音楽鑑賞履歴(2015年2月)

というわけで、2月の音楽履歴です。
また音楽メーターの履歴をぺたりと。
見てのとおり、「・」が多いので所持CDをメインに聞いた月でしたねえ。
新規購入分もちゃんと聞きたいんですが、
聞きたい気分がその日によって変わるのでまあ仕方ない。
たまに聴きたくないときもありますし、疲れて聴けないときもありますので。
しかしまあ、偏ってるのかそうでないのか自分でもよく分からないw
新譜もちょこちょこ買ってはいるんですよw
いやまあ、すでに今年に入って買ったCDは既に20枚くらいには…。
……ちゃんと聴こう。



2月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:35枚
聴いた時間:1098分

アイ・ウィッシュ・アイ・クッド・ハヴ・ラブド・ユー・モアアイ・ウィッシュ・アイ・クッド・ハヴ・ラブド・ユー・モア
・07年発表1st。The Zutonsのドラムの妹。フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドを髣髴とさせる深いリバーヴや60sサウンドばりばりのファズギターが鳴り響く、レトロモダンポップ。少し鼻にかかった歌声もグッド。それでいて曲構成は現代のポップソング。悪いはずがない。
ボトムラインがテクノやクラブサウンドを通過した印象でもあり、ところどころ現代的な脚色がされていて、単なる回顧主義的なサウンドになってないのが面白い。60sサウンドが現代的になったらこういう感じ、というのがなかなか興味深い作品。これ一作限りなのが惜しいくらい。次作はないのだろうか?
聴いた日:02月01日 アーティスト:キャンディ・ペイン
ザ・ロングカットザ・ロングカット
・05年発表日本独自編集盤。彼らの日本デビューEP。トリオながらドラムがヴォーカル兼業という珍しい体制。エレクトロの高揚感をグランジやガレージに応用したような静と動のコントラストの爆発力が強い轟音系ロック。一度ブチ切れると火花を散らすテンションの高さと青さがあって、面白い一枚。
聴いた日:02月02日 アーティスト:ザ・ロングカット
コール・アンド・レスポンスコール・アンド・レスポンス
・06年発表1st。轟音系ダンスロック。と、言葉で書くと典型的バンドかもしれないが、グランジ系の内省的ノイジーさとクラブテクノの高揚感をあくまでトリオのロックバンドの演奏で融合させようとする強引なローファイさ加減が嫌いになれない一枚。既発曲も全部録り直している。
そのグランジのチリついた焦燥感に電子音が乱れ飛び、轟音でデジタルビートが潰れていく汚さが面白いが、高揚感以上に新曲群の醒めた雰囲気が勝ってしまい、ちょっと煮え切らない感じになってしまっているのが惜しい。静謐に熱くなるのも嫌いじゃないんだけども。自分としては楽しんで聞ける作品です。
聴いた日:02月02日 アーティスト:ザ・ロングカット
Open HeartsOpen Hearts
・09年発表2nd。日本未発売。前作よりエレクトロ色が若干強まった。曲単位ではなくて、アルバムがいくつかノヴァースに分かれたような、あまり曲間の区切りのない構成。DJのプレイリストのような印象でそれをロックバンドの演奏に落とし込み、繰り広げている。轟音ロックでレイヴパーティしてる
1stでのちくはぐさがなくなって、高揚感のある曲とチルアウトした醒めた曲がテクノの様に変容し、混ざっていく。そのアプローチが非常に面白い。アルバム全体で1つのミックステープという趣が強い一枚。聞き込めば聞き込むほど味が出てくるスルメ盤か。テクノとロックが融合した好例の1つかと。
聴いた日:02月03日 アーティスト:Longcut
You've Come a Long Way BabyYou've Come a Long Way Baby
98年発表2nd。時代が生んだ世紀末の乱痴気テクノ。カッコつけず、ひたすら猥雑に汚らしく、ビール片手に馬鹿騒ぎの喧騒を詰め込んだのが辟易する位、クールだった。それまでスタイリッシュにキメてたテクノに風穴ブチ開けたという点では大変意義深い一枚だろうし、UKクラブテクノの金字塔的作品
ロックと融合し、シニカルに、時にハッピーにリズムをいじくり倒すノーマン・クックの確信犯的一枚だと思う。テクノなのになぜか土埃かぶったような、泥臭さが新味だったのかも。サイケな趣もありトリッピーな部分もまたカオス感覚。この中じゃ、やはり9が一番好きなトラック。
聴いた日:02月04日 アーティスト:Fatboy Slim
FAB FOXFAB FOX
・05年発表2nd。身内からの借り物。フロントマン、志村正彦のセンスが炸裂した傑作アルバム。ヘンテコなメロディ&歌詞がポップソングに絡み合い、独自の作風を編み出している。様々な可能性が詰まった、バラエティ豊かな一枚で、次に何を見せてくれるかという期待を感じさせる大躍進を見せた。
大別して、インディーズ時代から続く、和風で陰りのある旋律と突き抜けてポップだけど屈折してる旋律、それらをろ過して抽出した美メロといった楽曲が揃っているがどれかを一本化するのではなく、この段階でやれる事を総ざらいしてる印象。そういった点で奇跡的なバランスを保っているとも言える作品。
聴いた日:02月05日 アーティスト:フジファブリック
サンクチュアリ(聖域)サンクチュアリ(聖域)
・83年発表4th。元祖V系とも言われるバンドの全盛期を象徴する一枚。内容はYesやジェネシスを髣髴させるプログレハードや、四人囃子のような叙情性を感じさせるものもあるが、基本的にファンタジックで過剰なグラム歌舞伎ロック。ゴテゴテのケバい装飾美が非常に独特な音を出していると思う
中にはEW&Fの曲みたいなフレーズも出てくるがそれはそれとしてwとにかくカラフル&ドラマティック、シアトリカル。聞く人は選ぶかもしれないが非常にポップかつ複雑な演奏を決めているのは、日本らしくもあるなあと。逆にここまで過剰にしないと、生き残れなかったのかも。ともあれ名盤でしょう。
聴いた日:02月06日 アーティスト:ノヴェラ
ピンク・レディー 〜TWIN BESTピンク・レディー 〜TWIN BEST
・98年発売の二枚組ベスト盤。彼女たちの活躍を俯瞰できるうってつけのベスト。とかくシングル曲は今聞いてもかなり先鋭的なメロディばかりでもはやプログレといっても差し支えないほど、ジャンルの境界を縦横無尽に飛び回り、過激に展開する。若い人は食わず嫌いせずに一度は聞いてみてほしい。
過剰なまでにメロディのアイディアが一曲にぎっしり詰まっている感覚は現代のボカロ系などのネット音楽系にも通じると思うし、何よりもポップである。下降線をたどっていた時期の楽曲も今聞くと結構新鮮。古臭さもあることは否めないが、一世を風靡した所以は良く分かる。言うまでもなく歌も上手い。
聴いた日:02月06日 アーティスト:ピンク・レディー
オーヴァーチュア=序章(紙ジャケット仕様)オーヴァーチュア=序章(紙ジャケット仕様)
・88年発表1st。日本プログレ界のスーパーグループ。知ってる人にはChachamaruがフロントマンのバンド。メタリックでプログレな演奏を大仰でファンタジックな歌詞で歌い上げる定型パターンだが、さすがに実力派のメンバーが勢ぞろいしてるので、聞いていて飽きは来ない。
とかく演奏は非常に硬質でテクニカル。その為、テクニック偏重による、かなり冷ややかな印象を受けてしまうのは難点といえば難点か。ただ独特な魅力もあるので時たま聞きたくなる、そんな一枚。
聴いた日:02月06日 アーティスト:ヴィエナ
ステップ・イントゥ・ヴィエナ(紙ジャケット仕様)ステップ・イントゥ・ヴィエナ(紙ジャケット仕様)
・88年発表2nd。前作から表現力が格段に向上して、よりドラマティックな楽曲たちを難なく演奏している。なによりアルバムの統一感を意識してか、コンセプチュアルな構成も功を奏しており、アルバムの魅力を引き立てている。なにより演奏に勢いがあって、非常にエネルギッシュだ。
ジャケットの寒そうな凍土の地のごとく、冷ややかだが透明感のあるファンタジックさが素晴らしい。スーパーグループがスーパーグループらしい実力の高さを見せ付けた傑作だと思う。この手の企画はなかなかバンドの一体感が出ないものだが1stと比べても、完成度の非常に高い一枚。
聴いた日:02月07日 アーティスト:ヴィエナ
MezzanineMezzanine
98年発表3rd。彼らの代表作として名高い一枚。レベルミュージックやロックなどとクロスオーバーしてる事からもポストパンクの系譜を受け継いでいる印象を強く感じる。ゆったりとしたリズムで蠢く、ダークでアブストラクトなメロディはなにか覚醒している。光る先に向かっているというか。
非常に土着的かつ神聖な印象もあり、時にそういった宗教的厳格さも少し感じる。キリスト教に限らず、アフリカ世界など非西洋圏の趣もあり、そういう点ではメディテーションで精神を覚醒させる一枚かなと。禅とかそういう境地のテクノ。ポップではないので聴く人によっては要注意。聴けば深く沈める。
聴いた日:02月07日 アーティスト:Massive Attack
GirlGirl
14年発表2nd。80sディスコの香りが濃厚な一枚。ガラージュというか、サルソウルというか。70sディスコの脂ぎった感覚はないがどことなくセクシャルな趣が時代を通り越して、現代にヘルシーさを伴って、アップデートされた音楽、という印象。コマーシャル性は非常に高く、分かりやすい。
その一方で、楽曲ごとの切れ味はそこまで鋭くないという印象が強い。いや、グッドメロディーなのは間違いないのだがなにかもう一味足りない気もする。大ヒットした5は極限までにシンプルな演奏だから映えたわけだが、アルバム全体を考えると少し没個性か。楽曲のメリハリがあった方が良かったのでは?
聴いた日:02月08日 アーティスト:Pharrell Williams
Young Love(リマスタリング盤)Young Love(リマスタリング盤)
・96年発表12th。サザン流ロックンロール幕の内弁当。過去の名作たちをオマージュしながらも、きちっと彼ららしい味付けがされているし、サザンにおける様式美の中で縦横無尽にJ-POPが暴れ回る。箱庭的だが普遍的でもある。「らしい」一枚だと思うし、シングル曲のキラーチューンぶりも凄い
ちなみに初めて自分で買った邦楽CD。今も同じCDで聞いています。
聴いた日:02月08日 アーティスト:サザンオールスターズ
KamakiriadKamakiriad
・93年発表2nd。前作より11年ぶりのリリース。が、やっていることはあまり変わらない。50年代のレトロなSFを想起させる歌詞とドライかつスクエアな演奏が文字通りクールである。ノスタルジアと近未来的モダニズムが交差した、非常にタイムレスな音楽。特に年齢は関係なく聴けるかと。
今聞くと5辺りの音作りは以降のキャリアにもあまり感じられないサウンドなのでその辺りを聞くとファンは楽しめるかと。全体的に再結成後のスティーリー・ダンに近いサウンド。事実この作品のプロモーションツアーで再結成を果たすことに繋がるわけで、1stには劣るかもしれないがこちらも十分良盤。
聴いた日:02月09日 アーティスト:Donald Fagen
TIGHTROPETIGHTROPE
・86年発表2nd。前作より僅か9ヶ月でリリース。当時のバンドの勢いを象徴するかのような気迫に満ちた演奏がほぼ一発録りで収録された。ミックスが取り立てて良い訳ではないがその録音の荒さをひっくるめて、メタルの重さと爆発力を日本全国に轟かせただろう一枚。近づくと火傷する程の熱量がある
全編ノンストップ、前のめるような位にハード&スピーディ、へヴィに攻めまくる。ぜひ聞いて体感してほしい。05年発売のリマスター盤にはボートラが収録されていて、そちらも聴き応えがあるので要チェック。日本のメタルだからと敬遠する人にこそ、聞いていただきたいとおもう渾身のアルバムだろう。
聴いた日:02月09日 アーティスト:ANTHEM
美狂乱美狂乱
・82年発表1st。須磨邦雄率いる和製キングクリムゾン。どこからどう切ってもあの「太陽と戦慄」の演奏を髣髴させるが、単なるデッドコピーに陥っていないのがこのバンドのオリジナリティである。日本独特の情緒を感じさせるメランコリックな演奏はやはり特筆すべき箇所だろうと思う。
本家に勝るとも劣らない演奏な反面、録音面や歌唱面がやや劣るのが残念といえば残念。歌唱面はけっして上手いとはいえないが味のある歌声なので慣れれば問題ないだろうと思う。録音の方はわずか十日のリハーサルで臨んだこともあって、これが最良の演奏ではないというところも起因している。
さらに言えば、1st録音直前にメンバー交代してしまったという事態もあり、いろいろ急ごしらえの制作だったところもあるので、そこら辺の粗さは否めない部分もあるがともあれ彼らの魅力は損なわれず、出ているアルバムだと思う。
聴いた日:02月09日 アーティスト:美狂乱
CoralCoral
・02年発表1st。当時、平均年齢二十歳ほどのバンドが繰り広げられるアンティークサイケミュージック。海波に揺れる幽霊船の中で骸骨が笑いかける、そんなイメージで音楽が聞こえてくる作品。英国北西部の港町リヴァプールが出身というのもあり、アイリッシュ音楽っぽさも滲んでいる。
ごりごりのサイケというよりは港町ならではの伝承や怪談っぽさがミステリアスに響く感じ。そこにアルコールが加わり、酔いどれ気分にトラッドやフォークミュージックが絡む。マザーグース的な寓話的感覚がこのバンドの音楽をサイケたらしめている所以じゃないかなあ。コーラス多めな辺りとかも。
なので演奏もロックと言うより、アイリッシュダンス的、あるいはトラッド、フォークっぽい。もちろんロックもあるけど、バンドを構成する要素の一部みたいな位置づけ。そういえば影響下にあるバンドみたいのがあまり見えない。伝統的でもありオリジナルでもありサイケでもある。古くて新しい快作。
聴いた日:02月09日 アーティスト:Coral
Please Please MePlease Please Me
・63年発表1st。歴史的バンドの処女作はとにかく若い。その弾ける瑞々しさで演奏されるR&Rナンバーはライヴで鍛え上げた地力によって、すでに余裕すら感じられるほど血肉になったものだろう。作曲面ではまだ個性が出ておらず(R&Rの定型を抜け出ていないと言う点で)、らしさはまだないか。
だがパスティーシュ的な楽曲たちがこの上なく、小気味いい快感を与えてくれるのもまた事実で、今で言うところのバンドグルーヴは最初から突出していたと言う証明になっている。7〜8のシングル曲にオリジナリティの萌芽を垣間見たりもするが中身のあんこが尾っぽまで詰まった鯛焼きの如き、ポップ名盤
聴いた日:02月10日 アーティスト:Beatles
Final Countdown: ExpandedFinal Countdown: Expanded
・86年発表3rd。彼らの世界的ブレイク作品。北欧メタルを分かりやすく紹介したと言う点でも重要な一枚だと思う。その反面、大ヒット曲1に象徴されるポップなサウンドは賛否あるのかも。しかし、大仰で流麗かつ美しい様式美サウンドは嫌いになれない。メタル的な重さはないがメロディが良い。
ハードにドライブするジョン・ノーラムのギターは脂が乗っていると感じるし、こと演奏面について言えば、ポップ化したことを除けば、相当に充実したものだと思う。楽曲はバラエティに富んでいるが定型過ぎて、遊びがないのが残念。良くも悪くもここがピークとなってしまい、以後下降線をじわりと辿る。
聴いた日:02月10日 アーティスト:Europe
ワイルド・イン・ザ・ストリーツ+3ワイルド・イン・ザ・ストリーツ+3
・86年発表3rd。それまでビッグ・イン・ジャパンだった彼らを一気に全米のスターダムに押し上げた大ヒット作。ハードロックをポップサイドで鳴らすというある種アメリカンロックの定型を見事に体現したアルバム。彼らの特徴は、デンジャラスさやダーティなイメージがほぼ皆無だったということだ。
とにかくアルバムの印象としては、ハードドライヴィングではあるが、陽気でカラッとした西海岸の雰囲気と、健康的なノリというイメージが強い。非常に優等生的というか。歌詞の方も日々の生活を描いたものが多く、その辺りで大衆の共感を得た印象もあるか。大ヒット2,3の他も意外と佳曲揃いの一枚。
聴いた日:02月11日 アーティスト:ボン・ジョヴィ
CookCook
・74年発表ライヴ盤。伊プログレの代表的バンドの北米でのライヴ一部始終を収録。スタジオ盤と寸分の違いもない、一糸乱れぬ鉄壁の演奏力に舌を巻くが、余りにも録音と変わらない為、ライヴを聞いているという感覚をあまり感じられない不思議な一枚。それだけ彼らの実力が凄いと言う証明にはなるが。
面白いと感じたのはライヴならではの演奏の4と6。どちらもメドレーっぽくなっているが、ライブの生っぽさが出ている曲かと。特に6は各メンバーのソロ回し的な曲なので聞き応えはあるが、構成がカチッとしてるのでやっぱりライヴと言う感覚は薄い。歓声が聞こえるからライヴだと把握できる、変な作品
ちなみに自分はオリジナル盤の復刻を購入したので、デラックスエディションの三枚組については言及は出来ません。(このページがデラックスエディションのもの)
聴いた日:02月11日 アーティスト:P.F.M
Air Cut (Dig)Air Cut (Dig)
・73年発表4th。VoとBs以外が脱退し、新体制を迎えての4枚目。その新メンバーの中に当時若干17歳だった、エディ・ジョブソンがいた。今作は彼のミュージシャンキャリアデビュー作でもある。内容は前作に見られた神秘性はかなり減退し、ソリッドかつテクニカルなジャズロックになった印象。
エディ・ジョブソンサウンド面で大活躍しており、ダリル・ウェイの穴を完全に埋めている。その為か、演奏の勢いはだいぶ若々しくなった。ただその一方で、これまで培ってきたバンドの魅力は雲散霧消してしまったか。人が変われば音も変わると言うのは良くあることだがこの場合はがらりと変わっている
根底にはまだ残っているのだが、トラッドやフォークっぽさ、田園臭さはほぼ払拭されたとも言っていい。調べると、このアルバムをきっかけにバンドキャリアが迷走しだすようで存外、分岐点な作品だったのかもしれない。出来の良さは保証するが、バンドらしさを期待すると評価に困る一枚だろう。
聴いた日:02月12日 アーティスト:Curved Air
Santana (1st Album)Santana (1st Album)
・69年発表1st。ロックとブルースとラテンの邂逅が克明に記録された作品。当時のサンフランシスコのロックシーンを象徴するホットな演奏が聞ける。ラテンの細やかなパーカッションリズムがブレイクビーツ的で、高揚感を増している辺りがエポックメイキングだったのだろうと思う。
全体的に荒削りで未分化で若い音。ロックミュージックというジャンル自体が当時まだまだ未開拓の分野でもあったのでこのアルバムも相当に可能性に満ちていた。完成度は次作に譲るが、熱気のこもった演奏やカルロス・サンタナの官能的なギターフレーズはこの段階から既に成熟している。勢いのある初作だ
聴いた日:02月12日 アーティスト:Santana
Sex MachineSex Machine
・70年発表のライヴ盤。ファンクの教科書的一枚。ちなみに1〜5まではスタジオ録音の擬似ライヴで6以降が本当のライヴ。強靭でうねるグルーヴにJBの粘っこいボーカルが絡み、ぐつぐつに煮込まれるリズムの渦が塊になって、聞く耳を襲う。ソウルからファンクに進化する様が体験できる。
演奏もJBの歌もソウル、R&Bに過ぎないんだけど、ひたすらに反復することであっさりとした演奏がたちまち濃厚なファンクグルーヴと化していく。聞こえる印象はヘヴィではなくてライト。けど、バターやチーズのようにグルーヴが凝固して発酵する感じがファンクの醍醐味なんだろうと思う。
彼の代表曲ともいえる1のインパクトは強大だが、6以降のライヴの熱気で生み出されるグルーヴの高揚感もやはり捨てがたい。クドいノリを期待するとあっさり気味なので肩透かしを食らうかもしれないが、ファンクリズムの揺れを味わいたい人には入門盤として押さえたいアルバムじゃないかと。
聴いた日:02月14日 アーティスト:James Brown
Second ComingSecond Coming
・94年発表2nd。ハードロックをダンスビートでねじ伏せた怪作。ツェッペリンというか泥臭いスワンプロックが鳴り響いている一方、ボトムラインは良く弾むが重くはない。その重くないビートがテクノなどを通過したダンスグルーヴを生んでいる。その一見交じわらなそうな要素の交差が非常に興味深い
このリズムの地に足が着かない、軽やかな浮遊感とジョン・スクワイアのアルバム全編に渡る密度の濃いギターフレーズという組み合わせの妙が面白い。温故知新で、古い物と新しき物が同等に拮抗し合っている、この作品の特徴だとも言えるだろう。1stの発展として、完全にロックを咀嚼吸収した一枚。
世間の低評価については、待せすぎた、サウンドが激変しているとという面で賛否あるが。正直、タイミングが悪すぎたのと時代が「早過ぎた」という印象を強く持つ。このアルバムより5年足らずでファット・ボーイ・スリムが似たような音楽をテクノ側から出している事を考えると5年は早かったんだと思う
アルバムの出来は1stより見劣りしてしまうのは否めないが十分良盤である。望む、リマスター&デラックスエディション。
聴いた日:02月15日 アーティスト:Stone Roses
かくれんぼか鬼ごっこよ(初回限定盤)(DVD付)かくれんぼか鬼ごっこよ(初回限定盤)(DVD付)
・08年発表企画盤。アニメ「さよなら絶望先生」から発生したコラボアルバム。演奏はほぼ特撮のメンバーなのである意味、特撮の作品としても聞ける。面白いのはヒロイン役の声優たちと大槻ケンヂ、ひいては特撮のサウンドが見事に融和している点だろう。アニメとラウドロックの相性の良さが光る。
アニメのOP曲の別バージョン3,9、特撮のカバーの4など聞き所は一杯、声優の歌唱も上手く溶け合っているし、さらにこのアルバムの副作用で特撮というバンド自体が息を吹き返したという点でも見るべき物は多大にある。企画盤という枠に留まらない、名盤だろう。5や10が好きです。
聴いた日:02月17日 アーティスト:大槻ケンヂと絶望少女達,大槻ケンヂ
LOOPHOLELOOPHOLE
・03年発表2nd。前作よりさらにオーガニックなテクノという印象の一枚。フォーキーというか、深々と積もる雪が掌で溶けていく温もりというか。枯山水みたいな空間に配置された音が心地よく響く。アンビエントとも違った静謐な音楽。しかしポップでもある。侘び寂が利いているってこういう事かも。
聴いた日:02月18日 アーティスト:sketch show
ZAZEN BOYSZAZEN BOYS
・04年発表1st。ピストルズ後のPIL、というようにナンバガ後のZAZENBOYSである。ナンバガそのままな焦燥感溢れるギターノイズ、ここぞとばかりのダブ処理、レゲエリズムなど向井秀徳のこれまで、とこれからが詰まった一枚。諸行無常であることがバンドのテーマというか。
歌詞もだが、若さに身を任せた騒音的熱狂からリズムや重低音に重心を置いて、丹田に内包する力やウネりで腰に「クル」音楽の萌芽が垣間見える。カミソリの鋭い切れ味より鈍く黒光りする金属の粘り。本作はまだまだ発展途上だが「自問自答」と「諸行無常」が繰り返される精神的ファンクな趣があると思う
聴いた日:02月18日 アーティスト:ZAZEN BOYS
Kid aKid a
・00年発表4th。遠くロックから離れた音で鳴らされるロックミュージックの臨界点…と錯覚しがちな一枚。その実、ロックの枠組みという呪縛に雁字搦めになっているのは彼らなんじゃないかなと再聴して思うなど。自由な発想の音楽をロックでパッケージングしてしまっている、と評しても良さそう。
色々フォーマットはあるかもしれないが、ロックを否定してる一方で、ロックであらねばらないっていう強迫観念や切迫感があるように思えて、全体的に息苦しいが、一方でアンビエントテクノをロックでねじ伏せようとする抵抗感や静謐さは面白いアルバムだとは思う。意外とロックの定型を抜け出てない一枚
聴いた日:02月20日 アーティスト:Radiohead
Fire and WaterFire and Water
・70年発表3rd。早熟にして彼らの代表作。当時平均年齢20歳の彼らが送り出した音楽は音数の少ない空間を生かしたブルージーなロック。音数が一番多いのがヒット曲7だと思うと驚異的。年齢を考えるとおそろしく渋い境地に達していたのが良く分かる。性急さを一切求めない溜めの利いた演奏は極上
後にアメリカのハードロックバンドの由来になった5など、どれも最小限の音しか鳴らさない演奏で、その飾らなさは何かに刃向かい、反抗する若者の姿が伺える。極限まで無駄なものを一切省いたロックがここにある。それゆえに中毒性の高い一枚。何度も利くとクセになってきて、時たま無性に聞きたくなる
聴いた日:02月23日 アーティスト:Free
GenesisGenesis
・84年12th。プログレバンドからポップ化する過程の一枚。コンパクトにまとめつつ、ハイテクさも備える一方で売れ線も狙うというちょっと欲張り気味な感もあるけど内容は上々の水準。思想や幻想的な世界観は皆無だが、モダンな高機能プログレポップスで十分聞き応えがある
華やかさという面では次作に譲るものの、楽曲のタイトさやサウンドの編み込み度合いはやはりプログレバンドの演奏力、構成力あっての賜物だと思う。過渡期のアルバムだけどそのどっちともつかないスタンスの曖昧さが、上手くバンドの良さに機能した上手くバランスの取れた作品だと思う。
聴いた日:02月25日 アーティスト:
With the BeatlesWith the Beatles
・63年発表2nd。オリジナルとカバー曲が半々、ジョージとリンゴがリードVoを取る曲がそれぞれ収録された一枚。シングル曲が収録されていないという点でも内容で勝負した感じ。前作より8ヶ月しか経過していないが、格段の進歩が見える。いわゆるビートルズサウンドの兆しが垣間見える。
カバー曲は完全に自分たちのものに消化しきっており、折り紙付きのビートポップス感が良い。オリジナルの方もコーラスハーモニーを上手く多用し、いわゆる60sポップスど真ん中のハジけた演奏が楽しめる。でもキャリアを俯瞰すると、割とシブい魅力を放ってる作品だと思う。聞いてて飽きない作り。
聴いた日:02月26日 アーティスト:Beatles
Someday World [デジパック + 16Pブックレット / ボーナストラック1曲収録 / アーティスト本人による解説付 / 国内盤] (BRC414)Someday World [デジパック + 16Pブックレット / ボーナストラック1曲収録 / アーティスト本人による解説付 / 国内盤] (BRC414)
14年発表1st。文字通り、B.イーノとK.ハイド(アンダーワールド)のコラボ作品。アフロビートとミニマルを融合させた音楽という触れ込みだが、それを抜きにしても歌ものエレクトロとして結構楽しい。ジャングルの奥深くに未来都市が建っているような、キメラ的感覚が面白い。
アフロビートの陽気さにUKテクノのスタイリッシュさとクールさが掛け合わされた、変な音楽でもあると思うが、不思議と透き通った感覚と外界の広さと奥行きがある。一過性のコラボユニットとは一線を画す独創性のある一枚だと思う。リズムの響きにクールさとホットさが同居した面白楽しい意欲作。
聴いた日:02月27日 アーティスト:ENO • HYDE,イーノ・ハイド
白い暴動白い暴動
・77年発表1st。社会へのアジテートを歌う、機関銃のようなロックチューンとたった一雫のレゲエカバーで緩急をつけた確信犯的アルバム。ドラムの引き出しがあまりにもなかったのが、逆に功を奏していた。スッカスカで荒々しいロックンロールは大時化の海の嵐の如く、一気に疾走していく。
風吹く嵐の中、一瞬の凪が12のレゲエ。しかし、それでも怒りは収まらない。社会への怒りには黒人も白人も関係ない、叫び続けるのだ。というメッセージを抜きにしても、ピリッと辛口のガレージR&Rが心地よい。最後の曲にして本作最後の録音14は後々の彼らを想起させるポップな一曲で興味深くある
聴いた日:02月28日 アーティスト:ザ・クラッシュ
MODERN MUSICMODERN MUSIC
・79年発表5th。いわゆるNW路線真っ只中の一枚。テクノポップさ加減と歌謡曲っぽさと淡く耽美な雰囲気のロマンチズムが混ざり合い、ネオンライトと薄霧の漂う港町みたいな趣の洒脱さが非常にいい。そこに描かれる仮初めの恋愛模様みたいな歌詞も味わい深い一枚。何度でも繰り返し聴きたくなる。
聴いた日:02月28日 アーティスト:ムーンライダーズ

わたしの音楽メーター
音楽メーター