンセプトがしっかりと作られているのも様式美の元祖として語れる部分だろう。全編に渡って良いが5、6の流れはこれぞHR/HMというものであるし、どちらも聞き応え満点。この雰囲気が良いのです。
聴いた日:12月09日 アーティスト:Rainbow
危機危機
・72年発表5th。黄金期メンバーが一丸となって、作り出されたバンドの金字塔的作品。各メンバーの演奏を一つ一つとって聞いてみると、かなり自由にプレイしているようなのに、なんでか一つに調和しているのが面白い。ブルーフォードのドラムなんか、こんなんでよくリズムキープできるなというほど
技巧派なメンツが自由好き勝手に演奏する中で、わりと安定感をキープしてるのは実はクリス・スクワイアで、そういう所でバランス保っていたんだなあという印象を改めて持った。大暴走、崩壊一歩手前の段階で奇跡的な構築美をギリギリの緊張感の中で見事成立してしまっているのがバンドの全盛期らしい。
緑のグラデーションのジャケットに象徴されるように、色の深いところから浅いところへと向かうような独特の雰囲気と緊張がアルバム全体を支配していて、この盤でしか感じられない物となっている。なにもかものタイミングがぴったりと合致したような作品だろうと思う。プログレを知りたいなら必聴の一枚
聴いた日:12月10日 アーティスト:イエス
Kind of MagicKind of Magic
・86年発表12th。リリース前年のライヴエイドでのライヴパフォーマンスで結束を再び強めた彼らが送り出した作品。映画「ハイランダー」などに使用された曲が多数あり、サントラ的側面も強い。事実、バラエティに富んだ楽曲集という趣が強く、アルバムとしてまとまりはないが一曲ごとの質は高い。
前半はシングル曲とミッドテンポなバラード系が続く一方、後半はHRな趣と80年代的デジタルサウンドが合わさったハードな曲が並ぶ。シンセが使用or強調された曲は全般に時代的なクリーンさが目立つ。クイーンの王道サウンドにそれが重なり、新たな趣を見せた曲が目を引く。8などはそれの顕著な例
過去2作で繰り広げられた、失敗と停滞が修正されて、再び前進を始めたという点では曇った景色が晴れる印象を受ける一枚だろう。本来の音と時流の音の共存を目指した中道的な路線ではあるが、それまでちらついていた解散という文字を拭い去る、意義ある作品となった。地味に9は隠れ名曲の風格が漂う。
聴いた日:12月10日 アーティスト:Queen
FoxtrotFoxtrot
・72年発表4th。彼らの才気が一気に爆発した一枚。クリムゾンから譲り受けたメロトロンを使用し、独特の演劇性をより強めた。むしろゲイブリエルの個性が開花した作品でもあるかと。長尺曲での彼のボーカライズは水を得た魚のように非常に生き生きとしているし演奏がそれをドラマティックに支える
演奏も前作に増して、アンサンブルに磨きがかかりウェットかつ毒気のあるファンタジックな楽曲を難なく演奏している。ゲイブリエルのVoと合わさって一つの個性が完成されており、バンドとしては一つの極致を迎えたような盤でもある。1や6などの代表曲もさることながら小品の5や2もいい味出してる
聴いた日:12月11日 アーティスト:Genesis
Alligator BoogalooAlligator Boogaloo
67年録音盤。ファンキージャズ路線からソウル・ジャズへと転身したとされる一枚。ジョージ・ベンソンロニー・スミスが参加しており、またクラリネットが入ってるのも割と珍しいメンバー構成。ソウルミュージックのようにメロディアスにブロウするコマーシャル性の高い演奏が聴きやすくある。
ジャズはスウィングだけど、ソウル・ジャズやファンクなどはグルーヴィと形容されると思うが、この盤もグルーヴィさが顕著だ。なにかしらのウネリが高揚感を強めていく。先にあげたメンバーの好演もあり、ルー・ドナルドソン本人においても新境地を開拓した作品だろう。ジャズの初心者にもお勧め。
聴いた日:12月11日 アーティスト:Lou Donaldson
LET’S ONDO AGAIN 20th Anniversary EditionLET’S ONDO AGAIN 20th Anniversary Edition
・78年発表ナイアガラレコード店じまい盤。主催者の大瀧詠一曰く、オリジナル盤は500枚しか売れなかったらしい音頭&ノベルティソング集。破れかぶれになった反動であっけらかんとした開き直りがそここに感じられる。デビュー前のラッツ&スターや当時人気だった漫才コンビ星セント・ルイスも参加
内容の方は第一期ナイアガラ史上最も製作費をかけて、遊び倒したパロディ&音頭のオンパレード。なんでもかんでも音頭に馴染んでしまう辺りに日本の音楽事情の深淵を感じたり、6、7のピンクレディーマッシュアップは舌を巻くほど技巧的だったり、見るべき所が山ほどある。
けど、根底に通じるのは終わっちまうからお祭り騒ぎだっていう悲しさや寂しさを笑い飛ばす感覚だと思う。「これでおしまい」っていうしんみりさは間違いなくあるけど。それ以上に笑いの力を感じさせてくれる一枚。ここで一区切りをした大滝詠一は3年後、日本史上に残るモンスターアルバムを送り出す。
聴いた日:12月12日 アーティスト:ナイアガラ・フォーリン・スターズ
ジャックスの世界ジャックスの世界
・68年発表1st。グループサウンズの突然変異体にして、日本のアングラ/サブカル系ロックの開祖的な一枚。ブルースではなくジャズを基調にしたフリーキーかつ無機調な音楽は呪術的な魅力を放っている。そこにグループサウンズ的な60年代歌謡曲の香りも漂い、独特な空気を醸し出している。
それは早川義夫の観念的ながらもリリカルな歌詞と怨念にも似たような、感情に迫った歌声に負う部分はかなり大きいが、一方でジャジーかつシリアスな演奏を繰り広げるたメンバーの実力の高さも大いに貢献しているかと思われる。9,10辺りはゴスペルのような趣も。ふと聞き返したくなる時のある名盤。
聴いた日:12月16日 アーティスト:ジャックス
ジャックスの奇蹟ジャックスの奇蹟
・69年発表2nd。メンバー脱退&加入を経た最終作。前作でバンドのイニシアチヴを取っていた早川義夫が一方後退し(3、7〜11)、他メンバーの楽曲が入り混じった構成。早川が歌ってない曲は加入したつのだひろがVoを取っている。彼のキャリアにおいて歌を吹き込んだのはおそらくこの盤が最初
楽曲の雰囲気はより明朗になった感じがあり、つのだひろVo曲においてはソウルフルな歌唱も相俟って、ロック色が強くなった。フルートやサックスも導入されたので音も厚みを増しているが、特筆すべきは早川義夫の参加曲だろう。よりセンシティヴ、よりエモーショナルな息苦しさを伝える叫びが聞こえる
歌詞の内容とかを鑑みるに自我崩壊一歩手前位にまで切羽詰まってた印象も受けるがこの後、ソロを発表後に長い沈黙に入ってしまうのだから、致し方ないか。分かりやすくなった反面、失った代償も大きかった点では1stより劣るが佳作であり、それなりに楽しめる一枚ではあると思う。
聴いた日:12月16日 アーティスト:ジャックス,JACKS
ニューヨークの秋ニューヨークの秋
54年録音盤。タル・ファーロウ絶頂期の録音。趣は異なれど、卓越したテクニックを惜しげもなく披露してみせる高速ギタープレイは後年のロック/フュージョン界隈の速弾きギタリストなどの先駆ともいえる。チコ・ハミルトン、レイ・ブラウンなどを従え、オーソドックスなジャズの中での疾走感が凄い。
もちろんスローな演奏もあり、そちらも情感たっぷりに味わい深い演奏でなかなかに乙なもの。黒人的な粘っこさがない分、あっさりとしているが豊かなギタートーンが楽しめる。圧巻は8。フルスロットルの超高速フレーズが駆け巡る感覚はこの盤でしか体験できない快感だと思います。
聴いた日:12月21日 アーティスト:タル・ファーロウ
パララックスパララックス
・83年発表2nd。この時代に全3曲、うち一曲は20分超の大曲主義でかつサウンドがクリムゾンフォロワーという剛毅な内容の一枚。太陽と戦慄〜RED期の音をベースにより硬質で鋭角になった音は、オリジナリティを感じさせる演奏。小劇場で繰り広げられるシリアスな演劇がイメージに浮かんでくる
圧巻というか、この盤のハイライトは3の大曲、「組曲『乱』」だ。クリムゾンの暴力的なサウンドにかとなく和風な陰惨さ、ジェネシス由来と思われる叙情性が入り混じり、聞く者の息を詰まらせる。何度も繰り返して聞き返す作品ではないが、込められた気迫は凄まじく次作が届けられるまで十年超を要した
聴いた日:12月27日 アーティスト:美狂乱
アルミニウム・チューンズアルミニウム・チューンズ
98年発表編集盤。Switched Onの第三弾。95年以降のEP音源などを詰め込んだ二枚組。サウンド的にはハンマービートからブラジル音楽を通過して、モンド系ギターポップに移り変わっていく様が聴ける。このシリーズの特徴ながら、アルバムよりもっと自由度の高い実験しているのが印象的。
一曲ごとにフィーチャーしてるものが違うように聞こえるし、メインで鳴り響かせるノイズなど曲の中で好き勝手にやってる感じが見受けられる。最大の利き所はD2-1のハービー・マンとの共演のフルバージョン。ハービーのフルートとバンドの特色である浮遊感のあるサウンドが絡み合い絶品な一曲。
聴いた日:12月29日 アーティスト:ステレオラブ
Is This ItIs This It
・01年発表1st。NYから彗星の如くやってきた、21世紀型ロックンロールの産声。ロック(HR/HMではなく)の界隈で長らく廃れてたツインリードを復活させたのも彼らのエポックメイキングな点ではあるが、演奏・曲構成などは徹底して方法論に基づく「最大公約数的デザイン」が施されている。
1に代表されるような極限にまで削ぎ落とされたシンプル極まりない演奏は、無表情というか無感情というかロックというテンプレートに当てはめただけという印象を受ける。だがそんな大量生産的な音を奏でる事で空虚で遠い感覚が沸き上がってきて、宇宙に放り出されたようなSF的な響きに惹きつけられる
アンディ・ウォーホルのキャンベル缶のようにただただ形式的な演奏をなぞっただけというアプローチがポップアート的でもあり、コロンブスの卵的な逆転の発想だった。しかしその中身の空疎さにどう肉付けしていくのかというのが、その後のバンド最大のテーマにもなっていったように感じる。
それだけ本作の完成度が際立っているのだが反面、バンドの特質が空虚なだけあって、どんな音楽やっても彼ららしくなるのは興味深くもある。粗削りながらも名盤。ちなみにアルバムジャケットのデザインはは本国で発売禁止になり、現在は別ジャケットに差し替えられています。中身はほぼ一緒だけども。
聴いた日:12月30日 アーティスト:Strokes

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