音楽鑑賞履歴(2015年4月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
定期更新し出して、初めて20枚割れです。
少ないなあ。
しかし、4月はジャズロックプログレ)、ジャズ&テクニカル月間でしたね。
あんまりポップなものは聞いてないかな。
いや。ジャミロクワイとかクイーンとかも聞いてますけども。
今年買ったCDもはや50枚越え。
でも聞いてるのは、去年のちょうど今頃買ったCD群です。
どんどん消化しないとなあ。
先がどんどん遠くなる。


4月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:18枚
聴いた時間:183分

Return to ForeverReturn to Forever
・72年録音盤。長年愛聴してる一枚。チック・コリアはこのリーダー作でエレピをメインに初めて使用した。個人的にはアコースティックのピアノだと、とにかく堅く無表情なプレイに聞こえた彼の演奏が非常に表情豊かになったように思える。エレピ独特のエコーが上手くマッチしているというか。
アルバム自体もそんな彼のエレピの響きを捉えたような楽曲が並ぶ。これもマイルスのビッチェズ・ブリューの影響下にある作品だと自分は思っていて、地中海に浮かぶ「ミノタウロスの迷宮」の如く神秘に満ちた祝祭的な印象を感じている。「永遠に回帰する」というタイトルとともにラテンな趣を含めて。
演奏面ではやはりそのラテン的な躍動感とスピリチュアルな透明感の二面性が大きな軸となっていて、聴き応えのあるプレイが体感できる。そんな中で、朗らかな開放感を持つポップな3がこのアルバムのいい塩梅となっていいる。モレイラ夫妻のブラジリアンなニュアンスが心地いい。フュージョン黎明の傑作
聴いた日:04月01日 アーティスト:Chick Corea
Birds of FireBirds of Fire
・73年発表2nd。第一期スタジオ最終作。より東洋(インド)思想が濃くなった印象。バンドのテンションは前作以上のパトスに満ちていて、特に後半(B面)部分のバンド演奏のキレっぷりは怒涛の勢い。みんな暴走気味、というかなにかの熱に駆られて、連鎖爆発してるようなそんな濃密さが存在してる
この盤の演奏で発せられる熱量たるや、当時のどのロックバンドにも生まれ得なかったものだろう。現在でもこれほどのものがあるかどうか。太陽のコロナみたい。マクラフリンとコブハムが凄すぎるが、それに引っ張られて、他の面々も通常時に出るはずもない高みでプレイしているような雰囲気。火傷しそう
聴いた日:04月02日 アーティスト:Mahavishnu Orchestra
Hot SpaceHot Space
・82年発表10th。彼らなりにディスコ&ブラコン、ニューウェーヴ要素を取り入れた作品。今の耳で聞くと、フレディとジョンの傾倒していたディスコ路線の曲(1,3,4,10)は本人たちも手応えを掴んでいただろう自信作で、ダンス(ポップ)チューンとして非常に水準の高いものだろう。
ロジャーの手がけたNW色の濃い5,8もバンドの幅を広げるという点で貢献していると思う。しかし、それはあくまで「ポップバンド」としてクイーンを見た上での評価である。繰り返していうが、現在の視点で見ると82年の段階で風化に耐えうる、あるいは1周してトレンド的なサウンドであるのが驚異的
しかし、クイーンのパブリックイメージは「ハードロック」としての側面が大きくあるのだろうと思う。その観点で対抗していたのがブライアンで2や8にその形跡が窺える。ちょっと金太郎飴な旧来のクイーンサウンド。無論悪くはないのだが、本作では逆にちょっと浮いてしまっているように感じる。
この盤はクイーンというバンドの可能性を広げてくれる新しい要素が数多く散りばめられているが、自身の築き上げてきたパブリックイメージによって、押しつぶされてしまったというのがこのアルバムの評価だろう。その結果、メンバー、リスナー共に大いに失望感を味わってしまった不幸な一枚。
アルバムの質は非常に高い。が、従来のクイーンのイメージを保ちつつ、今までにない新しい要素をメインとして提示して受け入れられるのが至難だったというべきか。個人的には十分楽しいし、かつ意欲作だったのだなあと思う事しきり。もし上手く行っていればどうなっていたのだろうか。想像は尽きない。
聴いた日:04月03日 アーティスト:Queen
Flash GordonFlash Gordon
・80年発表9th。同名映画のサントラにして、オリジナルアルバムとしてもカウントされる一枚。シンセサイザーをメインに、彼ららしく「映画音楽」に徹した作り。とはいえそここにバンドの個性が滲み出ている。面白いのは作曲面でけっこうブライアンが出張っている点。本作はほぼ半分が彼の作曲。
今聞くと時代的な野暮ったさが否めない箇所もあるが、当時の技術とサウンドの移り変わりが窺い知ることが出来る。シンセの音とブライアンのギターが喧嘩しちゃってる辺りとかも面白い記録。逆に他の三人が好き勝手にシンセで色々遊び倒してるのも後の背景を見ると興味深いし、実験作的趣きを強く感じる
聴いた日:04月04日 アーティスト:Queen
未来への再会未来への再会
77年録音盤。超絶ハードフュージョン名盤。かつてイレヴンスハウスとして活動していたメンバーの再結集盤らしい。ラリー・コリエルのハードドライヴィングなギターソロの応酬にアルフォンス・ムザーンのパワフルなドラム乱れ打ちがぶつかり合い、殴り合いの喧嘩のような火花の散らし合いが聞ける。
もはやジャズというよりロックと形容したくなる、恐ろしく過激にテクニカルな演奏をかましているが、そこまでカオスな印象はなく、不思議と整然としているのが面白い。楽曲が楽曲でしかなく、そこに演奏される意味や思想性、宗教観があまり感じられない辺りが原因かと思われる。
非常にアメリカンな、あっけらかんとした陽気さがあるおかげか全体のプレイもカラッと乾いた印象。ヴァイとかサトリアーニなどの系譜の源流的な弾き倒しの世界。驚くのはその弾き倒しが3や10などのアコギ演奏でもまったく変わらず、しかもバンド演奏に紛れてもまったく負けてないのが恐ろしい。
聴き様によってはマハヴィヌシュオーケストラのディスコ版、あるいはザッパ的な趣も感じられたりもする。なんというか超絶技巧の持ち主がただひたすら陽気にバカバカしいくらいにとんでもない演奏を見せ付けてくれる一枚。
その手のギターインストが好きな人には一聴の価値あり。しかもこれ、今なら1000円で買えます。アマゾンなら900円ほど。そんなお値段で買ってしまっていいのかというくらい、出来は素晴らしく極上な一枚。いい物を聴きました。
聴いた日:04月04日 アーティスト:ラリー・コリエル & アルフォンス・ムザーン
MovementMovement
・81年発表1st(かつJoy Divisionのラストアルバム的趣きも)。ポストパンクとクラウトロックの前衛さと電子音の響きが交差した暗鬱さがバンドの独特な表情を見せる。こうやって聞くとポストパンク経由の土着的なジャングルビートはかなりダンサブルに聞こえるんだというのが興味深い
JD、ひいてはイアン・カーティスから引き継いだ要素が極めて強いと思うが、残されたメンバーが歩みを止めず前進していった事による新たな萌芽が生まれていることからも決して駄作ではない。これを終着点にせず、出発点としたバンドの意識を強く感じる作品。この心地よい暗鬱さが堪らなく心に刻まれる
聴いた日:04月09日 アーティスト:New Order
アス・スリーアス・スリー
60年録音盤。ホレス・パーランの代表作のひとつでもあるピアノトリオ録音。ピアノのペダルを多用しているのか、独特なエコーのする強烈なタッチのプレイが鮮烈。倍音が響くようなピアノが音の壁となって聞くものの耳に押し迫ってくる迫力がすごい。それに負けず劣らずとベースとドラムの存在感も強い
ペダルを使うことによって、擬似的にピアノが複数あるかのような錯覚を抱かせるのが狙いなのかも。ともあれ一風変わった演奏かもしれないが、その躍動感と独特の歪みのあるピアノトリオがグルーヴするのが非常にカッコイイ一枚じゃないかと。1はそんな挨拶代わりの一発。今聞いても面白い演奏です。
聴いた日:04月09日 アーティスト:ホレス・パーラン
SynkronizedSynkronized
・99年発表4th。前作の大ヒットを受けて、ディスコ色が強くなった一枚。アシッドジャズという肩書きから飛躍を見せたというより、70s中期辺りのソウルやファンクのエッセンスを濃く抽出したハイブリットなクラブチューンに仕立て上げたという印象。そういう点では前作以上にポップさが上がった
反面、前作くらいまであった粗野というかサウンドの灰汁みたいのが無くなったように思う。サウンド自体は非常に洗練されているが、初期の彼らの代名詞だったディジュリドゥの音色は本作より鳴りを潜めていった。高品質さと大衆性の高い作品だが、同時に失われたものを考えると少し侘しくもある。
聴いた日:04月10日 アーティスト:Jamiroquai
FlexableFlexable
84年発表1st。奇才ギタリストの処女作。そのサウンドは門下生らしく、ザッパからの色濃い影響が窺える作り。B面1曲目の6やヴァイのバラード曲定位置である7などは後のサウンドに近しいが基本的にホームメイドな録音の習作といった所。それでもこの時点で個性やギターの腕前は頭角を現している
サウンドの質感はザッパの「溺れる魔女」に近いか。よりコミカルな印象を受ける。後の音楽性がHM/HR方面に振れていく事を鑑みると本作で繰り広げられるザッパ直系のヘンテコポップな路線はわりと楽しかったりする。ヴァイの作品はたくさん聞いていないが、これが一番聞きやすく感じた。
聴いた日:04月11日 アーティスト:Steve Vai
フレクサブル・レフトオーヴァーズフレクサブル・レフトオーヴァーズ
84年発表2ndに当時の楽曲を新録、増補&再構成した98年盤。leftovers(残り物)と称されているが個性は前作より際立っている印象。ザッパ的なニュアンスが残りながら、その上にオリジナリティが乗っかっているので完全に孵化した状態ではないのが興味深くある。ギターは既に変態技の域
聴いた日:04月12日 アーティスト:スティーヴ・ヴァイ
Second HeatSecond Heat
87年発表2nd。ポール・ギルバートが率いるHM/HRグループ。内容はテクニカルバリバリのスピードメタル。クレイジーなノリのツインギタープレイやその波に事も無げに乗るベースとか演奏陣の実力は非常に高く、聞いていて楽しくなれる一枚だが、ミックスが弱いせいか、歌のボリュームが低い。
その為に、演奏は極めて素晴らしいのだが歌声が細く聞こえてしまうのが難点。というより曲が進むごとに楽曲の出来も尻上がりに良くなっていって、演奏的な高揚感を聞き手も味わえて、匙加減の絶妙な作品だと思う。惜しいのは録音。ポールをはじめとした演奏はこの上なく、バカげていて絶品な代物だ。
聴いた日:04月13日 アーティスト:Racer X
パッション・アンド・ウォーフェアパッション・アンド・ウォーフェア
・90年発表3rd。前作、前々作が自主制作的な作品だったが正式なスタジオ録音の本作はまさに飛躍という印象を抱かせる開花の一枚。これぞヴァイと言わんばかりの個性の炸裂っぷりが全編に目立つ。解き放たれた野獣が自在に暴れているのようなド派手な内容になっていると思う。聴きやすさもある。
独特なサウンドの質感も相俟って、聞こえてくる音楽は形容がしづらい。一応括りはHM/HR寄りなんだろうけど、どこかしら変態的な要素や超絶技巧が絡み、アクが強いかつ独自のユーモアがポップさを添えてる感じ。とは言っても師匠のザッパと同じく、一般受けはしそうにないけど華やかさはあるかと。
聴いた日:04月14日 アーティスト:スティーヴ・ヴァイ
Diamond HeadDiamond Head
・75年発表1st。UKプログレカンタベリー人脈が揃ったソロ初作は彼が少年期を過ごしたラテンアメリカ圏のニュアンスが色濃く出た無国籍風エスノポップ。南国的トロピカルな開放感があるのに演奏メンバーの醸し出す独特の翳りが彼のギターに乱反射するプリズムの輝きを与えているように思う。
トロピカルなのに荒涼としたモノクロームなトーン。アンニュイな陽気、開放感あふれる陰気に踊るは、うらぶれた人間というなんだか悲喜こもごもなイメージがあるけど、照りつける日光に現れる涼しげな日陰の心地よさを感じる一枚。胸すく居心地の気持ち悪さとくぐもった透明感が結構好き。
聴いた日:04月18日 アーティスト:Phil Manzanera
CRAFTY HANDSCRAFTY HANDS
・78年発表2nd。前作のファンタジックなのどかさを残しつつ、アメリカンな都市風景を髣髴とさせる硬質なソリッド感もある一枚。シンフォニックな構築美も健在だが、どことなく余裕のあるおおらかな奥行きも感じられるサウンドが面白い。音の肌触りはパット・メセニーに近い雰囲気も。
ジャズロックともフュージョンともシンフォニックロックともつかないコンテンポラルな演奏がそういった印象を与えるのかもしれない。様々な要素を捕らえながら、作り上げられた音楽が同国人のアーティストと似通うのはお国柄に起因するのかも。個人的はメルヴィルの「白鯨」とかも似た雰囲気がある。
聴いた日:04月22日 アーティスト:Happy the Man
機甲界ガリアン音楽集VOL.1機甲界ガリアン音楽集VOL.1
・84年発表OSTサンライズ製作、高橋良輔監督のロボットアニメサントラで08年の復刻盤。アニメ史上に残る名曲でEuroxの演奏するOP&ED曲もばっちり収録。冬木透の手がける重厚な味わいのスコアは同時期の作品のものと比べても、本格的で迫力のあるものとなっており、聞き応えは十分
聴いた日:04月26日 アーティスト:冬木透
Hatfield & the NorthHatfield & the North
・74年発表1st。カンタベリーロックの一角。濃い霧に包まれたようなアンニュイに鳴り響くファズオルガンに導かれて演奏は展開される。サウンドカンタベリーシーンならでは、といった所だが曲展開の流麗さに一線を画すのがこのバンドの最大の特徴だと思う。水の流れが広がるが如く淀みなく聞ける
ジャズを基調に、しておきながらものロックともジャズとも形容のし難いジャンルの音楽である事は間違いないのだがその胡乱で謎めいた音に潜むポップさが心を惹きつけて止まない。むしろ小難しいという先入観なく聞く事が出来れば、この上なくグッドタイムミュージックだろうと思う。好きな一枚です。
聴いた日:04月26日 アーティスト:Hatfield & The North
The Rotters' ClubThe Rotters' Club
・75年発表2nd。よりポップに、かつ技巧的になった一枚。カンタベリーロックの趣は残しつつ、演奏レベルは当時主流になりつつあった、クロスオーバー(フュージョン)のような切れ味。なので前作からかなり垢抜けた印象を持つ。よく考えればメンバーとゲストの構成がまんまフュージョンだなと。
彼らの最高傑作と言われるだけあって(スタジオ盤は2枚しかないけど)その名に違わない作品だなと。カンタベリーロックという枠組みだけで語られるべきではないUKジャズロック/クロスオーバー(フュージョン)の名盤でしょう。実際、カンタベリー的なクセもあっさりしてるし聞きやすくオススメです
聴いた日:04月29日 アーティスト:Hatfield & The North
Heading for TomorrowHeading for Tomorrow
90年発表1st。Helloweenを脱退後のカイ・ハンセンが結成したバンド。ドイツのパワーメタル/スピードメタルらしく、ド派手かつ大仰、クラシカルなメロディもあって、メタルファンならド定番の展開がパワフルに演奏される。もはや本気とギャグの境界線スレスレだが、熱量は凄まじくある。
音楽的には初期クイーンからの影響がかなり大きくあると思うが、今の耳で聞くとSOADの演奏っぽくも聴けてしまう不思議。バカと天才は紙一重というか。それくらいに気合の入ったアルバムで聴き応えのある、味わい深い名作だと思う。メタル初心者にもオススメじゃないかと。結構日本人好みの音です。
聴いた日:04月30日 アーティスト:Gamma Ray

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