極上同窓会#07

アニメ『極上生徒会』、勝手に10周年企画。
10年前の放映日に合わせて、1話ずつ振り返ってます。
今回は第7話。


脚本:黒田洋介/絵コンテ・演出:小林孝嗣/作画監督:氏家嘉宏、北村友幸/総作画監督:川田剛


今回のエピソードはピックアップするキャラを中心に動くお話。

というわけで。
会計の市川まゆら(CV:沢城みゆき)です。
2話の↓

と叫ぶのも仕方ないくらい、
奏会長を始めとした生徒会メンバーに(予算面で)振り回される数少ない常識人です。
常識人であるが故に、この作品の中でもかなり地味めな存在でありますね。
そんな彼女のメインエピソードですが…。
エピソードの中心はまゆらで間違いないです。
けど彼女を軸にして、生徒会の面々が話を転がしていく展開なので出番はあんまりなかったりします。
タイトルの通り「おせっかい」がエピソードのメインテーマなので当事者が目立たないという。
その一方で、非常に百合指数の高いエピソードだと思うのですよね。
今回はその辺りを確認していければなと考えてます。




というわけで、まずはざっとあらすじを画像で振り返りましたw
すわ恋愛か!?という感じですけども。
展開自体はコレで説明が済んでしまいます。
よくある展開といえばそうなのですが、
画像でも分かるとおり、「恋バナかと思ったら勘違いネタ」という話です。
今回出てくる男キャラもこの通り。

絵に描いたようなチャラい男。
名前の元ネタはゲームネタですね、悪魔城。
まゆらの方にも理由があって、この男に近づく為におめかししてのデートだったわけですが。
(後で分かりますが、彼女の行動自体にも「おせっかい」が掛かっています)




案の定、出掛ける所を目撃されていつもの面々が知るところに。
ボタンのかけ違いで他のメンバー間が喧々諤々、まゆらの恋愛を心配する。
隠密によって、↑の男の素性も分かり、不安が募ります。

これもベタな画ですが、恋破れ日本海を彷徨う姿。
仲間だから、友達だからこその心配の飛躍。
まあ、それこそアニメらしいというか、漫画らしい発展のエスカレートです。

そんなこんなで様子を見ようとして、やっぱり気掛かりで。
まゆら本人はいつも通りだから余計に。
心配ではあるけど本人から語られないのでもどかしくもあり。
一方、本人はそんな周りを不思議がりつつもお風呂でため息。

そこにひょっこりと、りのが入ってくる。
一緒に風呂に入ればなんとやら。
りのの素直な性格とまゆらの生真面目な性格が触れ合って、
打ち解ける様子は見てるこちらもほっこりします。
けど、ココでの会話は双方の認識にズレがあるので噛み合ってないんですよ。
会話はしてるけど、話が重なってない。
それでも二人は分かり合えてるっていう地味に複雑なシーン。
どってことはないんですけども、なんか味わい深いところ。
りのとまゆらだとナチュラルに先輩後輩の関係が出てて、微笑ましいですね。

で、話は少し飛んでBパート。
ややあって、まゆらの恋愛を諦めさせるために発起する面々。
エピソードのテーマである「おせっかい」。
まゆらの幸せの為に本人の知らない所で悪い男から遠ざける手段を取ることに。
よくある友情から起因する「おせっかい」です。
どういう内容かは本編をご確認ください。
悲しませたくないという理由から、奏会長にも内緒の行動だったけど実は筒抜けていて。

全てを知っている奏会長の下に、事の当事者であるまゆらが。
実はまゆらが↑の男に近づいたのは、友達の事を思いやっての「おせっかい」だった。
それを生徒会の面々がまゆら自身の恋愛だと勘違いをして、「おせっかい」している構図。
前回もそうでしたが、認識のズレをフィックスすることでドラマを構成しているのが分かりますね。
それで悩むまゆらを受け入れる奏会長の大きさが彼女を包み込む。
で、結果。
最初のダイジェストでりのたちの「おせっかい」に気付き、
きちんと騙された事にする優しさが実にまゆららしい一面でもあり、
それに気付いている奏会長との共有感にニヤニヤできる場面。
男は損な役回りですが、これはそういう話ではないのでw
大切な人の幸せを願い、行動する事=おせっかい。
生徒会の面々のおせっかいはちょっとオーバーなところがありますが、まあそこはそこ。
「おせっかい」そのものが大きなお世話だったりしますので。


とまあ、大筋のエピソードの紹介はこの位なのですが、
ココからは少し目線を変えて。
以上からも少し分かるように、今回はカップリング描写がよく目立つ回だったりします。
上記ではりのとまゆら、奏会長とまゆら
エピソードの中でもまゆら自身が胸の内を語っているのが主役級二人というのも面白い所。
いつだかアニメブログ界隈で有名なまっつねさんと極上生徒会のラジオをする機会がありまして。
その際に「どのキャラでもカップリング組み合わせが楽しめる作品」という主旨の発言をされていたのをよく覚えています。
極上生徒会』のコンセプト「脱萌え」というのが大きく起因していると思うのですが
記号的な描写ではなくここまでの関係性をちゃんと構築したからこその描写なんですよね。
画から感じられるニュアンスと相俟って、質量のある可愛さがあって楽しめるわけです。

例えばりのと奏会長ですが、半クールの間に生徒会書記と会長という関係以上の大きな繋がりを感じさせておいて、
奏会長がりのを思いやってるという描きにきちんと意味が乗っている。
ツーショットでいるシーンは笑顔だったり、お互いの感じてる思いは一緒だったり、
就寝前の髪梳きにも感情は入ってるのはエピソードの積み重ねがやっぱりあるから。
お互いに信頼しあっているから糖度が高い。



次に副会長二人。
これも距離感が絶妙な関係性ですねえ。
3話での表面上の関係とか、5話の良きライバル関係などの描写が利いてる。
お互いの同じ立場の人間だからこそ、通じ合う。
親友関係ともちょっと違った感覚の関係性ですね。
近いものでいえば、仕事の同期仲間みたいなニュアンスですかね。
ビジネスライクと言われると微妙なところかもしれませんが(高校生ですし)
親友というよりかは「仲間」という近すぎず遠すぎずの関係が良いわけです。
だからまあ、仲良くやってるだけで大分オイシイ描写になります。



こんな感じで。
描写&キャラを積み重ねたからこその魅力がじわじわ出てくる作品なのですね。
基本のベースに味がどんどん継ぎ足されていく感じで二度三度と味わい深い。


最後にエピソードのラストシークエンス。

まゆらがみんなに愛されてるというのがよく分かる場面ですね。
いやまあ、今回の一件があったからなんでしょうけども。
地味な存在だからこそ、誰とでも接することが出来るというのが大きな強みなのかも。
ここでも最後はりのとの微笑みの交し合いがなんとも微笑ましい。




そんな和気藹々な雰囲気から一転。
こういうのぶち込むから、面白いんですけどね、この作品。
ここだけ奏会長がおもくそ怖い。
闇社会のボスみたいな立ち回りしてて、戦慄く。
全体の後始末でもあり、奏会長なりの「おせっかい」なのかもしれないけど、
それにしたってダークサイド過ぎて。
こういう二面性から逃げないのも、この作品ならではといったところです。
ちなみに今回の奏会長の通話相手は後々のエピソードに登場予定ですし、
1話から裏でちょくちょく出ているキャラです。
まだ顔が出ていないので、その辺りは今後をお楽しみに。
といったところで今回はひとまず終わり。
それではまた次回です。